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夜型になったのは「テレホーダイ」のせいかもしれないという話

もはや公私ともにインターネットがないと生活できないようになって早20年以上が経った。

たしか1995年頃、当時よく聴いていたラジオ番組で、パーソナリティがしばしば「インターネット」という聞き慣れないキーワードを発していた。

憶えている限りでは、これがインターネットとの出逢いだったように思う。

このときは「何のことやらサッパリ」だった。

それからしばらくして、はじめてインターネットに触れたのは1996年頃だったと思う。

小学生の頃から付き合いのある親友が自力で自宅にインターネット回線を引くというので、配線工事を手伝った。

屋根裏に潜って配線を引き、無事、インターネットが繋がった。

いまやすっかり懐かしいモデムによるダイヤルアップ。

「ピー、プププププププププププププププ」の呼び出し音とともに、ブラウザ上にホームページが表示された。

確かブラウザはいまでは完全に死語となった「Netscape Navigator(略して「ネスケ」)」だった。懐かしい!

モニターの画面に映し出されたれたページはYahoo!JAPANだったと思う。

こちらがぽかんとしているうちに文字ばかりのページが表示された。

ここで調べたいキーワードを入力して検索すると、探している情報を調べて表示してくれるのだという。

インターネットのことはよく分からないけれど、調べ物をするには便利だとその親友から教わった。

親友は慣れた手つきでキーボードをたたき、何だか忘れたがクルマのページを検索していた。

ずっと接続していると通話料がかかるとかで、探していた情報を確認すると、すぐにブラウザを閉じた。

おそらくは初の定額プランであろう「テレホーダイ」というサービスを知るのはここから1年以上あとの話だ。

翌年・・・だから1997年だったと思う。

社会人になって、勤め先にもインターネットに接続できるパソコンが1台だけ置かれていた。

いまでもハッキリと憶えているのは、モノは試しと、はじめて検索したのはJ-WAVE(FM局だ)のホームページに番組で流れたオンエアリストを羅列したページを見るためだった。

それまでは、探している曲を調べる方法は皆無に近く、テレビやラジオなどで偶然流れた時間帯を記憶し、局に電話で問い合わせて教えてもらうという、超アナログなやり方だった。

こうして手間ひまを掛けて、ようやくお目当ての曲が収録されたCDを手に入れることができた時代だった。

それがJ-WAVEのホームページには曲名やアーティスト名が表示されており、そのメモを元にCDショップで探すか、分からなければ店員さんに声を掛ければ、喜んで探してくれた。

あまりのお手軽さに感激した記憶がある。

その一方で、1990年代半ばといえば、一時期、各FM局がFM文字多重放送を実施していた。

オンエア中に流れる曲名とアーティスト名が分かるサービスが行われていた。

これぞ求めていた機能に思えた。

しかし、FM文字多重放送に対応した専用ラジオ端末を購入しなければならず、それが1万円を優に超す金額だったので断念したのだった。

FM文字多重放送とは比較にならないくらいインターネットは便利そうだ。

自宅にも回線を引こう。

こうして自宅にインターネットが導入されたのはたしか1997年末頃だったと思う。

当時、PCはデスクトップが主流で、モニターも分厚いブラウン管しかなかった。

液晶モニターもちらほらではじめてはいたが、まだまだ高価だったし、ブラウン管に比べると発色も今ひとつだった。

新品のPCは高くて買えないので、秋葉原のPC専門店で売られていたアウトレット品を購入した。

どのPCを買えばよいか分からなかったので、先述の親友に見立ててもらった。

彼が選んだPCは、当時としては珍しい、CD-Rドライブ付きの富士通FM-Vだった。

何だかんだで20万円を優に超えていた気がする。

痛い出費となったが、インターネットだけでなく、これからはついに自分好みのCDを作ることができると狂喜乱舞したのを憶えている。

その後、専門の業者が自宅に来て配線工事を行い、ついにインターネットが使えるようになった。

またもや親友のアドバイスにより、当時としては主流だったモデムによるダイヤルアップを使わず、奮発してISDN回線を導入した記憶がある。

当時を知る人であれば憶えていると思うが、当時はいまのように常時接続はあたりまえではなかった。

もちろん無線LANなんてありえない。

PCに有線ケーブルを接続しないとインターネットが観られなかった。

さらに、利用料金を気にせずインターネットを使うには、23時から「テレホーダイ(23時〜翌日8時まで)」まで待たなければならなかった。

それまで時間帯は、使用時間に応じて料金が加算される仕組み(通常の電話と同じ)だったからだ。

自宅にインターネットが導入されてからというもの、23時までに用事を済ませてPCの前に陣取るようになった。

おそらく、他の人たちもそうだったのだろう。

日本中のユーザーが23時になった瞬間に同時接続をするものだから、とにかく回線が遅い。

1997年当時のインターネット人口普及率はわずか9.2%だったというが、それでも回線の奪い合いだったことは確かだ。

まともに使えるようになるころには深夜1時を過ぎ・・・なんてことが日常茶飯事だった。

オンライン飲み会とか、YouTubeの動画をガンガン流したり、1GBものファイルを何の躊躇もなくアップロードできるなんて、夢のまた夢のまた夢のまた夢のまた夢のまた夢のまた夢のまた夢のまた夢くらい別次元のことだった。

そんなわけで、当時のネットサーファー(死語)だった人たちは、必然的に夜型にならざるを得なかったように思う。

もちろん、自分も例外ではない。

それから数年経ち、ようやく常時接続が可能となった。

最初のうちは真っ昼間にインターネットを使っても料金が加算されないことに違和感があったのだが、そんなことはすぐに忘れた。

今や、自宅のインターネット環境はWi-Fi接続があたりまえとなり、YouTubeでISSのライブ配信の動画を作業用BGM代わりに流しっぱなしにして作業している。

●Earth Views: Earth From Space Seen From The ISS
https://www.youtube.com/watch?v=Y1qQZbTF8iQ

いつも利用しているファイルのストレージサービスも300GBまでokとのことだ。

・・・もしかしたら、いま「テレホーダイ」の時代に戻ったらまともに仕事ができないかもしれない。

余談:
調べてみたら、テレホーダイのサービスはいまも存在していた。2024年1月にサービスの提供を終了とのことだ。
https://web116.jp/shop/waribiki/th/th_00.html

[画像/Adobe Stock ライター/松村透]

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