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旧車の魅力と知識

MT車(マニュアル車)とは?特徴や注意点などを解説
旧車の魅力と知識 2024.04.16

MT車(マニュアル車)とは?特徴や注意点などを解説

クルマには、MT車とAT車があります。現在、ほとんどのクルマはAT車ですが、中にはMT車でなければ運転が怖いという方もいます。今回は、クルマのMT車とは何なのか解説します。また、特徴や注意点なども合わせて紹介していますので、MT車の購入を検討している方は参考にしてみてください。 MT車(マニュアル車)とは MT車とは「マニュアルトランスミッション車」のことで、運転者が状況や速度に応じてギアを変えるクルマです。 MT車のギアを変えるときは、クラッチペダルを踏んで、トランスミッションとエンジンの接続を切り離して、ギアを上げたり下げたりします。ペダル操作は、右足でアクセルとブレーキを操作し、左足でクラッチを操作します。 MT車(マニュアル車)とAT車(オートマチック車)の違い MT車とAT車では、足で操作するペダルに違いがあります。 MT車は、アクセルペダル・ブレーキペダル・クラッチペダルの3つをを操作しますが、AT車はアクセルペダルとブレーキペダルのみを操作します。このような違いがあるためペダルの数を見ると、保有している運転免許で運転できるかどうか判断しやすいでしょう。 MT車(マニュアル車)の特徴 MT車には、AT車にない特徴があります。ここではMT車の主な特徴を4つ紹介します。 エンジンブレーキが利きやすい MT車はAT車と比べるとエンジンブレーキが利きやすいです。そのため、アクセル操作での速度調整がしやすく、ペダルの踏み変え操作を最小限に抑えられます。 AT車よりも故障しにくい傾向にある MT車はAT車より構造が単純であるため、故障した際の修理費や手間を抑えられるケースが多いです。一方、AT車は構造が複雑で、故障した際の修理費用が高くなる傾向にあります。 踏み間違いによる急発進の危険性が少ない MT車は、AT車と比べると発進時のペダル操作が複雑であるため、急発進や暴走事故を起こしにくいといわれています。そのため、アクセルとブレーキの踏み間違えによる事故を起こしにくいです。 AT車よりも安い場合がある 車種によって異なりますが、AT車よりMT車のほうが本体価格が安い傾向にあります。ただし、差額は大きくないため、クルマ選びの際には日常使いや渋滞のときのことも考慮して、どちらにするか慎重に決めましょう。 MT車(マニュアル車)の注意点 MT車にはメリットがある一方で注意点もあります。ここでは、MT車の主な注意点を3つ紹介します。 運転操作が煩雑 MT車は、2本の足で3つのペダルを操作するだけでなく、ギアも自分で変えなければなりません。そのため、運転操作が煩雑です。運転操作に慣れるまで大変ですが、コツを掴めばクルマと一体になれる感覚を楽しめます。 頻繁にクラッチ操作が必要になる MT車では、クラッチの操作が必要です。動力の切り離しや接続をするクラッチペダルは、左足で操作します。 動力を切り離す際はクラッチペダルを踏み込みます。一方、エンジンの動力をトランスミッションに伝える際は、クラッチペダルを徐々に戻しながら接続するという調整が必要です。 MT車がない車種もある 現在、MT車をラインナップしている車種は減少しています。そのため、MT車が用意されていないモデルがあるということも珍しくありません。そのため、欲しいと思ったクルマがあっても、MT車が存在しないということもあります。 MT車(マニュアル車)を運転できる免許証 MT車を運転したい場合には、保有している運転免許を確認しましょう。運転免許の条件に「◯◯はAT車に限る」と記載されている場合には、MT車を運転できません。 MT車に乗るためには、限定なし(条件に「AT車に限る」という記載がない)免許が必要です。AT限定免許の方がMT車に乗るためには、限定解除をしてAT限定免許から限定なし免許にしなければなりません。 MT車(マニュアル車)の練習方法 MT車の免許を保有しているもののAT車の運転ばかりしていると、MT車の運転に不安を感じてしまうでしょう。MT車の運転に慣れていないのであれば、まずはしっかりと練習することをおすすめします。ここからは、MT車の練習方法について解説します。 練習場所 MT車の練習をするときは、交通の流れを妨げない場所で練習を重ね、運転操作に慣れてから交通の流れに合わせた走行をする、という方法でステップアップしていくとよいでしょう。 運転操作そのものに不安があるときは、教習所や出張ペーパードライバーを実施している企業ので講習を受けましょう。受講によって運転操作に慣れてきたら、交通量が少なく、交通の流れを妨げない場所で、加速・減速やギアチェンジなどがスムーズにできるようになるまで練習しましょう。 その後、幹線道路に出て、交通の流れに乗って走行する練習をするのがおすすめです。 練習のコツ MT車の運転は、ペダル操作やギアチェンジなどのコツを掴むことがポイントです。右足・左足・右手・左手がそれぞれ異なる動きをするため、最初は運転に慣れるのが大変ですが、1つずつ丁寧に練習をしていけば運転できるようになります。 MT車を運転する際には、クラッチとアクセルの調和・調整がキーポイントです。そのため、低速でのクラッチ操作やアクセル操作をマスターするのが上達の近道といえます。低速時のクラッチとアクセルの調和が取れるようになると、坂道発進や駐車(バック/後退)などもスムーズにできるようになるでしょう。 MT車のエンジンのかけ方 MT車のエンジンをかけるときは、サイドブレーキ(パーキングブレーキ)がかかっていることを確認してから、クラッチペタルいっぱいに踏み込み、ブレーキペダルを踏んで、ギアをニュートラルしてエンジンをスタートさせます。 クルマによっては、クラッチスタートシステムというクラッチペダルが踏み込まれていないとエンジンがスタートしないシステムになっているモデルもあるため、エンジンをかける際にはクラッチペダルを確実に踏み込むようにしましょう。 おすすめMT車(マニュアル車)【SUV】 ここからは、おすすめのMT車を紹介します。まずはSUVのおすすめモデルを見ていきましょう。 日産 エクストレイル 日産 エクストレイルの初代と2代目には、MT車がラインナップされていました。オフロードも走行できるMT車を探しているのであれば、エクストレイルを候補に入れておくとよいでしょう。 スバル フォレスター スバル フォレスターには、4代目までMT車が用意されていました。そのため、比較的年式が新しいMT車のフォレスターを手に入れることも可能です。なるべく年式が新しいMTのSUVを探しているのであれば、フォレスターをチェックしてみるとよいでしょう。 おすすめMT車(マニュアル車)【セダン】 次に、セダンのおすすめMT車を見ていきましょう。 スバル WRX STI スバル WRX STIは、スポーツセダンとして高い人気を誇るモデルです。水平対向エンジンにMTを組み合わせている唯一無二の存在であることも特徴といえます。低重心のMTスポーツセダンが欲しいのであれば、WRX STIを検討するとよいでしょう。 三菱 ランサーエボリューション ランサーエボリューションは、三菱を代表するスポーツモデルの1つです。「ランエボ」の愛称で親しまれ、生産が終了した現在でも多くのユーザーに支持されています。直列4気筒ターボエンジンのMTスポーツセダンが欲しいのであれば、ランサーエボリューションを探してみるとよいでしょう。 おすすめMT車(マニュアル車)【軽自動車】 最後に、軽自動車のおすすめMT車を見ていきましょう。 スズキ ジムニー スズキ ジムニーは、軽自動車でありながら、悪路走行が可能なモデルです。さまざまな環境でも走行できる軽自動車のMT車を探しているのであれば、ジムニーを検討するとよいでしょう。 スズキ アルトワークス アルトワークスは、スズキの軽自動車「アルト」のスポーツモデルです。軽量なボディにターボエンジンを搭載しており、MTで操る小さなスポーツモデルとして高い人気を博しています。スポーツモデル初心者でも運転を楽しめる点が特徴です。 まとめ MT車は、運転者の操作がダイレクトに動作に影響するクルマです。操作が面倒といったネガティブな意見もありますが、操る楽しさを感じられるといったMT車ならではのメリットもあります。そのため、運転操作そのものを楽しみたい方や意のままに操る感覚を満喫したい方などにはMT車がおすすめです。

スーパーチャージャーの仕組みとは? ターボとの違いも含めて詳しく解説
旧車の魅力と知識 2024.04.12

スーパーチャージャーの仕組みとは? ターボとの違いも含めて詳しく解説

排気量の小さいエンジンでも、絶大なパワーとトルクを得られるスーパーチャージャー。過給器といえばターボが有名ですが、実はターボにはない魅力がスーパーチャージャーに詰まっています。一方で、最近では搭載車がほとんどなくなったこともあり、詳しい仕組みを知らない方も少なくありません。 そこで今回は、スーパーチャージャーの基本的な仕組みやメリット・デメリット、さらにターボとの違いまで詳しく解説します。 エンジンに空気を詰め込むスーパーチャージャー スーパーチャージャーとは、圧縮した空気(酸素)をエンジンに送り込んでより高い出力を発生させるための装置です。圧縮して送り込むことで、自然吸気よりも大量の空気をエンジンに取り込みます。 空気量が増えるとエンジン出力が上がる理屈とともに、スーパーチャージャーの仕組みを詳しくみていきましょう。 過給機でエンジンパワーを上げる 空気(酸素)と燃料の混合気に着火した際の爆発力が、エンジンパワーにつながります。混合気の量を増やせば当然爆発力が上がりますが、自然吸気ではシリンダーの容積以上には空気を吸い込めません。 そこで、空気を圧縮してシリンダーの容積以上の量を送り込むために開発された装置が、スーパーチャージャーをはじめとする過給器です。例えば、わかりやすく単純化した計算ではありますが、1気筒400ccの4気筒1.6Lエンジンに600cc×4の圧縮した空気を送り込めば実質2.4L相当のパワーとトルクを得られます。 過給のためにエンジンの動力を使うスーパーチャージャー 空気を圧縮するためには、何らかの動力源が必要です。スーパーチャージャーでは、ベルトなどを通じて伝達したエンジンの回転そのものを動力源に空気を圧縮します。 スーパーチャージャーの仕組みにはいくつかありますが、代表的な方式はルーツ式と遠心式の2種類です。ルーツ式は古くから多くの車種で採用されてきた方式で、2組の2葉〜4葉のねじりローターを回転させて空気を送り込みます。 一方、遠心式はカスタムパーツとして最近注目されている方式です。後述するターボのようにタービンを回転させて空気を圧縮します。プーリーの回転力が、遠心式スーパーチャージャーの内部ギアで増速され、タービンを回します。全体にコンパクトに設計でき、ルーツ式で発生する空気の脈動がなく静粛性が高い点がメリットです。 スーパーチャージャーのメリット・デメリット スーパーチャージャーのメリットは、低回転域から過給圧を得られることです。圧縮する動力にエンジンの回転を利用するため、アクセルを踏み込んだ瞬間から高い出力で走り出せます。 一方でデメリットは、エンジンパワーの一部をスーパーチャージャーの駆動に利用するためロスが大きい点です。特に、高回転域ではスーパーチャージャーそのものがエンジンの足かせになって、十分なパワーが得られません。 また、サイズが大きく、重量も重くなる点もスーパーチャージャーの大きなデメリットです。取り付け位置がエンジン上部となり重心が高くなるほか、クルマの前後重量配分にも影響します。 ターボとは過給に使う動力源が違う ターボ・チャージャー、通称ターボもスーパーチャージャーと同様に過給器の一種です。スーパーチャージャーと大きく異なる点は、空気を圧縮する動力源に排気ガスを使う点です。 ターボでは排気ガスの風圧によってタービンを回し、空気を圧縮します。スーパーチャージャーに比べてコンパクトに設計でき、エンジン出力のロスが少ない点が特徴です。ただし、排気ガスの圧力の低い低回転域では十分に空気を圧縮できない、ターボラグが発生する点が大きなデメリットです。 さまざまなモデルに使われるスーパーチャージャー ターボに比べてあまり目立たないスーパーチャージャーですが、実は国産車、輸入車問わずさまざまなモデルに採用されています。 スーパーチャージャーは多くのモデルに採用されている まず、日本国内ではトヨタ AE92、AE101型のレビン/ トレノ、AW11型MR2にスーパーチャージャーモデルが設定されていました。4A-Gの特徴であるレスポンスのよさを活かしたままパワーアップを図るためには、低回転域から過給効果を得られるスーパーチャージャーが最適だったのでしょう。 また、意外なところでは、軽トラックの定番、スバル サンバートラックにもスーパーチャージャーモデルが存在します。 一方で、大排気量エンジンでスーパーチャージャーを採用しているのが、シボレー コルベットZR1(C6)です。LS9型6.2Lのエンジンに、イートン製のTVS (Twin Vortices Series) 型スーパーチャージャーを搭載しています。気になるパワーは、標準車のLS2型6.0Lエンジンの436psに対して647psを発揮、最大トルクは83.5kgmにも達します。大排気量エンジンで犠牲になりがちなレスポンスをスーパーチャージャーで補って、さらにハイパワー化を果たした事例です。 86を始めとするカスタムシーンでも人気 スーパーチャージャーは、後づけで簡単にエンジンパワーを向上させる装置としても定着しています。特にトヨタ 86では、定番カスタムメニューの1つです。トヨタ直系のアフターチューニングメーカーであるTOM'sも、ルーツ式スーパーチャージャーを使用したコンプリートカー「86 Supercharger」を発売しました。 また、近年ではコンパクトで静粛性に優れる遠心式スーパーチャージャーも人気で、アフターパーツメーカーからさまざまな車種に対応したキットも販売されています。 スーパーチャージャーモデルは人気が高い 限られた車種にしか搭載されていないスーパーチャージャーは、同型車の自然吸気モデルよりも人気が高い傾向にあります。車種や状態にも寄りますが、標準車の2倍近い買取価格がつくことも珍しくありません。 ターボ車にはない独特のレスポンスとパワー感を味わえるスーパーチャージャーですが、残念ながら最近発売された車種にはほとんど搭載されていないため、今後さらに希少性が高まるでしょう。

206 WRCでプジョーは3連覇を達成! 圧倒的強さを誇った秘密に迫る
旧車の魅力と知識 2024.04.08

206 WRCでプジョーは3連覇を達成! 圧倒的強さを誇った秘密に迫る

プジョー 206 WRCは、2000年という区切りの年からWRCでマニュファクチャラーズタイトル3連覇を果たしたWRカーです。1980年代にWRCを席巻したプジョーが、新たな規定の制定をきっかけに206 WRCで再び功績を残しました。 圧倒的な強さを誇った206 WRCが誕生した背景と、輝かしい戦績を振り返ってみましょう。 ラリーで勝利するために生まれた206 WRC 206 WRCは、残念ながら市販モデルではありません。WRCが新たに定めた規定によって、市販車をレース専用に改造した特別なマシンです。 プジョーのWRC復帰の直接のきっかけでもあるWRカー規定も含めて、206 WRCについて詳しくみていきましょう。 WRカー規定の制定に勝機を求めた206 WRC 1998年にプジョーは、10年以上離れていたWRCへの復帰と参戦車輌である206 WRCを発表しました。1986年のグループB規定の廃止によってプジョーはWRCから撤退していましたが、1997年に新しくWRカー規定が生まれたために復帰を決意します。 グループB廃止後にメイン規定となったグループA規定では改造範囲が限られていたため、ベースの市販車の性能を大幅に向上させる必要がありました。しかも、12ヶ月間で5,000台の生産という厳しい条件も課せられていたため、メーカーにとっては大きな負担だったといえます。 WRカー規定は、グループAへの参戦が難しいメーカーへの救済措置として制定されました。骨格が市販車ベースという点はグループAと同様ですが、改造範囲が大幅に拡大されています。そのほか、高性能車を何千台も生産するという厳しい条件も撤廃。新たに生まれ変わったWRカー規定が、プジョーのWRC復帰の大きなきっかけとなりました。 同じくWRCで活躍した205の後継車206がベース車輌 プジョーが再びWRCに参戦するにあたって選んだクルマは、同年に発表された新型車206でした。206の先代205は、グループB時代のWRCを席巻したモデルです。プジョーが撤退した1986年にも、ライバルのランチアを抑えてマニュファクチャラータイトルを獲得しました。 そして、15年ぶりのモデルチェンジを果たして、1998年に206が登場します。奇しくも、WRカー規定が制定された翌年でした。再びプジョーがWRCの舞台に戻ってくるタイミングとして運命的なものを感じます。 高い技術力で完成した206 WRC 改造範囲の広いWRカー規定に則って制作された206 WRCは、ベース車輌の206から大幅な改造が施されています。搭載する2.0Lターボエンジンの最高出力は300ps、最大トルクは535N・mにも達し、わずか1,230kgという軽量コンパクトなパッケージングに圧倒的な戦闘力をもたせました。 さらに、6速シーケンシャルミッションを備えるXトラック製のギアヤボックスを縦置き配置し、駆動方式を4WDに変更。外観こそ206ですが、中身にはFFコンパクトカーの痕跡はまったくありません。 スペックだけを羅列すると単純に高性能なパーツを搭載しただけに思えますが、コンパクトな206の骨格にすべてを収めるのは至難の業だったはずです。206 WRCが実現したのは、プジョーの高い技術力があったからこそでしょう。 WRCで再度黄金時代を築いたプジョー 206 WRCで再びラリーの舞台に戻ってきたプジョーは、参戦翌年からいきなりドライバーズタイトルとマニュファクチャラーズタイトルを獲得しました。 プジョーのWRCでの活躍と、参戦へのこだわりをみせた特別モデルについて紹介します。 マニュファクチャラーズタイトル3連覇を果たす 206 WRCは1999年にスポット参戦で投入されると、翌2000年には早くも実力の高さを証明します。フィンランドのマーカス・グロンホルムの成長もあって、マニュファクチャラーズタイトルとドライバーズタイトルをダブル獲得しました。 2001年にはドライバーズタイトルこそ惜しくも逃すものの、マニュファクチャラーズタイトルを獲得して2連覇を果たします。さらに、2002年にはマーカス・グロンホルムが圧倒的な実力で王者に返り咲き、再びダブルタイトルを獲得するとともに、マニュファクチャラーズタイトル3連覇を達成しました。 規定をクリアするための特別モデル 206 WRCの正式なベース車輌は、限定生産された206GTです。実はベースグレードの206は、最低全長4,000mmとするWRカー規定を満たしていませんでした。そこでプジョーは、最低全長をクリアするために206 S16のバンパーを延長した206GTを発売したのです。 生産台数2,500台(当時)という規定を満たすため、全世界4,000台が限定販売されました。日本国内では50台が販売されたことが、当時のカタログに残っています。 限定車を生産するほどWRCに力をいれていたプジョーですが、マーケティング的な成功につながりました。WRCで無類の強さを誇っていた2002年には206の日本国内の販売台数は8,234台にも達し、翌2003年には累計販売台数3万台を達成しています。 206 WRCの成功は以降のモデルにも影響を与えた 206 WRCの成功は、以降のプジョーのラインアップにも大きな影響を与えます。プジョーの最小モデルは、1.2Lで100㎰足らずと今でこそ大人しいキャラクターですが、2世代後の208までは200psオーバーの1.6L・直列4気筒直噴ターボエンジンに6速MTを組み合わせたハイパフォーマンスモデル、208GTiが設定されていました。1998年に生まれた206 WRCのDNAが、2010年代後半まで続いていたということです。 また、「206 WRC」は、ルールこそ違うものの現在の「Rally1」にも通じるものがあります。普通に街を走っているコンパクトカーが、ラリーで活躍するという新たな常識を作ったクルマです。

RE雨宮が手掛けたロータリーエンジン搭載のマツダ シャンテの衝撃とは?! 今も語り継がれる伝説に迫る
旧車の魅力と知識 2024.03.28

RE雨宮が手掛けたロータリーエンジン搭載のマツダ シャンテの衝撃とは?! 今も語り継がれる伝説に迫る

レトロデザインがかわいらしいマツダ シャンテにロータリーエンジンを載せた「RE雨宮ロータリーシャンテ」。軽量でコンパクトなロータリーエンジンを車重の軽い軽自動車に搭載した、大排気量の欧州スポーツカーとも渡り合えるマシンです。 RE雨宮の伝説の1つでもあるロータリーシャンテの魅力を振り返ってみましょう。 RE雨宮がチューニングした史上初のロータリー軽自動車シャンテ レシプロエンジンに比べて軽量でコンパクトに設計されているロータリーエンジンですが、ロータリーシャンテが製作された当時は軽自動車に搭載した例はありませんでした。現在でさえ、軽自動車へのロータリーエンジン搭載例はわずかしかありません。 史上初のロータリー軽自動車となったシャンテと、RE雨宮の高い技術力について詳しく紹介します。 軽自動車なのに最高速度240.48km/hを記録 ノーマル車輌の車重480kgのシャンテにマツダが誇る12A型ロータリーエンジンを搭載したロータリーシャンテは、最高速トライアルで有名な谷田部テストコースでなんと最高速度240.48km/hを記録しました。 ロータリーエンジン専門のチューニングショップだったRE雨宮は、遊び心で軽自動車のシャンテのロータリー化を計画。そして、ついに1981年に世界初のロータリーエンジン搭載軽自動車、ロータリーシャンテを完成させます。 軽くて小型なロータリーエンジンとはいえ、軽自動車規格のなかでもコンパクトなシャンテに搭載するのはかなり大変だったようです。しかし、RX-3のフロントメンバーを移植、サイズの小さい10A型のトランスミッションを使用するなど、RE雨宮が技術力を尽くして見事に実現させました。 また、油圧式クラッチへの変更、RX-7用のトルクロッドの追加、ゼロヨン用のタイヤの採用など、180psといわれる高出力に耐えられるようさまざまな工夫もされています。 すべてにおいてオンリーワンだったRE雨宮 RE雨宮は、国内のみならず世界的にもほとんど例のないロータリーエンジン専門のチューニングメーカーです。さらに、RE雨宮が創業した1974年当時は現在よりも改造車に対する規制が厳しく、個人経営のチューニングショップはまだ少ない時代でした。 世界初のロータリーエンジン搭載車コスモスポーツをマツダが発売してからわずか7年で、完成度の高いチューニング車を制作していたのは驚くべきことです。日本のチューニングショップ黎明期に、ロータリーエンジン専門店として登場したRE雨宮は、まさにオンリーワンの存在でした。 ポテンシャルは十分あったマツダ シャンテ ロータリーシャンテが成功したのは、シャンテがクルマとしての十分なポテンシャルを秘めていたためだといわれています。実際、マツダもシャンテにロータリーエンジンを搭載する計画を立てていました。 当時の軽自動車の多くには、開発技術の問題もあってRR(リアエンジン・リアドライブ)のレイアウトが採用されていました。先代キャロルもRRでしたが、マツダはシャンテでFR(フロントエンジン・リアドライブ)を採用。また、ロングホイールベースとしたことで、安定性も向上させました。 軽量でコンパクト、FR、ロングホイールベースというスポーツカーにとって重要な要素を併せもったクルマだったことが、ロータリーエンジンの力を最大限に引き出す大きな要因でした。 現在も根強いファンに支持されるロータリー シャンテ RE雨宮が製作したロータリー シャンテは、登場当時はもちろん現在も多くのファンから根強い人気を集めるチューニングカーです。 当時の人気アニメにも登場した、ロータリー シャンテへの注目度の高さを紹介します。 人気アニメ「よろしくメカドック」に登場 ロータリーシャンテは、人気アニメ「よろしくメカドック」にも登場したことでも有名です。「よろしくメカドック」は、チューニングカーへの関心の高まりを背景に子ども向けアニメとして放送されていました。しかも、劇中に少し登場というわけではなく、1話分のエピソードとしてロータリーシャンテが取り上げられています。 個人経営のチューニングショップが製作したロータリーシャンテですが、アニメの題材にまで取り上げられているのには驚きです。なお、RE雨宮を創業した雨宮 勇美氏も「霜宮 勇美」という名前で登場しています。 最近の東京オートサロンにも出展された ロータリーシャンテの登場は今から40年以上前ですが、新しく製作された車輌が現在でも東京オートサロンに出展されています。まず、2016年にオリジナルを製作したRE雨宮が、実質3号機としてイチから製作したロータリーシャンテが出展されて話題になりました。 さらに、2023年には郷田板金が製作した、13B型エンジン搭載のロータリー シャンテも出展されました。オリジナルを製作した雨宮氏のアドバイスを受けながら、極端なオーバーフェンダーの個性的なロータリーシャンテに仕上げてられています。 芸人の佐田正樹さんは現役でシャンテに乗る レトロデザインが魅力のマツダ シャンテは、オリジナルモデルも多くのファンに愛されています。クルマ好きで知られるお笑いコンビ・バッドボーイズの佐田正樹さんは、自身が所有するシャンテのカスタマイズをYoutubeで公開。また、郷田板金が製作したロータリーシャンテも、同氏のYoutubeチャンネルで紹介されています。 佐田さんが所有するシャンテは、実際に公道を走行できる状態に仕上げられている点が素晴らしいポイントです。オリジナルの外観を保ちつつ、40年以上が経過した今も現役で走行している姿からシャンテの完成度の高さがうかがえます。 マツダ シャンテはRE雨宮によって完成された 前述のとおり、シャンテは当初ロータリーエンジンを搭載する前提で開発されていました。しかし、排気量に制限のある軽自動車で、ロータリーエンジンの排気量換算が問題になって計画は頓挫します。同排気量のレシプロエンジンでは及ばない高出力化が可能なロータリーエンジンだっただけに、ライバル社からの圧力もあったのかもしれません。 販売終了後にはなったものの、RE雨宮がロータリーエンジンを搭載したことでシャンテはようやく完成したといえます。しかも、マツダはシングルローターの搭載を予定したため、2ローターの12Aは当初計画を上回るハイスペックマシンに仕上がりました。

クルマのクラッチとは?仕組み・種類・劣化を抑える方法を解説
旧車の魅力と知識 2024.03.27

クルマのクラッチとは?仕組み・種類・劣化を抑える方法を解説

クラッチは、エンジンの動力をタイヤへ効率的に伝える装置で、クルマの動きをスムーズに調整する役割を担っています。 本記事では、クラッチの基本的な仕組みやクラッチの種類、劣化を防ぐための操作方法についてわかりやすく解説します。クルマとバイクのクラッチの違いや、AT車に採用されるトルクコンバーターの役割についても触れていますのでぜひ参考にしてみてください。 クラッチとは クラッチは、エンジンの動力をタイヤに伝えるために必要な伝達装置で、変速機(トランスミッション)とエンジンの間に取り付けられています。 クラッチを言い換えると「動力伝達装置」です。エンジンの動力をトランスミッションに伝える役割があります。 クラッチの仕組み 基本的にクラッチは、エンジン側のフライホイールとトランスミッション側のクラッチ板の2つの板で構成されています。この2つを繋げたり切ったりするのがマニュアルトランスミッション車(MT車)のクラッチペダルです。 クラッチペダルから足を離すとフライホイールクラッチ板が繋がります。反対に、クラッチペダルを踏み込むとフライホイールとクラッチ板が離れます。 半クラッチとは 半クラッチとは、エンジン側のフライホイールとトランスミッション側のクラッチ板がつながるポイント(クラッチミートするポイント)を調整することです。 MT車の運転では、クラッチが繋がるポイントを探せることが重要となります。 もし、高速で回転するエンジン側のクラッチ板をトランスミッション側のクラッチ板に急につなげてしまうと、次のようなトラブルが起こります。 ・急発進する・エンジンが止まる・クラッチを傷める このようなことが発生する可能性があるため、MT車のクラッチペダルを操作するときは、一気に踏み込み、クラッチが繋がるポイントを探し、クラッチミートするところでクラッチペダルを戻すのを一時的に止め、速度が乗ってきたらクラッチペダルを戻す動作を再開するという基本的な操作をマスターすることが大切です。 クラッチの種類 クラッチには、さまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。ここからは、クラッチの種類や特徴を簡単に解説します。 ドッグクラッチ ドッグクラッチは、クラッチ同士の接続が凹凸になっているクラッチです。クラッチが噛み合う構造となっているため伝達効率が高いことが特徴となっています。 摩擦クラッチ 一般的にクラッチと呼ばれるのが「摩擦クラッチ」です。エンジン側のクラッチ板とトランスミッション側のクラッチ板の摩擦を利用して動力を伝えます。また、摩擦クラッチには以下のタイプがあります。 ・クラッチ板の操作を自動化したタイプ・クラッチ板を複数枚にしたタイプ(多板クラッチ)・オイルで満たしたタイプ(湿式クラッチ)・電磁石でクラッチの圧着するタイプ(電磁摩擦クラッチ) など 遠心クラッチ 遠心クラッチは、エンジンで発生した動力によって生み出される遠心力を利用して繋げるクラッチです。エンジンの回転が速くなると、遠心力でクラッチが繋がり、動力が伝わるしくみになっています。 流体クラッチ 流体クラッチは、流体で満たされた密閉空間でエンジン側の動力をトランスミッションに伝えるクラッチです。動力がスムーズに伝わることが特徴です。 クルマとバイクのクラッチに違いはある? クルマとバイクのクラッチでは、構造や機能、操作方法に違いがあります。具体的な違いについて、下記の表でまとめました。 項目 クルマ バイク 構造 1枚板の単板式(クラッチプレートとフライホイール) 複数板を重ねた多版式(クラッチプレートとフリクションプレート) 機能 ・乾式クラッチ(オイルに浸かっていない)・摩耗が多い・騒音が大きい ・湿式クラッチ(オイルに浸かっている・摩耗が少ない・静音性に優れる 操作方法 左足でペダル操作 左手でレバー操作 ※車種によっては構造が異なる場合があります。 一時期、バイクにも乾式クラッチが採用されていました。しかし、騒音や冷却の問題、摩擦材のカスが飛び散るなどの問題などがあり、現在ではほとんどみられなくなっています。 AT車にはクラッチの代わりにトルクコンバーターを搭載 クラッチ操作を必要としないオートマチックトランスミッション(AT)には、クラッチの代わりに流体クラッチを応用したトルクコンバーターを採用しています。また、近年ではクラッチ操作を自動化した2ペダルのマニュアルトランスミッション車(多板クラッチや自動クラッチなど)も増えてきました。 クラッチの寿命を縮める原因 クラッチの寿命を縮めてしまう原因は、主に下記の3つです。 ・急なクラッチ操作・無理にクラッチを繋げる・わずかに擦っている状態(半クラッチ)を多用する 急なクラッチ操作は、クラッチディスクに過度な負担がかかります。特に発進時や加速時に荒く踏み込む操作をしてしまうと、摩耗を早めます。 また、無理なクラッチ接続も摩耗を進行させる原因です。エンジン回転数が高いままクラッチをつなげると、強い摩擦が発生してしまいます。 なお、半クラッチの多用は最も注意が必要です。クラッチを中途半端な位置で使い続けるほど、劣化が進みます。坂道発進時や渋滞時に多くみられる半クラッチ状態は、できるだけ短時間で完了させましょう。 クラッチの劣化を抑えるためのポイント クラッチの寿命を縮めたり、劣化を抑えたりするためには、クラッチの構造を理解して正しい操作をすることが重要です。ここからは、クラッチの劣化を抑えるポイントを紹介します。 ブリッピングする ブリッピングは、シフトダウンしたときにエンジン回転数を合わせる操作です。MT車でシフトダウンしたときに、急減速したり突っかかるような動きが起きるのは、エンジンの回転数と車の速度とギアが合っていないことが原因です。 このような急減速や突っかかるような挙動をなくすためには、シフトダウンしたときに、エンジン回転数を上げる必要があります。このエンジン回転数を上げてギアを繋げる操作がブリッピングです。 クラッチペダルから足を離す 運転の最中、何気なくクラッチペダルの上に足を置いている方も多いかもしれませんが、クラッチを劣化させる可能性があります。足に力を入れているつもりがなくても、無意識に軽く踏み込んでしまい、半クラッチ状態になっていることも少なくありません。 微々たる影響ですがクラッチを摩耗させてしまい、積み重なると大きなダメージに発展しかねないため、なるべくクラッチペダルから足を離して運転しましょう。 まとめ クラッチは、エンジンの動力をタイヤに伝えるために必要な動力伝達装置の1つです。限定なし(MT)免許を取得する際に苦労することがあるクラッチ操作は、仕組みや構造を理解すると、どのように操作するのが適切なのかわかるのではないでしょうか。クラッチの構造や仕組み、伝達方法を理解し、適切なクラッチ操作をして、運転をさらに楽しんでみてください。

フェラーリ 328GTB/GTSが今も評価されるポイントとは? 歴代最高の美しさの秘密に迫る
旧車の魅力と知識 2024.03.27

フェラーリ 328GTB/GTSが今も評価されるポイントとは? 歴代最高の美しさの秘密に迫る

歴代フェラーリのなかで、最も美しいといわれる328GTB/GTS。一方で、フェラーリのV8エンジンモデルとしては実質2代目ながら、性能面でも圧倒的な進化を遂げたモデルでした。 わずか4年という短いモデルライフながら、今も多くのフェラーリファンが憧れる328GTB/GTSの誕生と魅力について詳しく紹介します。 名車ばかりのMRレイアウトのV8エンジン 「MRレイアウトへのV8エンジン搭載」は、今でこそフェラーリの代名詞とも呼べる王道モデルです。F355やF430、F8トリブートなど数々の名車が生まれています。しかし、フェラーリが初めてV8エンジンを搭載したのは1973年。1940年代創業ということを考えると、意外にもV8エンジンの歴史は決して深くありません。 2シーターモデルとして初めてV8エンジンを搭載してから、実に10年ぶりのフルモデルチェンジとなった328GTB/GTSについて詳しくみていきましょう。 V8エンジンモデルの正統な後継モデル 1985年に登場した328GTB/GTSは、2シーターとしては初のV8エンジンモデルだった308GTB/GTSの後継モデルです。308GTB/GTSは、1973年に先行デビューしていた2+2クーペのディーノ 308GT4をベースに開発されました。なお、モデル名の「B」はベルリネッタ(イタリア語で「クーペ」)を意味し、「S」はスパイダー(タルガトップ)のことです。 308GTB/GTSの大成功を受けて10年ぶりのモデルチェンジで登場した328GTB/GTSは、まさに正統進化と呼ぶにふさわしいモデルでした。デザイン、性能面ともに先代の良さを踏襲しつつも、大幅にブラッシュアップされています。 排気量の拡大によって大幅なスペックアップを果たす 328GTB/GTSが最も顕著に進化したのは、エンジン出力です。先代の308GTBは、排ガス規制対応によってモデル末期に最高出力を抑えざるをえませんでした。しかし、328GTBでは排気量を約200ccアップし、240psから270psまで実に30psもの最高出力の引き上げを実現。最高出力の大幅な向上に伴って、255km/hだった最高速度も263km/hにまで高められました。 328GTB/GTSが排ガス規制をクリアしつつ大幅なスペックアップを果たしたことが、その後のV8エンジンモデルの成長につながったといえるでしょう。なお、モデル名の数字は排気量と気筒数を表し、先代の308は3.0L(2,926cc)で8気筒、328は3.2L(3,185cc)で8気筒という意味です。 2.0Lモデルはターボを搭載して高性能を維持 328GTB/GTSには、発売翌年の1986年にそれぞれ2.0Lのターボモデルが追加されます。先代の308GTB/GTSも208GTB/GTSターボがラインナップに追加されましたが、最高出力は220ps止まりと3Lモデルに比べると物足りなさは否めませんでした。 しかし、328GTB/GTSで追加されたGTB/GTSターボは、最高出力こそ254psに抑えられているものの、最大トルクは328GTB/GTSを上回る33.5kgf・mを発揮。エンジン特性の異なるモデルとして、ユーザーに選択肢を与えました。 なお、排気量と気筒数を表す数字はなく、単にGTB/GTSターボと名付けられています。 現在も高い評価を受ける最も美しいフェラーリ 高められた性能面もさることながら、328GTB/GTSが最も評価を集めるポイントはボディラインです。フェラーリ史上最も美しいとも評されるスタイリングは、現在も多くのファンから絶大な支持を受けています。 40年近く前に登場したとは思えないほど美しい、328GTB/GTSの魅力をみていきましょう。 最高のバランスに仕上げられたボディライン 328GTB/GTSのデザインは、ピニンファリーナのレオナルド・フィオラバンティ氏によるものです。先代308GTB/GTSも手掛けた同氏は、同じイメージを踏襲しつつもアプローチを大幅に変更。直線基調で鋭角なデザインだったウェッジシェイプから、曲線を見事に取り入れた丸みのあるフォルムへ転換しています。 また、手が加えられたのは、全体のデザインだけではありません。大型化したフロントグリルや、ボディと同色でサイズアップされたバンパーなど、細部にわたって見直されています。結果的に「最も美しい」と称賛される、最高のデザインに仕上げられました。 全面改良されてクオリティが高められたインテリア 328GTB/GTSのデザインで変更が加えられたのは、外観だけではありません。インテリアのデザインを変更するとともに、質感もより高められていました。 308GTB/GTSからの変更箇所は、ドアパネルやドアハンドル、スイッチ、シートのステッチにまで及びます。また、メタリック塗装や革張りのダッシュボードとタルガトップ革張りヘッドライニングまでオプションで用意され、より車格にふさわしい内装に生まれ変わりました。 当時の新車価格に迫る買取価格 デザイン面、性能面ともに最高と呼べる進化を果たした328GTB/GTSの新車価格は、当時1,560万円でした。1985年の登場から40年近く経過した現在も、人気と希少性の高さから新車に迫る価値を維持しています。物価水準が異なるため単純比較はできませんが、1,000万円もの買取価格がつけられることも珍しくありません。 328GTB/GTSの最大の魅力は、性能面ではなくデザインの美しさです。後継車がいかに性能面で優れていても、328GTB/GTSの価値は今後も維持し続けられるでしょう。328GTB/GTSを売却する際は、性能や状態だけでなく「旧車としてどの点に価値があるのか」を把握している専門業者への相談をおすすめします。

初代マツダ サバンナはあのGT-Rよりも速かった!? RX-3とも呼ばれる最速マシンの歴史を振り返る
旧車の魅力と知識 2024.03.19

初代マツダ サバンナはあのGT-Rよりも速かった!? RX-3とも呼ばれる最速マシンの歴史を振り返る

初代マツダ サバンナは同系統車種としてはわずか1代で終了したものの、登場時に大きなインパクトで世間をわかせ、後世にも多大な影響を与えたモデルです。デビューイヤーに日産 スカイライン GT-Rの牙城を崩して高い運動性能を証明し、名車サバンナ RX-7への進化という道をたどりました。 この記事では、今もなお語り継がれる、初代サバンナの誕生の歴史と活躍を振り返ります。また、「サバンナ」という名称の由来やなぜ「RX-3」と呼ばれるかについても詳しく紹介します。 ロータリゼーションを進めるマツダにとって重要だったサバンナ 世界で初めてロータリーエンジンを搭載したコスモスポーツで、マツダはロータリーエンジンの可能性を世界に示しました。ファミリア、ルーチェ、カペラと既存モデルに次いでロータリーエンジンを搭載し、「ロータリゼーション」の名の下で普及を図ります。 そして、初搭載のコスモスポーツ以来のロータリーエンジン専用車として、サバンナをラインナップに加えました。現在でも根強い人気を誇るRX-7にもつながった、初代サバンナの誕生について振り返ってみましょう。 5車種目のロータリーエンジン搭載車 初代サバンナは、5車種目のロータリーエンジン車として1971年に誕生。発売当初は、コスモスポーツと同型の10A型エンジンが搭載されていました。 最高出力は105psとコスモスポーツの110psにはやや劣っていたものの、900kgを切る軽量な車体を走らせるには十分な出力だったといえます。ボディ自体はレシプロエンジンを搭載するグランドファミリアと共通でしたが、サバンナはロータリーエンジン専用車という位置づけで専用のフロントマスクが与えられました。 なお、「RX-3」といい名称で呼ばれることもありますが、国内での正しい車名は「サバンナ」です。RXという名称が定着しているのは、輸出仕様が「マツダ RX-3」、レース仕様が「サバンナ RX-3」という名称だったことに起因します。 実はクーペモデル以外も展開されていた初代サバンナ ファミリアとボディが共通だったこともあり、サバンナは当初クーペタイプに加えて4ドアセダンもラインナップされていました。さらに1972年には、サバンナ・スポーツワゴンという名称でロータリーエンジン搭載のステーションワゴンまで追加されます。 サバンナに幅広いボディタイプが用意されたのは、当時のマツダは「ロータリゼーション」と称してロータリーエンジンの普及を推進していたためです。より広いユーザー層に、ロータリーエンジン車に乗ってもらいたいという戦略だったのでしょう。 RX-7に受け継がれたサバンナの名称 初代サバンナの直接の後継車は、名車RX-7です。1978年に登場した初代RX-7(SA22C型)はサバンナ RX-7と名付けられました。 ただし、セダンやステーションワゴンは廃止され、クーペのみ展開されています。プラットフォームも専用開発のものに刷新し、スポーツカーという性格を明確に打ち出しました。 なお、「サバンナ」という名称は、猛獣の野生美やパワーをイメージしただけではありません。実は世界初の蒸気船と原子力船が「SAVANNA」という名前だったことから、「世界初」という意味も込められていたようです。 初代サバンナの評価が高まったのはレースでの活躍とコスパの高さ 初代サバンナは実力を証明すべく、登場と同時にレース活動を始めました。そして、当時国内では無敵だった、日産 スカイラインGT-Rを打ち破ります。ロータリーエンジンの実力をレースで見せつけたことで、サバンナの評価は一気に上昇しました。 驚くべきコストパフォーマンスも含めて、サバンナの魅力を紹介します。 無敗神話を誇るGT-Rとの戦いのなかで打ち立てた国内100勝の偉業 初代サバンナが誕生した1971年は、スカイライン GT-Rが国内レースで無敵を誇っていました。サバンナは同年12月の富士ツーリストトロフィ500マイルで、50連勝に迫っていたスカイライン GT-Rの記録をついに止めます。スカイライン GT-Rの連勝記録カウントについては諸説ありますが、少なくともサバンナが同車を抑えてデビューイヤーで優勝を飾ったことは間違いありません。 さらに、翌年の1972年には、エンジンを10A型から12A型に変更します。1972年5月の日本グランプリでは、GT-Rを抑えて表彰台を独占。当時無敵だったスカイライン GT-Rに世代交代の引導を渡したのは、サバンナ RX-3(サバンナのレース車輌名)だと大きな話題を呼びました。無類の強さを発揮したサバンナ RX-3は、1976年に単一車種で国内レース通算100勝という偉業を成し遂げます。 GT-Rの半額程度なのに国産トップクラスの動力性能 圧倒的なコストパフォーマンスも、サバンナの大きな魅力の1つでしょう。レースでの活躍を受けて、1972年に最上位モデルとして12A型エンジンを搭載したサバンナGTが投入されました。しかし、ライバルだった日産 PGC10型スカイライン GT-Rの価格が154万円だったのに対して、サバンナGTはわずか79万5,000円。 最高出力120ps、最高速度190km/h、0-400m加速わずか15.6秒という高性能を誇るクルマに、GT-Rの半額程度で乗れるというのはユーザーにとって大きな魅力だったに違いありません。 RX-7とともに今も色褪せない人気を誇る初代サバンナ 軽量コンパクトに設計できるロータリーエンジンの特徴を最大限に発揮して、速さと信頼性を証明したのが初代サバンナです。サバンナの成功がなければ、世界的に人気を集めるRX-7は生まれなかったかもしれません。 優れた動力性能だけでなく歴史的観点も含めて、サバンナは旧車として高い評価を受け続けている車種の1つです。実際、人気のクーペではなく、4ドアセダンのGRに300万円もの買取価格がついた実績もあります。 ただし、モデル最終年の1978年から数えても、すでに四半世紀近く経過しています。市場の流通量も限られているため、旧車専門の買取業者でなければその価値を正しく査定してもらえないでしょう。サバンナを売却する際には、知識と経験が豊富な旧車専門業者に相談することをおすすめします。

メルセデス・ベンツの歴代Sクラスでもっとも売れたW126型! バブル時代の象徴560SELの魅力に迫る
旧車の魅力と知識 2024.03.18

メルセデス・ベンツの歴代Sクラスでもっとも売れたW126型! バブル時代の象徴560SELの魅力に迫る

バブル景気に日本中がわいていた1980年代に、成功者の象徴として誰もが憧れたメルセデス・ベンツ 560SEL。Sクラスのフルモデルチェンジによって投入された最上位グレードの560SELは、見た目、性能面ともに文字通り世界最高のサルーンでした。 Sクラスとしてもっとも売れたW126型とともに、560SELについて詳しく紹介します。 560SELを含む2代目Sクラスはメルセデス・ベンツ史上に残るモデル Sクラス初のフルモデルチェンジで登場した560SELを含むW126型は、販売台数、モデルライフともにメルセデス・ベンツ史上に残る記録を残しました。 2代目Sクラスとともに、560SELの誕生の歴史を振り返ってみましょう。 登場から12年間も販売されたW126型 メルセデス・ベンツは、1979年に2代目のSクラスとしてW126型を投入します。最高峰のエグゼクティブサルーンとして1972年に初代が誕生して以来、実に7年ぶりとなるフルモデルチェンジでした。W126型は完成度の高さから広く人気を集め、1991年の販売終了まで12年間も販売されるロングセラーモデルに成長。日本国内では途中のマイナーチェンジを経ていわゆる後期型として、3L直6エンジンの300SE、4.2L V8エンジンの420SEL、そして5.6L V8エンジンを積む最高峰の560SELの3モデルが販売されました。 先代のW116型で世界の富裕層から支持を集めたSクラスですが、2代目のW126型は高い評価を確固たるものにしたモデルです。高級車というユーザーの限られるモデルにも関わらず、89万2,123台というSクラス歴代最高の販売台数を記録しました。 迫力の5.6Lエンジンを搭載する最高峰モデル560SEL 高級車であるSクラスのなかでも、最高峰に位置づけられていたのが560SELです。搭載される5,546ccもの大排気量のV8エンジンは、最高出力285psを発揮。(当初は245ps)大型エンジン特有のトルクフルな加速感とロードホールディング性能の高さによって、大柄なボディながら爽快感のある安定した走りを誰もが楽しめました。 560SELは成功者だけが手にできるプレミアムカー 560SELの当時の新車価格は、なんと1,300万円以上。バブル景気で豊かになってきていた時期だったとはいえ、日本国内でも限られた成功者を象徴する憧れのクルマだったようです。 ここからは、Sクラスの最上位グレードに位置する560SELの魅力に迫ります。 マイナーチェンジのタイミングがバブルと合致 W126型Sクラスは、1985年に最初で最後のマイナーチェンジを実施します。折しも日本はバブル景気の真っ只中だったということもあり、成功者が手にするクルマとしてさらに注目が集まりました。 日本国内において、このマイナーチェンジのインパクトが大きかった理由は、大幅なエンジンの出力アップです。排ガス規制の関係で当初は245psに抑えられていた最高出力が、マイナーチェンジによって285psにまで引き上げられました。 最高出力の向上も含めて、全体的に高級感をさらに増す方向で各部が変更されています。当時のメルセデス・ベンツの象徴でもあった「サッコプレート」と呼ばれるボディ下部の樹脂パネルのデザインを前後バンパーの形状と合わせて変更。さらに、ホイールサイズを14インチから15インチにアップし、クルマとしての価値が高められました。 高級感だけでなく燃費性能と安全性能にもこだわっていた 高級車にふさわしい重厚感のあるW126ですが、実はW116よりも全幅が縮小されています。縮小した理由は、軽量化も含めて燃費性能の向上です。さらに、デザインの変更は空力特性にまで及び、空気抵抗を表すCd値は当時としてはかなり低い0.36を実現していました。 また、W126では、安全性を高める工夫も随所に凝らされています。先代のモデル末期に採用したABSに加えて、運転席のエアバッグを市販車として世界で初めて装備。現在では世界標準ともいえる仕様ですが、当時は最先端の安全装備でした。ただ高級に作られただけではなく、燃費や安全性といった面でも世界最高水準で開発されていたことがわかります。 最高峰をさらに特別にするチューニングモデルも存在 560SELはメルセデス・ベンツ最高峰のSクラスの最上位グレードということで、名実ともに当時世界最高のクルマです。しかし、さらに特別感のあるモデルとして販売されていた560SELがありました。ドイツの有名チューニングメーカー、AMG、ケーニッヒ、ロリンザーがそれぞれ発売した、560SELのチューニングモデルです。 特に人気が高かったのは、メルセデス・ベンツとの関係性が深かったAMGのモデルです。専用開発のフロントバンパーは、ローダウンスプリングで下げられた車高と相まって迫力十分。サイドスカートなど細部にわたってチューニングが施されていて、AMGの560SELは今でも高い価値を保っています。AMG 560SEL 6.0-4Vに、600万円もの買取価格がつけられた実績もあるほどです。 当時の憧れもあって人気の衰えない560SEL 当時世界最高峰を誇った560SELは、AMGやケーニッヒといった特別なチューニングモデルのみならず、現在でもネオクラシックカーとして市場からの人気を集めています。メルセデス・ベンツの誇る最高の技術が投入されているだけあって、40年前に設計されたとは思えない作りのよさも魅力です。 当時は高くて購入できなかった方も、中古車であれば手の届く個体もあるかもしれません。ぜひ憧れの560SELを探してみてはいかがでしょうか。ただし、いかに精巧に作られている560SELでも、新車発売から40年以上が経過しているため少なからず不具合のあることもあります。特に低年式の560SELを購入する際は、車の状態に十分注意しましょう。 また、560SELを売却する際は、旧車専門の業者に査定してもらうことをおすすめします。前後期の違いやチューニングの仕様など細かな違いを正しく評価できる業者であれば、適正価格を提示してもらえるでしょう。

クルマのラジエーターって何?構造・役割・トラブルなどを解説
旧車の魅力と知識 2024.03.18

クルマのラジエーターって何?構造・役割・トラブルなどを解説

ラジエーターは、クルマのエンジンを冷却するための装置の一部です。ラジエーターにトラブルや不具合が発生すると、エルジンがオーバーヒートしたり故障したりすることがあります。そのため、定期的なメンテナンスや不具合がないかチェックしておくことが大切です。今回は、クルマのラジエーターの構造や役割、トラブルの前兆や故障時の症状などについて解説します。 ラジエーターとは ラジエーターとは、クルマのエンジンや発熱部品などから発せられた熱を帯びた冷却水を冷やす装置のことです。冷却水を通す「コア」や、コアに風を当てる「ファン」などで構成されています。 クルマのエンジンは、シリンダー内で発生する爆発によって2,000℃前後の熱を発します。高温になるエンジンの性能を保つためには、エンジンを冷却しなければなりません。その冷却装置の一部がラジエーターです。 構造 ラジエーターは、ラジエーター本体である「コア」に、エンジンで温められた冷却水を通し、ファンや走行風などを利用して冷却水を冷やす構造です。 ラジエーターを通る冷却水の循環の流れは次のとおりです。 1.エンジンによって温められた冷却水がラジエーターのアッパータンクに溜まる2.ラジエーターのコアに温まっている冷却水を流す3.ファンや走行風でラジエーターコアの温かい冷却水を冷やす4.冷やされた冷却水がラジエーターロアタンクに溜まる5.ロアタンクに溜まった冷却水が再びエンジンなどを冷却するために循環する 役割 ラジエーターには、クルマのエンジンや熱を発生させる部品を冷やすために使われる冷却水の熱を放出する役割があります。 クルマのエンジンを冷やす方法には水冷式と空冷式がありますが、現在販売されているほとんどのクルマは水冷式です。水冷エンジンは、エンジンを冷却するための水(冷却水)を使ってエンジンを冷やす構造となっており、エンジン回転数や車速によって冷却効率が変わりにくいことが特徴です。 また、ラジエーターに冷却水を循環させてエンジンを冷やすだけでなく、ファンでラジエーターに風を当てたり、走行風を利用したりすることで、冷却水やエンジンの冷却効率を高めています。 このように車には、エンジンを効率よく冷やすために、ラジエーターをはじめ、さまざまな工夫がされているのです。 種類 ラジエーターは、冷却水を流す方向に応じて「縦流れ式(ダウンフロー)」と「横流れ式(クロスフロー)」の2つに分類されます。 縦流れ式は主に国産車に採用されており、上から下に冷却水を流して冷やします。一方、横流れ式は水平に冷却水を流す構造です。冷却範囲が広いため、縦流れ式より冷却性能に優れています。 ただし、横流れ式は必要以上に冷却水を冷やす「オーバークール」が発生しやすいことに注意が必要です。オーバークールが発生するとエンジンが適正温度に達しないため、クルマに下記の影響を与える可能性があります。 ・燃費が悪化する・エンジンオイルの劣化が早まる・エンジンが適正に機能しない・暖房が効きにくい・黒煙の発生が増える エンジンは、高温だけではなく低温の状態でもトラブルが起きるおそれがあります。オーバークールは気温が低い冬に発生しやすいため、冷却水の温度をよりこまめにチェックしましょう。 コンデンサーとの違い クルマの発熱部品を冷却する装置には、ラジエーターのほかに、コンデンサーもあります。コンデンサーは、エアコンのガスを冷却する部品です。冷却装置と聞くと同じように感じますが、冷却する部品や目的が異なります。 ラジエーターの冷却水の補充方法 ラジエーターを通る冷却水は、一定量をキープしておかないと冷却性能を維持できません。冷却水が減ってしまうと冷却効率が下がり、エンジントラブルや不具合の原因となります。そのため、日常点検や定期点検では、必ず冷却水の量を確認しましょう。 冷却水が減っているかどうかは、エンジンルーム内の冷却水のリザーバータンクを見て確認します。リザーバータンクの位置や色は車によって異なるため、各車種の取扱説明書で確認してください。 リザーバータンクには「LOW」と「HIGH」の目盛りがあり、水量が「LOW」と「HIGH」の間に位置していれば問題ありません。しかし、「LOW」ギリギリだったり、「LOW」を下回っていたりするときは、冷却水の補充が必要です。 補充する冷却水は、指定の冷却水を使うことをおすすめします。カー用品店や量販店などで冷却水を購入する場合は、車種に適合するものを選ぶようにしてください。また、薄めて使うタイプやそのまま入れるタイプなど、さまざまな冷却水があるため、注意書きを確認して適切な方法で補充しましょう。 冷却水を補充する際は、エンジンルーム内にこぼさないよう慎重に入れてください。 ラジエーターの故障時の症状 ラジエーターは、経年劣化や外部の環境など、さまざまな影響により故障することがあります。ここからは、ラジエーターが故障した際に起きる症状について解説します。 エンジンルームから甘いにおいがする エンジンルームから甘いにおいがするときは、冷却水が漏れている可能性が高いです。エンジンを始動しているときやエンジンルームを開けたときに甘いにおいが漂ってきた場合は、ラジエーター周辺の故障が考えられるため、早めに修理工場やディーラーにクルマを持ち込み点検してもらいましょう。 水温警告灯が点灯する 水温警告灯(赤)が点灯したときもラジエーター関連が故障している可能性が高いです。水温警告灯(赤)は、エンジンを冷却する冷却水が何らかの理由により高温になったときに点灯します。冷却水が高温のまま走行を続けると、オーバーヒートをはじめとするさまざまなトラブルが起きる可能性が高くなるため、早めにクルマを安全な場所へ停止させ、クルマを冷やすようにしてください。 エアコンの調子が悪い エアコンの暖房の効きが悪いときは、ラジエーターに循環する冷却水が漏れている可能性が高いです。クルマのエアコンの暖房は、冷却水の熱を利用して暖かい空気を作り出しています。つまり、暖房の効きが悪いということは、エンジンの熱によって温まった冷却水が正しく循環していないことを意味します。そのため、暖房の効きがいつもより悪いと感じたときは、そのままにせず早めに車の点検をしてもらいましょう。 ラジエーターの故障・破損の原因 ラジエーターが故障したり破損したりすることがあります。ここからは、ラジエーターの主な故障・破損の原因を解説します。 冷却水液の不足・劣化 冷却水の液量不足や冷却水の劣化が原因で、ラジエーターが故障したり破損したりすることがあります。冷却水は、エンジンの冷却に欠かすことができない重要な液体です。その冷却水が減ったり劣化したりすると、エンジンを正しく冷却できなくなります。冷却性能を落とさないようにするためにも、冷却水の液量点検や定期的な交換をしましょう。 ラジエーターキャップ・ホースの劣化 ラジエーターキャップやホースは、温度や圧力の変化が激しい冷却水に耐えられる構造となっています。そのラジエーターキャップやホースが劣化すると、圧力の調整ができなくなったり耐圧性が下がったりするため、ラジエーターが正しく機能しなくなります。このようなトラブルを避けるためにも定期点検を実施し、キャップやホースに異常がないか確認しましょう。 タンクの損傷 ラジエーターのアッパータンクやロアタンク、リザーバータンクが破損するとエンジンに冷却水が循環しなくなり、ラジエーターが機能しなくなります。定期点検や日常点検では、ラジエーター本体だけでなくタンク類の点検も欠かさずに行いましょう。 ラジエーターのメンテナンス ラジエーターは、車にとって欠かすことができない冷却装置の一部です。そのため、定期的な点検やメンテナンスが必要となります。ここからは、ラジエーターのメンテナンスについて解説します。 冷却水の残量を確認する 冷却水の液量は定期的に確認しましょう。決まった時期に液量を点検していれば、冷却水が減るペースを知ることができます。 冷却水が減るペースが早くなってきたときは、冷却水が漏れている可能性が高いです。ラジエーターの故障を防いで安心して運転を楽しむためにも、定期的に冷却水の液量点検をしておくことが大切です。 コアとホースを確認する コアやホース・タンク類は、ラジエーターに冷却水を循環させるために必要なパーツです。コアが変形していたり、ゴムや樹脂などでできているホースやタンク類がひび割れたり劣化していたり硬化していたりすると、冷却・放熱性能に影響する可能性が高いため、早めに点検し、必要に応じて部品交換しましょう。 冷却ファンを確認する 冷却ファンが正しく作動しているか確認するのも大切なポイントです。ファンが回っていなかったり、ファンを回す部品から異音がしたりするときは、ディーラーや整備工場に車を持ち込んで点検や修理を依頼しましょう。 ラジエーターキャップと加圧バルブをチェックする ラジエーターキャップや加圧バルブに不具合がないか確認しましょう。キャップや加圧バルブに不具合が起きると、冷却水を正しく循環させることができなくなります。 ただし、エンジンが温まっているときにキャップを開けると、熱せられた冷却水が噴出するため、キャップを開けるときはエンジンが冷えていることを確かめてから開けてください。また、キャップを確実に閉めましょう。 もし、キャップの取り扱いに自信がないときは、ディーラーや整備工場などに依頼することが大切です。 ラジエーターの故障時の対応方法 ラジエーターが故障すると、エンジンや発熱部品などの冷却が行われなくなるため大変危険です。そのため、水温警告灯が点灯したときは、安全な場所に車を停め、エンジンルームを冷やしてください。冷やしても異常が解消されないときは、ロードサービスを手配し、整備工場やディーラーなどに運んでもらい、点検や修理をしてもらいましょう。 ラジエーターの交換は必須? ラジエーターは、経年劣化によって性能が低下するため、定期的に交換する必要があります。交換頻度の目安は下記のとおりです。 ・普通車:8〜12年・軽自動車:6〜10年 なお、冷却水は2年を目安に交換することをおすすめします。同じ冷却水を長く使うと、ラジエーターの腐食や損傷につながります。 ラジエーターの修理費用 ラジエーターの修理費用は、故障部位や交換部品によって異なります。主な修理箇所や費用は次のとおりです。 ・冷却水の補充や交換:数千円〜数万円・ホースやタンク類の交換:数万円程度・キャップの交換:数千円・ラジエーター本体の交換:数万円 車種によってラジエーターの種類や部品が異なるため、詳しくはディーラーや整備工場などで見積もりを取ってください。 まとめ ラジエーターは、クルマのエンジンや発熱部品を冷却するために必要な冷却水の放熱装置です。そのため、ラジエーターや関連部品が故障・破損すると、クルマに大きなダメージを与えてしまいます。ラジエーターや関連部品は、クルマにとって重要な部品の1つであるため、定期的な点検や部品交換などを実施し、未然に不具合やトラブルを防止することが大切です。

日産 スカイライン 2000GTターボはGT-Rの再来!? 西部警察にも登場した懐かしいモデルを振り返る
旧車の魅力と知識 2024.03.11

日産 スカイライン 2000GTターボはGT-Rの再来!? 西部警察にも登場した懐かしいモデルを振り返る

環境規制に適合しつつ、圧倒的なハイパフォーマンスを誇ったスカイライン 2000GTターボ。5代目スカイラインの追加モデルとして、当時の日産が満を持して投入しました。 性能面で遅れをとっていた5代目スカイラインの評判を一気に挽回した、スカイライン 2000GTターボについて詳しく振り返ってみましょう。 「ジャパン」の愛称で呼ばれた5代目スカイライン スカイライン 2000GTは、5代目スカイラインの上位モデルとして1977年に登場しました。「日本の風土が生んだ名車」としての誇りを込めた「SKYLINE JAPAN」の名を冠していたことから、世間では「ジャパン」の愛称で親しまれるようになります。 しかし、実はフルモデルチェンジを行った1977年にはラインナップにターボモデルはありませんでした。5代目スカイラインの真打ちともいえる、スカイライン 2000GTターボの誕生について振り返ってみましょう。 GT-Rの再来と呼ばれたスカイライン 2000GTターボ スカイライン 2000GTターボがラインナップに追加されたのは、マイナーチェンジを行った翌年の1980年です。5代目スカイラインでは高性能グレード「GT-R」が設定されていなかったため、ターボモデルの追加はGT-Rの再来を感じさせました。 また、前年のマイナーチェンジで大きく変更された外観も、スカイライン2000GTターボの魅力をより際立たせています。歴代スカイラインで受け継がれてきた丸目4灯のヘッドライトを、現代的で洗練された角目2灯に刷新。性能、デザインともに国産最高峰のGTカーと呼べる存在でした。 日産3車種目のターボ車として充実したラインナップ スカイライン 2000GTターボは、日産にとって3車種目の量産ターボ車です。しかも、量産車としてはターボチャージャーはまだ特別な存在でしたが、一部のスポーツモデルだけでなく幅広いラインナップが用意されます。特に、AT車にターボを搭載したのは、国産車で初めての試みでした。 まず、セダンとハードトップの2タイプのボディを用意し、それぞれGT-E、GT-E L、GT-E・X、GT-E・Sの4グレードを設定。合計8モデルもライナップしたところから、日産にとってスカイライン 2000GTターボが重要だったことがわかります。ターボの高い性能を存分に発揮するのは、2ドアハードトップのスポーツグレードGT-E・Sですが、さまざまなユーザーがスカイライン 2000GTターボの力強い走りを堪能しました。 燃費とハイパフォーマンスを両立 スカイライン 2000GTターボは、高出力だけでなく「低燃費」「低公害」も掲げていました。当時世界一厳しいといわれた昭和53年(1978年)の排ガス規制が施行されるなど、時代背景として環境性能は重要なポイントだったためです。実際、5代目スカイラインに当初高性能モデルが投入できなかったのは、排ガス規制への対応が難しかったことも一因といわれています。 「“省燃費”と“高性能”を両立させた夢のエンジニアリング」というキャッチコピーで、日産はターボの魅力をアピール。従来捨てていた排気ガスの圧力を高出力化に利用するターボエンジンは、環境性能との両立を図るうえで理想的な機構でした。 圧倒的な個性を放っていたスカイライン 2000GTターボ 直接のライバル車だったトヨタ セリカが、「名ばかりのGT達は、道を開ける。」というキャッチコピーを掲げるほど5代目スカイラインは性能面で水をあけられていました。しかし、ターボ車の登場で、スカイラインは本来の輝きを取り戻します。 当時の大人気ドラマ「西部警察」にも登場した、スカイライン 2000GTターボの魅力をみていきましょう。 レーシングカー開発の経験がフィードバックされたターボ スカイライン 2000GTターボのエンジンが高性能だったのは、日産が開発にあたっていたレーシングカーR383の技術が盛り込まれていたためです。自然吸気だったL20E型エンジンにターボを搭載したL20E-T型エンジンは、最高出力145ps、最大トルクに至ってはライバルのセリカを圧倒的に凌駕する21.0kg・mを発揮します。 点火時期を最適化する電子制御式のノックセンサーや専用設定のニッサンEGI(電子制御燃料噴射装置)など、先進の技術が注ぎ込まれていました。 スパルタンな印象のインパネがかっこいい インパネとメーターパネルは、スカイライン 2000GTターボ用に刷新されました。デザイン上の最大の特徴は、水平ゼロ指針に統一された各種メーターです。速度計や回転計に加えて、ターボ搭載モデルであることを象徴するブースト計などの4つのメーター全てが水平ゼロ指針で整然と並ぶデザインは、よりスパルタンな印象を演出しています。 西部警察の劇中車として登場 スカイライン 2000GTターボの話題として外せないのが、当時の大ヒットドラマ「西部警察」の劇中車として登場した特別車です。マシンXと呼ばれたこの車輌には、渡哲也のこだわりが詰まっています。犯人追跡用のペイント弾発射装置やリモコン操作可能な大型サーチライトなどの劇中の特別装備だけでなく、カンパニョーロ製スカイライン専用ホイール、レカロシート、ナルディステアリングを装備し、単純なカスタムカーとしても高い完成度を誇っていました。 「ジャパン」のなかでも人気の高いターボシリーズ モデルチェンジ当初は高性能車を投入できず、不遇だった5代目スカイラインジャパン。しかし、スカイライン 2000GTターボの登場によってライバル車の挑発や世間の評価をひっくり返しました。現在でも高い人気を誇る旧車の1つで、旧車王でも、2ドアハードトップの2000ターボGT-E・Sを280万円で買取しました。2000GTターボは西部警察の劇中車だったというだけでなく、旧車としても高い価値のあるモデルといえます。 ただし、発売から40年以上が経過したクルマのため、市場での流通量は年々減少している点に注意が必要です。流動性の低い車種は正しく査定されないこともあるため、売却する際は旧車専門の買取業者に相談することをおすすめします。

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