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旧車の魅力と知識

高級で速い最強のバブリーセダン!シーマ現象を巻き起こした日産 初代シーマ
旧車の魅力と知識 2021.04.06

高級で速い最強のバブリーセダン!シーマ現象を巻き起こした日産 初代シーマ

バブル景気に湧いていた1980年代後半に、「シーマ現象」という社会現象まで引き起こした高級車があります。 255馬力ものパワーを発生する、新開発のV型6気筒DOHCターボエンジンに、先進のエアサスペンションを装備し、最上位グレードは500万円超にもなった、日産 Y31シーマをご紹介します。 バブルという時代を反映して生まれた、初代シーマY31型 日産 Y31シーマは、既に販売されていたトヨタの高級車、クラウンの3ナンバーモデルに対抗するために開発されたピラーレスハードトップ車です。 当時クラウンを始め他社の3ナンバー車は、5ナンバー車の派生という位置付けだった中、Y31シーマは3ナンバー車専用車種として開発されました。この点がクラウンとの差別化にもつながり、ベースグレードでも300万円超という価格にも関わらず、販売初年度で36,400台の販売するほど大ヒット。「シーマ現象」という言葉まで生まれたのです。 バブルの象徴シーマ現象 Y31シーマ発売当時の日本は、いわゆるバブル景気の絶頂期を迎えようとしていたタイミング。高級志向が加速して、とにかく高価で高級ものを買うことが正義といった風潮がありましたした。 最上位グレードが500万円超にもなったシーマは、とにかく高いものを買いたいという当時のニーズに見事にマッチ。高級3ナンバー車としては、異例の大ヒットとなったことで、シーマ現象という言葉が生まれたのです。 伊藤かずえさんも乗っている Y31シーマシーマ発売当時から、今も女優として大活躍している伊藤かずえさんも、有名なシーマオーナーです。 当時から30年以上乗っている伊藤さんの所有しているモデルは、もちろん最上位のタイプIIリミテッドで、255馬力のVG30DETエンジンを搭載。日産自らが伊藤さんのシーマのレストアを行うことを発表し、大きな話題になりました。 国内最強の255馬力を発生する新開発エンジン Y31シーマに搭載されたエンジンは、NAとターボの吸気方式の異なる2種類の3リットルエンジン。どちらのエンジンも国産初のV型6気筒エンジンとなったVG型エンジンをDOHCモデルに進化させ、NAエンジンのVG30DEは、スポーツカーとして人気の高かったZ31フェアレディZにも搭載されていました。 さらに、新開発となったターボ仕様のVG30DETは、255馬力ものパワーを発揮しています。 上位グレードに搭載の255馬力ターボエンジン 上位モデルのタイプII-sとタイプIIリミテッドに搭載された新開発のVG30DETは、255馬力を発生し、当時、国産最強エンジンとも言われました。そんな最強エンジンのハイパワーを受け止めるには、Y31シーマのシャシーはやや役不足。アクセルを踏み込むリアが大きく沈み込み、ウィリーをしそうになるほどの爆発的な加速を見せます。 この尻下がり加速姿勢は、エンジンがシャシー性能を上回っていたことに加え、バイクのスイングアームのように後輪を前側から引っ張る形のセミトレーリングアームというサスペンション構造を採用していたことも大きな要因でした。押し出し感と威厳のある顔つきのY31シーマが、時にはお尻を擦りながら猛然と加速していく姿は、みんながパワフルだったバブル期を象徴する景色だったとも言えるでしょう。 エアサスについて 高級車として開発されたY31シーマは、足回りもエアサスペンションを装備するという豪華仕様。通常のバネを使用したモデルもありますが、やはりY31シーマを語るのであれば“エアサスモデル”は外せません。 先進の技術で高度なコントロールが可能だった Y31シーマのエアサスは、4つのモードを選択すると、走行状態や路面状況に応じて、車高、バネレート、減衰力をそれぞれ自動で制御する電子制御式。例えば、スポーティモード選択時に高速走行を行うと、車高が低くなり、減衰力がミディアムに制御され、走行安定性を確保します。 泣きどころは壊れやすさと高額な修理費用 ユーザーの好みにセッティングできるエアサスですが、最大の弱点は、お約束とも言われるほど故障が多かったこと。数年経つと発生する故障で、特に多かったのはエア漏れです。 エア漏れの原因は、エアチャンバー(空気バネ)本体の破損やパイピングの継ぎ目などさまざま、最悪の場合、数十万円以上の費用がかかることもあります。また、例え過去に修理したことがあったとしても、数年すると再び故障する可能性も低くありません。そこで、純正のエアサスを取り払い、社外品の車高調整式サスペンションに交換するユーザーも多くいます。 まとめ Y31初代シーマは、高額でも飛ぶように物が売れたという“バブル”の時代背景を追い風に、ボディ、エンジン、足回りと惜しげもなく資金を投入して開発されました。当時の国産車ではまだ限られていた、3ナンバー車の大きな車体、豪華な内装、そして高級車とは思えないパワーと加速性能、文字通り日産の技術を結集。当時の国産車の中で、最高峰に君臨するマシンであったことは間違いありません。 当時新開発だったVG30DETは、同じくV6エンジンで現在も製造されている、VQ型エンジンの礎となり、3ナンバー専用車種としてヒットしたことは、Y31シーマの翌年に発売されたトヨタ セルシオの登場にも大きな影響を与えたと言われています。 あまりにも爆発的に売れ、時代を象徴する存在にまでなってしまったY31初代シーマは、“バブルの徒花(あだばな)”と言われてしまうことも少なくありせん。しかし、効率重視の現代からすれば無駄と言われてもおかしくないほどの開発費を投じたことは、決して無駄ではなかったのです。 [ライター/増田真吾]

30セルシオの前期と後期の違いは外観!簡単な見分け方を解説
旧車の魅力と知識 2021.04.01

30セルシオの前期と後期の違いは外観!簡単な見分け方を解説

トヨタの高級セダンとして君臨していたセルシオの中で、今でも特に人気の高いのが、トヨタブランドとして最終型となる30系セルシオです。30系セルシオは、発売後にマイナーチェンジを行っていて、その前後で仕様が異なります。 今回の記事では、30系セルシオのマイナーチェンジ前後に注目して、その違いを詳しく解説しますので、いくつ知っているか確認してみてください。 トヨタブランド最後のセルシオ UCF30/31型セルシオ、通称30セルシオはトヨタの高級車の定番、クラウンを超える車格として市場に投入されたセルシオの3代目モデルです。30系セルシオを最後に、セルシオのベースとなったLSシリーズを販売するレクサスに移管されたため、3代目セルシオがトヨタブランド最後のセルシオとなりました。 元々、最高級車という位置付けで開発されたセルシオですが、特に3代目となる30系セルシオは、「21世紀の最高級車の頂点のあり方の深求」というテーマで開発され、ボディサイズや内装の豪華さだけではなく、数々の先進の装備も投入されたモデルでした。 また、途中でマイナーチェンジも実施され、前期モデルと後期モデルが存在しています。 グレードやオプションが細分化されていた 多くのグレードやオプションが設定されていたのも、30系セルシオの特徴です。花形は、エアサス装備で車両形式も異なるC仕様で、それ以外に、基本となるA仕様やB仕様、スポーティなeR仕様が展開されていました。また、C仕様も快適装備と内装オプションによってさらに細分化されています。 エンジンは4.3Lにサイズアップ 3UZ-FE型となったV型8気筒エンジンは、先代の20系セルシオの4Lから4.3Lに排気量アップ。中低速域のトルクが太くなり、よりスムーズな発進や加速を実現しています。 2003年のマイナーチェンジでさらにゴージャスな外観に 30系のセルシオは、2000年8月に発売された後、2003年8月にマイナーチェンジを行っています。マイナーチェンジとはいっても、ヘッドライトの大型化や、6速ATの搭載等、かなり大掛かりなリファインとなりました。2003年8月以前のモデルが前期、それ以降が後期と呼ばれています。 前後期でもっとも大きな違いは精悍な顔つきとなった外観デザイン 外装の主な違いは、ライト類、ホイールデザイン、トランクデザインの変更です。特に、車の印象に大きな影響を与えるヘッドライトの変更によって、より精悍なイメージとなりました。 ライト類のデザイン見直しと高機能化 外観の違いにもっとも大きく影響を与えているのは灯火類の見直しです。 ヘッドライトは、大型化され、デザインも丸みのある前期のデザインから、少し角のあるデザインに変更。そして、ヘッドライトの大型化に伴い、ボンネットのデザインもやや変更が加えられており、全体に先進的で精悍なデザインになった印象です。 また、ヘッドライトはデザインだけではなく、車速とステアリング操作に連動して光軸が左右に動くようになり、夜間のワインディングロードなどで進行方向を照らすなど、高機能化も図られました。一方、テールライトは見た目には大きく変わりませんが、光源がLED化され、視認性が向上しています。 トランクデザインの変更で高級感が増した 大きな変更点ではありませんが、テールライトの形状変更に伴って、トランクの持ち手部分がやや左右に広くなり、トランク全体が、より安定感と落ち着きを演出するデザインになりました。 アルミホイールのデザイン一新とインチアップしたグレードも存在した 17インチというサイズは同様ながら、全仕様標準装備のアルミホイールのデザインが一新されました。また、eR仕様にはインチアップとなる、18インチホイールが装備され、よりスポーティになっています。 見た目は同様ながらも先進技術で安全性の飛躍的向上 内装については、前期、後期で細かな変更点はありますが、全体としての見た目はほとんど違いがありません。しかし、先進の装備によって安全性が飛躍的に向上。また、後部座席の快適性を高める装備も追加されています。 衝突を未然に回避するレーダーシステム プリクラッシュセーフティシステムと呼ばれるシステムで、ミリ波レーダーで障害物を検知します。レーダーが障害物を検知すると、車の状況に合わせて、ブレーキアシスト、シートベルト巻取、サスペンションコントロールが自動で作動する先進の安全装備です。また、運転席、助手席の衝突時の下半身を保護する、SRSニーエアバッグも追加されました。 後席の快適性も向上 シート表面から温風、冷風が吹き出すコンフォータブルエアシートが、従来の前席に加えて後席にも装備されました。また、足元照明やミラーの設置など、後席の快適性を高める変更がされています。 新開発の電子制御6速ATがエンジンパワーを発揮させた エンジンは前後期共に同じですが、新開発の6速ATの採用とそれに伴うECUの変更で、加速性能が向上しただけでなく燃費も向上しました。また、ブレーキの仕様変更に伴って、ブレーキキャリパーのサイズが大きくなった点は注意が必要です。 新開発の6速ATで加速性、燃費が向上 後期で採用された新開発の電子制御6速ATによって、サイズアップしたエンジンのパワーとトルクをより活かせるようになりました。スムーズな繋がりでストレスのない発進、加速となり、ロスが減ったことで燃費も向上しています。シフトマチックも採用し、MTに近い操作感もおおきな魅力です。 キャリパーのサイズが違うので注意が必要 30系セルシオで採用された一体成型のブレーキキャリパーは、20系に比べ大型化。さらに後期型ではさらに大型化されたため、使用可能なホイールサイズが前後期で異なります。前期ホイールをそのまま後期に流用することはできず、後期用としてホイールを購入する際は、ホイールがキャリパーに干渉しないかの確認が必要です。 トヨタの思いが込められた30系セルシオ ここまで、30系セルシオの前期、後期の違いをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。 前期と後期で、外観の印象の変化もさることながら、マイナーチェンジにも関わらず、当時の先進技術を惜しみなく投入して性能の向上を図った点から、トヨタのセルシオにかける思いが伝わってきますね。 [ライター/増田真吾]

「直列6気筒を捨てた」残念なモデルから伝説のモデルに昇華したR30スカイライン
旧車の魅力と知識 2021.03.23

「直列6気筒を捨てた」残念なモデルから伝説のモデルに昇華したR30スカイライン

ハリウッド映画さながらのド派手なアクションと爆破シーンで、今や伝説とまで言われるTVドラマ「西部警察」。そんな西部警察を象徴するのが、さまざまな改造を施されたスーパーマシンです。 今回は、西部警察の中でも大門団長のスーパーZ(フェアレディZ 280 Tバールーフ 2by2)と並びRS軍団として主役級の活躍を見せた、モデルとしては6代目となるR30スカイラインを振り返ってみましょう。 数多くの大胆な試みが、日産流自動車作りの財産に 6代目スカイラインが生産されたのは、1981年から1990年まで。多彩なボディバリエーションにGTまたはTIという基本2系統からなるグレードが与えられています。 ターボチャージャーの追加やインタークーラーの搭載、点火系の変更、パワステとパワーウインドウの採用、ラジエターグリルの廃止、バケットシート、ブロンドガラスの採用、などなど、ほぼ年次ごとに事細かな改良・改善が加えられました。 ある意味、年次ごとに事実上の別モデル扱いとなる現代的自動車のあり方を示したパイオニアであり、その試行錯誤こそが後々に生まれる純血のサラブレッド“R32型GT-R”として実を結んだのです。 厳しさを増す排ガス規制と安全性の高まりを受けて 当時は公害をはじめ、環境破壊問題がいま以上に弾劾されていた時代。象徴とされた排ガスの規制や公道における暴走行為の取り締まり、ひいては安全志向の高まりなど、スポーツ走行を楽しむには厳しい状況下にありました。 それでも日産は輝かしい走りの伝統を受け継ぐべく、モータースポーツ好きとして世界的に知られるハリウッド俳優のポール・ニューマンを起用したイメージ戦略を打ち、環境面にも配慮した「ハードトップ2000GT-E・S(HR30)」を誕生させます。 伝統の直列6気筒から4気筒エンジンへ ハードトップ2000GT-E・S(HR30)に搭載された1998cc直列6気筒SOHCターボエンジンは、最高出力145馬力を発生。日産モータースポーツの系譜に連なるには十二分過ぎる実力を秘めていました。 しかし、「4バルブなくしてDOHCは語れない」というキャッチコピーのもと、1981年10月に登場した2000RS(DR30)に搭載されたFJ20E型エンジンは、4気筒のNAでありながら最高出力150馬力を発生。さらに、1983年にはFJ20E型にターボを装着し、最高出力190馬力を誇る2000ターボRS(DR30JFT)が誕生し、スカイラインのトップモデルは6気筒から4気筒へと移り変わることになります。 国産車初のリッター100馬力を突破 「史上最強のスカイライン」というキャッチコピーが与えられた2000ターボRSですが、往年のスカイラインファンから「直列6気筒を捨てた」と言われ、批判的な捉えられ方をされてしまいます。 理由は伝統の直列6気筒エンジンを搭載していなかったことと、GT-Rの名を名乗らなかったこと。もちろん日産社内にもGT-R復活を熱望する声が多くあったそうですが、最先端の直列6気筒DOHCエンジンを搭載できなかったため、GT-Rの名が復活することはありませんでした。 しかし、1984年にはラジエターグリルレス仕様の後期型がデビュー。「鉄仮面」という愛称で親しまれると共に、2000ターボインタークーラーRSの最高出力は205馬力に到達。国産車として初めて「リッター100馬力の壁」を突破し、以後ターボエンジン搭載モデルによるパワー競争の火付け役となりました。 また、RS(レーシング スポーツ)の名の通り、グループ5規定の富士スーパーシルエットシリーズをはじめとしたさまざまなレースで活躍。発売当時の批判を跳ね返すかのように、R30スカイラインはマニア垂涎の名車となったのです。 R30スカイラインカスタムのお手本は西部警察!? R30スカイラインの人気をさらに高めたのが、冒頭にも触れた「西部警察」での活躍です。 西部警察パートIIIに登場したRS軍団は、RS-1、RS-2、RS-3という3台のDR30スカイラインが登場。その人気はかなりなもので、中には劇中車を忠実に再現したオーナーがいるほど、DR30スカイラインカスタムの定番となっています。 西部警察RS軍団カスタムの基本は、赤と黒に塗り分けられたツートンカラーと、ゴールドのメッシュが渋すぎる「エンケイ メッシュ4」。さらに、日産プリンス純正のエアロブランド「AD Three」のエアロパーツを装着すれば、かなり劇中車に近い1台を作り上げることができます。 R35GT-Rへと続くメーカーのこだわり 「直列6気筒を捨てた」と批判され、「この前買ったばかりなのにもう型遅れじゃないか!」というクレームも多かったというR30スカイライン。しかし、そんな数々の悪評に負けず、ほぼ毎年のように改良を重ね、モータースポーツやテレビで活躍することで確固たる地位を築いたモデルでもあります。 そんな常に進化を続ける不屈の精神と、メーカーとしての強いこだわりは、2007年の誕生から2021年の今も進化し続けるR35GT-Rへと受け継がれているのです。 [ライター/増田真吾]

これぞ名機!根強い人気を保つ日産「L型」エンジンの魅力に迫る
旧車の魅力と知識 2021.03.15

これぞ名機!根強い人気を保つ日産「L型」エンジンの魅力に迫る

いまや日産の直列6気筒エンジンといえば「R32型GT-R」などに搭載された「RB型」が有名ですが、マニアの間では「RB型」以前に一斉を風靡した「L型」こそを象徴とする傾向があります。そこで、名機の誉れ高い「L型」直列6気筒エンジンの魅力についてご紹介していきましょう。 「技術の日産」というイメージを決定づけた傑作ユニット 海外製自動車をお手本に設計されていたいわば亜流時代を経て、日本独自のアイディアや機構を盛り込んだ新時代エンジンが登場し始めた1960年代に日産は「L型」エンジンを開発。汎用性と耐久性に長けていただけでなく、滑らかな回転をもつシルキー&パワフルなその直列6気筒は世界中で高く評価され、長きに渡って日産の主流ユニットであり続けました。 生産性の向上を目指して開発されたエンジンだけあって、日産が大量生産するエンジンの基本コンポーネンツが共通化されており、幅広い互換性を持っていたのが最大の特徴。4気筒のL型や1965年に「セドリックスペシャル6(130型)」に搭載された旧L20型エンジンを含めれば、1960年代中盤から1980年代前半まで約20年間もフル活用されていたのです。 耐久性と汎用性がチューニングするにはもってこい 直列6気筒ならではのスムーズな回転フィーリングは、このエンジンが出回り始めた当時のまさしく高級車の味わい。直列4気筒よりも6気筒、SOHC(シングル・オーバーヘッド・カムシャフト)よりもDOHC(ダブル・オーバーヘッド・カムシャフト)、NA(自然吸気)よりもターボ装着車の方が格上。メカニズム的なことを語るより、単純明快な理解こそが当時の自動車のあり方を如実に示しています。 しかし、冒頭で触れた「RB型」にも脈々と受け継がれている基本設計コンセプトが証明するように、スピード至上主義者=チューナーの目からみてもすこぶる魅力的なエンジンでした。 一定以上の燃費性能が求められる現在、多くのエンジンは軽量化のためにアルミ製のブロックを使用しています。しかし、L型エンジンのブロックは鋳鉄製で、重い代わりに耐久性に優れているという特徴があります。 耐久性と汎用性が高いということは、耐久性=チューニング、汎用性=使いまわしが効く、と言い換えていいでしょう。極端なことを言えば、4気筒ユニットの部品や派生版のディーゼルユニットの部品を自在に組み合わせて、自分好みのエンジンに育てることができました。そして、日本各地に点在していたチューナーが紆余曲折、試行錯誤を重ねた結果にたどり着いたのが、かの「L28改」という名高きモンスターユニットだったのです。 チューニング次第では公道最強を誇るL28改ユニット L型エンジン最大の特長は生産期間においてターンフロー型であり続けたこと。ターンフローとはレシプロエンジンにおけるシリンダーヘッドの排気形態を指しており、吸気口と排気口をエンジンヘッドの片側にセットで設置することで空気の流れを一体化。最新型のエンジンに比べまだまだ低出力だった時代には、低回転域において出力を向上させることができる方式でした。 現在は左右に吸気口と排気口を置くクロスフロー型が主流ですが、ターンフロー型はエンジン加工やしやすく、さらには高回転・高出力が望めるツインカム化もしやすいというメリットもあります。 1.3Lから2.8Lディーゼルまである豊富なバリエーション さらなるパワーとトルクを獲得するべく、より口径が大きいピストンを組み込んで排気量を拡大するボアアップ、前述したツインカム化、あるいはターボチャージャーの装着。耐久性と汎用性が高いL型エンジンは、4気筒1.3〜1.8リッターはもちろん、6気筒2.0〜2.8リッターまで、ほとんどのモデルのジャーナル径やピッチが共通化されています。 そのため、クランクやコンロッドの自由な組み合わせが可能で、強度の高い鋳鉄製のエンジンブロックはチューニングを施すうえで特別な補強を施す必要もありません。 排気量アップやターボチューンも可能 そんな、魅惑の「L型」エンジンの最大排気量版である2753cc のL28型をベースにしたのがいわゆる「L28改」です。 基本的な方法は3mmボアの大きい「FJ20型」エンジンの純正ピストンとストロークの長いLD28型ディーゼルエンジン用の純正クランクシャフトを流用。さらに、L14型のコンロッドを流用しつつ、わずかな加工を施すことで3.1リッター化を目指します。 次いで、社外品の88.5mmピストンと85mmクランクを用いつつ、強度がもっとも高いとされる「N42」に刻印があるエンジンブロックを下敷きにして3.2リッターへ。そのうえでヘッド面研やポート加工、クランク後端短縮加工などを施せば、自然吸気にして300馬力オーバーも可能です。 手間は掛かるが反応をダイレクトに感じられたキャブチューン そんなL型エンジンの定番チューンである排気量アップですが、排気量が増えれば当然燃料の量、つまりより口径の大きなキャブレターへの交換やセッティングが必要になります。世のチューナーたちは点火プラグの焼けを確認しながら、燃料の量が適量なのかを判断していました。 ものすごく簡単に言えば、点火プラグが焼け気味なら番手の大きなジェット(燃料増)へ、かぶり気味なら番手の小さなジェット(燃料減)に交換。もちろん調整する際はエンジンを止め、交換する際は毎回キャブレターを外さなくてはいけません。 ただ、現代の電子制御に比べ、チューンへの反応はダイレクト。それは仕組みが単純であると同時に“平凡”だった「L型エンジン+キャブレター」の組み合わせだからこそなしえたことなのかもしれません。 存在そのものがプレミア化したL型エンジン そんなL型エンジンをネットオークションで検索してみると、個別のパーツやシリンダーブロックのみなど、単体部品での販売がほとんど。チューニングされたNA3.0リッター仕様のコンプリートエンジンともなれば、100万円を下回る落札価格はまずあり得ない状況です。専門ショップ謹製のコンプリートエンジンならいざ知らず、いわゆる中古エンジンはオーバーホールを施すことが大前提。 エンジンを搭載された車両をまるごと購入するという手も残っていますが、既に生産されていないエンジンであるため入手性は極めてよくありません。これからL型エンジンを購入するなら、軽自動車が新車で買える程度の予算は覚悟しましょう。また、解体屋を回りつつネットオークションをこまめにチェックは当然として、あらゆることを相談できる専門店に相談するのがおすすめです。 偉大な余白を持ったベーシックエンジン L型エンジンが名機と呼ばれる理由は、幅広い車種に搭載されてきたことと、長年主力エンジンであり続けたことに尽きます。一部にはスポーツエンジンとして開発されたL型も存在しますが、L型エンジン本来の姿は低い生産コストと汎用性。そのいかにもベーシックなテーマで開発されたからこそ多くのバリエーションが誕生し、それは結果として純正パーツの組み合わせで排気量アップできるという副産物をもたらしました。 そしてベーシックだからこそ、チューニングによって鍛え上げられる“余白”が残っています。リッター100馬力が当たり前、そして軽量で燃費の良い現代のエンジンにはないその余白もL型エンジンの大きな魅力なのです。 [ライター/増田真吾]

グランツーリスモの意味とは?スポーツカーとの違いも解説!
旧車の魅力と知識 2020.11.16

グランツーリスモの意味とは?スポーツカーとの違いも解説!

「グランツーリスモ」と聞いてレースゲームや世界の名だたるGTカーを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。しかし、「グランツーリスモ」の生い立ちは、まだ移動手段としてまだ馬車が当たり前だった19世紀イギリスのビクトリア朝時代にまでさかのぼります。 ここでは、「グランツーリスモ」の由来や「グランツーリスモ」と「スポーツカー」の違いついて紹介しますので、参考にしてください。 グランツーリスモとは? 車乗りなら誰でも知っている「GT」という言葉ありますが、実は多くの場合で誤った意味が使われており、本来の意味はあまり理解されていないのが実情です。 「GT」は、正式には「グランツーリスモ」というイタリア語になりますが、その「グランツーリスモ」は自動車のカテゴリのひとつであって、一般的に快適に長距離ドライブをこなすことのできる動力性能と操縦安定性が優れた車のことを言います。 日本でも「GT」がグレード名に付いたモデル数多く発売されてきましたが、その中でもトヨタ2000GTと日産スカイライン(ハコスカ・ケンメリ)は特に有名です。 「グランツーリスモ」の由来と起源 「グランツーリスモ」の起源は19世紀のイギリスにおける貴族階級の教育にあります。19世紀の貴族は子弟の教育のために家庭教師を雇って学問や教養を身に着けさせることが一般的でしたが、その最終プロセスとしてヨーロッパで2~3年に及ぶ修学旅行を行うことがありました。 そして、この旅行を「グランドツアー」と呼んだことが「グランツーリスモ」の由来と言われています。修学旅行で使う馬車は長期旅行に耐えうる丈夫さが必要でしたが、その馬車の制作の多くをイタリアのカロッツェリア(イタリア語で馬車や自動車の車体を製造する会社)に依頼したため、イタリア語の「グランツーリスモ」が使われるようになったと言われています。 「グランツーリスモ」と似た意味の言葉 「グランツーリスモ」は大旅行を意味する「グランドツーリング」から派生した言葉であり、元々は長距離走行に適した高性能な自動車を意味する言葉でした。 日本では意味こそ変わらないもの「GT」という呼び名で、独自の文化を歩んできました。 グランドツーリング(グランドツアラー) 日本では昔から高性能車のことを「グランドツーリング」と呼んでいました。そして、「グランドツーリング」を略した「GT」というグレード名が1960年代から1970年のスポーツセダンやクーペに数多く使われました。 つまり、「グランツーリスモ」と似た意味の言葉というよりも、英語の「グランドツーリング」の方が日本人にとって親しみやすかったということなのかもしれません。 「グランツーリスモ」と「スポーツカー」の違い 「グランツーリスモ」と「スポーツカー」の違いは、実はこの2つのカテゴリーには非常に被るところがあり、一概には言えないというのが正直なところです。 ただひとつ言えることは、由来の「グランドツアー」という言葉があるように、人と荷物をしっかり乗せられることが「グランツーリスモ」条件なのかもしれません。 「スポーツカー」の定義 「スポーツカー」の定義は、ざっくりと言うと運転自体を楽しむ車です。したがって、「グランツーリスモ」のように長距離移動は考えておらず、例え快適性が損なわれても走行性能に特化して車が開発されています。具体的には、ミッドシップレイアウトやそれに伴うラゲッジスペースの制限などです。 2019年7月に発表されたコルベットが、フルモデルチェンジを機にエンジンレイアウトがFRからミッドシップに変わりましたが、コルベットの新旧の比較が最もわかりやすい例かもしれません。もちろん、新型コルベットはスポーツカーの部類に入ります。 「GT」という車名は必ずしも「グランツーリスモ」ではない 国際自動車連盟(FIA)や日本自動車連盟(JAF)では、2シーターまたは2+2シーターのクーペのことを「グランドツーリングカー」と定義しています。具体的には、国内モータースポーツのトップカテゴリーであるスーパーGTやル・マン 24時間レースのGTE Proクラスで使用されている競技車両です。 つまり、「GT」という車名は必ずしも「グランツーリスモ」ではないと言えるのです。 まとめ ここまで、「グランツーリスモ」の長い歴史や言葉の意味について解説してきましたが、「グランツーリスモ」の由来や起源に驚いたユーザーも多いのではないでしょうか。 しかし、様々な解釈が存在する今日では、ユーザー自身の価値観で「グランツーリスモ」と呼ぶに相応しいモデルを選択すれば良いのかもしれません。 [ライター/旧車王編集部]

中古車でも1000万円超!?90年代FRスポーツの最高峰!A80型スープラ
旧車の魅力と知識 2020.11.01

中古車でも1000万円超!?90年代FRスポーツの最高峰!A80型スープラ

トヨタを代表するスポーツカーであるスープラは、2019年に新型GRスープラが復活し大きな話題となりました。ところが先代に当たるA80型スープラの人気は衰えることはなく、状態によっては1000万円を超える車両も存在するほど高い人気を誇っています。A80型スープラがそこまで人気となっている秘密と、その魅力について見ていきましょう。 90年代のトヨタフラッグシップスポーツ! スープラとしては4代目(日本では2代目)に当たるA80型スープラは、NA(自然吸気)仕様のSZとツインターボエンジンを搭載するRZをラインナップ。排気量は3.0リッターのみで、NA使用は225馬力、ツインターボ仕様は自主規制いっぱいの最高出力280馬力、最大トルク46.0kgf・m(1997年のマイナーチェンジ後)を発生します。 先代のA70型に比べ、全長は100mm、ホイールベースは45mm短縮。丸みのあるマッシブな見た目とは裏腹に、コーナリングマシンとしての側面を持ちます。 トランスミッションは、国産車初のゲトラグ製の6速マニュアルミッションを搭載。その走りは世界一過酷と言われるドイツ ニュルブルクリンクで鍛え上げられ、ハイパワーFRでありながら高いコントロール性を誇ります。また、モリゾウことトヨタ自動車社長の豊田章男氏が、マスタードライバーになるための訓練としてA80型スープラでニュルブルクリンクを走るなど、現在もトヨタの訓練用車両として活躍しています。 極上のマニュアルモデルは1000万円超! A80型スープラの中古車相場はかなり高騰。もっとも新しいモデルでも2002年製であるため、流通している台数が少ないこともありますが、一般的な中古車と比較すると、かなりのプレミア価格となっています。 原稿執筆時点の2020年10月の中古車情報を確認すると、もっとも安い車両は、1995年式 走行距離約8万km SZ ATモデルで約280万円。年式のわりに走行距離が少なめではありますが、もっとも人気のないNAのATモデルであるため割高感があります。 一方、価格応相談を除きもっとも高いモデルは、1994年式 走行距離1万km RZ 6MTモデルで、その価格はなんと1000万円オーバー。同モデルの新車価格は約440万円であるため、やはりかなり相場が高騰しているということがわかります。 あえての右ハンドルがアメリカで人気 スカイラインGT-Rをはじめとして、1990年代から2000年代前半に発売された日本製スポーツカーの中古車相場が軒並み高騰しています。その原因の一つが、アメリカの25年ルール。これは、もともとアメリカで右ハンドルの車を売ることができなかったところ、製造から25年が経過すると販売と登録が解禁される制度で、アメリカのバイヤーは25年の解禁を待って、日本の中古車を買い付けているのです。 A80型スープラは、まさにこの25年ルールに当てはまっています。さらに言えば、映画ワイルドスピードのヒットにより、“右ハンドルの日本車”が好まれるため、もともと左ハンドルの北米モデルがあるにもかかわらず、日本で販売されていたA80型スープラの中古車価格が高騰しているのです。 雰囲気を味わうだけならNAのATモデルがおすすめ これ以上価格が上がる前に、なんとかA80型スープラを購入したいと考えている方も多いと思いますが、余程強いこだわりがない限り、NAのATモデルをおすすめします。もちろん、A80型スープラと言えばツインターボの6速!といいたいところではありますが、やはり中古車としては高すぎると言わざるを得ません。 また、いくら高性能なFRスポーツとは言え、年式と走行距離からくる“ヤレ”は避けることができず、本来の走りを取り戻すためには相応のメンテナンス費用を覚悟する必要があるでしょう。 NAでは物足りないのでは?と思うかもしれませんが、最新のエンジンに比べ複雑な制御が介入していない分、直6大排気量NAの滑らかでトルクフルな感触をダイレクトに楽しむことができます。 リセールバリューは高値安定 A80型スープラが2002年に販売を終えてから、およそ17年後に5代目スープラ(DB型)が復活。BMWとの共同開発で誕生し、BMW Z4の兄弟車としても大きな話題となりました。そんな現行型スープラは、当然のことながらA80型スープラよりも高い走行性能と最新の安全装置を備えていますが、なんでも新しければ良いと言い切れないのが“車”という文化の面白いところ。 最新型が発売されてもA80型スープラの人気は衰えることはなく、余程保管状態が良くない、または修復歴車でもない限り、買取相場が落ちることはないでしょう。 ただし、A80型スープラならどんな店舗でも高く買ってくれるかと言えばそうではありません。そのため、今回の記事でご紹介したようなA80型スープラの価値をしっかり理解している買取店に相談することが大切です。 [ライター/増田真吾]

R34 GT-Rは最低1000万円超え!?中古車事情に迫る!
旧車の魅力と知識 2020.10.30

R34 GT-Rは最低1000万円超え!?中古車事情に迫る!

日産のみならず日本が世界に誇るスポーツカー“スカイラインGT-R”。その歴史の最後を締めくくることになったモデルが、R34型スカイラインGT-Rです。今回はそんな伝説的な存在でもあるR34型スカイラインGT-Rを振り返りつつ、最低1000万円以上と言われる脅威の中古車相場の秘密について解説していきます。 歴代最後の「スカイラインGT-R」R34 GT-R 通算10代目となるスカイライン(R34)が登場した1998年5月から8か月遅れとなる1999年1月、R34スカイラインGT-Rは誕生します。2007年に新たなGT-Rが誕生しますが、このR34型がスカイラインの名を持つ最後のGT-Rです。 ややグランツーリスモよりの大柄だった先代R33型から一転、全長75mm、ホイールベースで55mmサイズダウン。前後重量配分が改善したこともあり、コーナリング性能の向上が図られています。 最高出力280馬力、最大トルク40.0kg・mを発生するRB26DETTエンジンや、電子制御4駆のアテーサE-TSを継承しつつ、シリーズ初となるゲドラグ社と共同開発した6速MTを搭載。さらに、R34スカイラインGT-Rを語る上で忘れてはいけないのが、上級グレードであるVスペックに装備されていたアドバンスドエアロボディです。レーシングカーに採用されるような大型ディフューザーを前後に装備し、ボディ下面の空気の流速を高めることでダウンフォースを発生。当時の国産市販車としては、究極の空力パーツを装着していました。 ノーマルグレード以外に、走りを重視したVスペック系のほか、乗り心地を重視したMスペック。そのほか、N1耐久レース参戦用ベースモデルであるN1や限定モデルのNür(ニュル)などが存在します。 R34 GT-Rの中古車価格は新車価格3倍~4倍! タイトルにもあるとおり、R34スカイラインGT-Rの中古車相場は、異常と言っても過言ではない状態が続いています。原稿執筆時(2020年10月)の、大手中古車検索サイトに掲載された価格情報は、最安モデルで車両本体価格980万円!状態は走行距離約10万kmで修復歴ありのノーマルグレード、さらにメーター交換歴あり(走行不明ではない)という、通常ではほとんど商品価値がない状態です。しかし、これほどの価格が付いているというのは、ただただ驚かされます。 需要が需要を呼ぶ特殊な中古車価格 R32スカイラインGT-Rの中古車相場が高騰している理由の一つが、“アメリカの25年ルール”が大きく関係しているといわれています。ですが、1999年から2002年まで販売されていたR34スカイラインGT-Rまだ関係のない話です。ではなぜ高騰しているのかと言えば、「需要が需要を呼んでいる」ということが考えられます。 先述したアメリカの25年ルールによって、80年代後半から90年代前半に販売された国産スポーツカーの価格は急騰しました。その記憶があるからこそ、R34スカイラインGT-Rの初期モデルが25年を迎える2024年以降、間違いなく高騰することは誰にでもわかります。つまり「必ず高くなるから買うなら今のうちに買っとけ!」という心理が働いた結果需要が増え、数年前よりR34スカイラインGT-Rの価格、毎年のように相場は上昇し続けているのです。 R34 GT-Rの中古車を買うなら相応の覚悟を! そんな今やスーパーカー並みの価格帯になっているR34スカイラインGT-Rですが、それでも欲しい!というのであれば、一般的な中古車とは違う相応の覚悟が必要でしょう。 どういうことかと言えば、車の性格上、どうしても走りを楽しんでいた個体が多く、修復歴車の比率も決して低いとは言えません。そのため、必然的に修復歴のない個体の価値は上昇することということにもつながります。 ということは、価格が比較的安い修復歴ありの車両(といっても1000万円)を買うか、修復歴のない高価な車両を狙うしかなく、どちらを選んだにしても、欧州のスーパーカーを購入するような覚悟が必要なのです。 もはや財産!国産中古車では異例のリセールバリュー ここまで読んでいただいた奇特な方であればお分かりのように、R34スカイラインGT-Rのリセールバリューは、一般的な尺度が全く通用しません。当時もっともベーシックなグレードの新車価格は約550万円で、上記でご紹介した修復歴ありの個体の価格は980万円。修復歴なしの2001年式 VスペックIIの無改造車の中古車価格はなんと2500万円で、新車価格632万円のおよそ4倍です。 限定モデルでもない国産車で、これほど価格が高騰している車種はR34スカイラインGT-R以外にありません。これから一大決心をして購入を考えている方は、販売価格はもちろんのこと、品質管理をしっかり行える中古車販売店から購入しましょう。 そして、これからR34スカイラインGT-Rの売却を考えているなら、タイミングによって大きく売却価格が変化する可能性があります。売り時を見極めつつ、しっかりと相場と価値を見極められる旧車専門店に相談しましょう。 [ライター/増田真吾]

JDMとは?海外の若者が熱狂する日本車文化
旧車の魅力と知識 2020.10.23

JDMとは?海外の若者が熱狂する日本車文化

「JDM」と聞いて、なんとなく理解しているけど、説明するとなるとよくわからないというユーザーは多いのではないでしょうか?また、「JDM」とあわせてよく聞く言葉で「USDM」がありますが、この2つの言葉は実は似て非なるものなのです。ここでは、25年ルールなども絡めて「JDM」について詳しく解説していきます。 JDMとは?海外の熱狂的な反応を受ける日本の自動車文化 JDMは、Japanese domestic marketの略であり、日本国内市場を表します。 本来ならば日本で普通に販売している状態がJDMなのですが、現在では「アメリカ人が日本仕様にカスタマイズした車」、もしくは「25年ルールで輸出が可能になった右ハンドルの日本車」を「JDM」と呼んでいます。 しかし、25年ルールの車両に関しては、オリジナルコンディションでも「JDM」として認識されており、最近は「JDM」=カスタマイズとは言い切れない部分もあるようです。 JDMとUSDMの違いとは? 「JDM」と「USDM」の違いは、解釈が色々ありますので、少し複雑かもしれません。しかし、カスタマイズという視点で考えると、それほど複雑なことはなく、比較的簡単に理解することが出来ます。 まず、「JDM」は、現地で売っている日本車を日本のパーツを使ってカスタマイズすることです。したがって、ハンドルの位置は左になります。具体例を挙げさせていただくとしたら、インテグラのアメリカ版であるアキュラRSXを日本タイプR仕様にするなどです。 次に、「USDM」は、日本に売っている国産車を日本人がアメリカのパーツや現地仕様にカスタムすることです。例えば、北米ならではのカスタムパーツであるノーズブラが付いていれば、それはまさしく「USDM」カスタムなのです。 JDM流行のきっかけ JDM流行は、大人気カーアクション映画「ワイルド・スピード」シリーズが大きく影響していると言われています。 「ワイルド・スピード」シリーズの顔でもあった今は亡き俳優ポール・ウォーカーが多くの日本車を所有していたことは有名な話しですが、ポール・ウォーカーは父親の影響で幼い頃から根っからの車好きとして育ち、俳優として成功を収めてからもその車好きは止まりませんでした。 そんなポール・ウォーカーが特に愛したのが、R34スカイライン GT-Rと80スープラです。いずれも、劇中にポール・ウォーカーの愛車そのものが登場しています。 シリーズ7作目の「ワイルド・スピード SKY MISSION」のラストシーンにはポール・ウォーカーが所有する白い80スープラが登場しますが、ポール・ウォーカーはこの時点で既にこの世を去っており、チャリティイベントに向かう途中に起きたと言われている交通事故は、実はこの作品の撮影期間中に起きたものだったのです。 日本のチューニングカーとJDMはどこが違う? 日本のチューニングカーと「JDM」の違いについては、一概に言えない部分はありますが、日本のチューニングカーが速く走ることが目的だとしたら、「JDM」は日本車の雰囲気を楽しむためのものです。 したがって、誰しもがどこまで日本仕様を追求出来るかということをテーマにしており、例えば25年ルールで購入したオリジナルコンディションのスポーツカーなどは、アメリカの若者たちの憧れの的になるのです。 パーツにも注目!海外で人気のパーツブランド 海外で人気のパーツブランドの代表は、レイズの鍛造ホイールです。特に日本でも人気のTE37&CE28は本当に人気があります。それは、ヤフオクなどの仲介業者の話しを聞いていてもわかりますが、例えば海外のSNSを見ていても、そのホイールに対する想いが伝わってきます。 しかも、ホイールのチョイスが日本人よりも上手い場合も多く、こちらが関心させられてしまうこともあるくらいです。 今のところ日本のカスタマイズは、「JDM」が象徴するように高い支持を得ていますが、うかうかしているとアメリカの若者に追い越されてしまうこともあり得る状況です。 JDMと25年ルールとは アメリカには、通称「25年ルール」と呼ばれるクラシックカー登録制度が存在します。アメリカでは、右ハンドル車の輸入や走行が認められていません。但し、製造から25年が経過していれば、右ハンドル車であっても輸入が出来るようになるのです。 したがって、アメリカで見かける右ハンドルの日本車は、このルールを用いて輸入された車両ということになります。そして、これこそが究極の日本仕様、すなわち「JDM」というわけです。 アメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ [ライター/旧車王編集部]

旧車・ネオクラシックカーのスポーツカーを卒業するタイミングと手放す方法
旧車の魅力と知識 2020.10.18

旧車・ネオクラシックカーのスポーツカーを卒業するタイミングと手放す方法

昨今は、空前の旧車・ネオクラシックカーと言われていますが、中でもスポーツカーの人気の過熱ぶりはバブルと言っても過言ではありません。しかし、スポーツカーは様々な理由により、いつかは卒業することを余儀なくされます。それは、結婚であったり、はたまた体力的なものだったりします。でも、ご安心ください。世の中には、そんなユーザーを満足させてくれる魅力的な車や売却方法があるのです。 スポーツカー卒業を考えるタイミングとは? スポーツカー乗りにとって、卒業を考えなければならないタイミングが必ず訪れます。それは、結婚のタイミングの場合もあれば、免許を自主返納するタイミングの場合もあるでしょう。 もし、自主返納するまで好きな車に乗れれば、スポーツカー乗りにとって、これ以上の幸せはないはずです。しかし、現実的には人生はそんなに甘くなく、結婚などのタイミングで手放すユーザーがほとんどです。 ここでは、スポーツカーを手放す理由を具体例を挙げてご紹介させていただきます。 結婚・家族の反対による売却 結婚のタイミングで、なぜスポーツカーを手放さなければならないのでしょうか?おそらく、1番は家族の反対です。そして、理由は非常に単純です。 スポーツカーは、室内が狭く、乗り心地が悪いです。しかも、大概はドアが2枚しかありませんので乗り降りが大変です。もちろん、スポーツカーは速く走ることが目的で作られていますので、当たり前と言えば当たり前なんですが、家族の理解を得ることは至難の業と言えるでしょう。とくに、家族が増えた際などは、車の乗り降りなど、物理的に考えてもスポーツカーの維持が難しくなります。 仮に家族が理解を得られて、もう1台家族用の車を購入出来たとしても、今度は維持費等の問題が出てきます。ましてカスタマイズを続けるなんて言ったときには、大袈裟な話しではなく夫婦間の問題に発展しかねません。 もしくは、セダンタイプのスポーツカーなどで、とりあえず手放さなくて済んだとしても、今度はパートナーがAT限定免許という問題がかなりの確率で出てきます。 いずれにしても、今も昔も結婚後にスポーツカーを維持していくことは難しく、2~3歳になった子供が唯一残された純正ステアリングで遊んでいるなんて話が、実は決して珍しいものではないのです。 年齢が上がるにつれて愛着がなくなる スポーツカーは、「憧れだけど一度乗れば満足」というユーザーが意外と多いと言われています。 今でこそ、スポーツカーはセミオートマやスポーツオートマが増えて快適になりましたが、一昔前まではMT車が当たり前でしたので、ただ乗るだけでも体力を奪われました。 それでも、若い時はそれを苦に思わない体力と情熱がありますので、たいして問題にならないのですが、年齢とともにクラッチの操作や固い足回りが重荷になってきます。 もしくは、スポーツカーは飽きやすいという意見も多く、車の好みが全く変わってしまうユーザーも少なくありません。 もちろん、今現在のスポーツカーはどんどんはやく快適になっていますので、最新モデルのスポーツカーを何年も乗るユーザーが増えることは十分に考えられます。 スポーツカーを卒業後におすすめの車種 ここまで、色々とご紹介してきましたが、スポーツカーは必ず卒業が訪れる乗り物と言っても過言ではありません。 しかし、家族が増えたり、体力が衰えてしまったりしても、楽しめる車は必ず存在します。少し前までは、家族が増えるイコール、ミニバンでしたので、気持ちが萎えるユーザーも多かったかもしれませんが、ここ数年はSUVブームとなっており、見た目のよさと走りと使い勝手を兼ね備えたモデルが多数販売されています。 やはり、車をというものは見た目が非常に重要な要素となります。そして、近年のSUVにはスポーツカーを乗ってきたユーザーを十分に満足させる魅力とインパクトがあります。しかも、各メーカーから多種多様なモデルがラインナップされており、ご予算や好みに合わせて車種を選択することが出来ます。 車は、いつの時代もメーカーが作り上げた常識みたいなものがありますが、本来は流行りに流されない個性にあった車選びが必要なのかもしれません。そう言った意味では、SUVはもちろんお勧めですが、ユーザーがいいと思えばミニバンやセダンでもそれがベストな選択と言えるのです。 スポーツカーを手放す方法 スポーツカーを手放す方法と聞いて、まず何を思い浮かべますでしょうか?例えば、新車を購入されるならディラーの下取りがあります。もしくは、大手の買取店に持ち込んだり、ラジオCMなどでよく聞く一括査定に申し込むというのもひとつの方法です。 昨今は、空前の旧車・ネオクラシックカーブームと言われており、特にスポーツカーはどこに売却しても基本的に安いということはありません。しかし、更に高く売るためには別の選択肢を考えなければなりません。 旧車王は、旧車・ネオクラシックカーに特化しているのはもちろんのこと、変動が大きいと言われる中古車相場を熟知しています。とくにスポーツカーは、この難しい相場を読めるか読めないかで次の車選びに影響が出るほどの差が生まれる場合があります。 スポーツカーを卒業することは、誰にとっても寂しいことに違いありません。ですからせめて納得のいく買取額で愛車に花を添えてみてはいかがでしょうか。 [ライター/旧車王編集部]

今が底値か!?280馬力規制のきっかけになったZ32型フェアレディZの中古車事情とは
旧車の魅力と知識 2020.09.30

今が底値か!?280馬力規制のきっかけになったZ32型フェアレディZの中古車事情とは

2020年9月16日、日産は新型フェアレディZプロトタイプをオンラインで公開。歴代Zの要素を随所に散りばめた姿は、大きな話題となりました。そんなフェアレディZの歴史の中で、大きな転換点になったのは、4代目に当たるZ32型。今回は新型フェアレディZ登場にちなみ、4代目Z32型フェアレディZの特徴を振り返りつつ、中古車事情についてお話していきましょう。 国産スポーツカーの歴史を作ったZ32型フェアレディZ Z32型フェアレディZが登場したのは1989年当時、日本はバブル経済の絶頂期を迎えていました。そんな時代に開発されたこともあり、より完璧なスポーツカーを目指してありとあらゆる技術が惜しみなく投入。その結果、先代Z31型までの伝統よりも、新たなフェアレディZとして大きな転換点を迎えます。 その最たるところはデザインで、初代S30型から踏襲してきたロングノーズ・ショートデッキのスタイルではなく、時代の潮流を意識したワイド&ローなスタイルに変更。伝統の2シーターに加え、2+2の通称“2by2”が用意されていたことも、景気が良かったことを物語っています。 そして、エンジンはこれまた伝統だった直列6気筒を完全に廃止し、V6 3リッターDOHC NAのVG30DE型エンジンと、ツインターボチャージャーを加えたVG30DETT型エンジンを搭載。ツインターボVG30DETT型エンジンは、当初300馬力超えを視野に入れて開発されていたものの、お国からの指導により280馬力にデチューンすることになります。このことが前例となり、国産車にしか存在しい「280馬力自主規制」のきっかけとなったのです。 中古車の流通量は少なめで相場はやや高騰 バブル崩壊と日産の経営不振が重なったことで、Z32型フェアレディZは2000年まで生産されることになります。しかし、景気が悪い中新車のスポーツカーを買うユーザーは少なく、11年という長期間で合ったにもかかわらず販売は低迷。販売期間のおよそ11年間で約16万5千台ほどの販売にとどまりました。 そのため、中古車として流通している台数も多くなく、大手中古車検索サイトを見る限り、全国で64台しかありません。また、スポーツカーという性格上、修復歴車もやや多め。修復歴なしの低走行車でツインターボの場合、当時の新車販売価格を超える値付けがされています。 じっくり探せばお買い得な中古車を見つけられるかも!? そんなプレミア価格ともいえる値付けがされたZ32型フェアレディZの中古車ですが、すべての中古車が常軌を逸した価格かと言えばそうではありません。2020年9月現在の情報では、AT、修復歴無しのツインターボでも60万円を切る個体も存在しています。 ただし、新しい年式でも20年落ちとなる、いわばネオクラシックに分類される車種であるため、価格が安い個体は塗装の状態がイマイチで、走行距離は多めです。予算としっかり相談しながら、できるだけ程度の良い個体をじっくり探すと良いでしょう。 中古車販売店によって値付けはバラバラ Z32型フェアレディZの中古車情報でもう一つ特徴的なことは、価格が応相談となっている個体が、調査時点で8台も存在していることです。また、走行距離や年式と価格が必ずしも比例していないという印象です。 つまりそれは、一般的な中古車とは違い、販売店の価値観や考え方で値付けされているということを意味します。そのため、よほどビビビッとくる個体ではない限り、ゆっくりじっくり探すことが大切。走行距離、塗装の劣化具合、カスタム内容など、これなら欲しい!と思える1台に出会うまで焦らず探すようにしましょう。 これ以上の値上がりの可能性は低いもののリセールバリューは高め Z32型フェアレディZは、セダンやコンパクトカーに比べ、中古車価格が高めに推移しているのは確かです。しかし、同時期に販売されていたR32スカイラインGT-Rのように、1000万を超えるような価格は期待できません。 その理由は、Z32型フェアレディZがアメリカの25年ルールと無関係だからです。規制によってアメリカに輸入できなかった日本車でも、25年以上経過することでクラシックカーという扱いになり、輸入できるようになるというもの。その法律によって日本でしか販売されていなかった歴代スカイラインGT-Rは、軒並み新車価格以上の高値で売買されるようになってしまいました。 一方、Z32型フェアレディZは、新車当時からアメリカで販売されていたため、25年ルールによる値上がりには無関係なのです。とは言え、今後台数が減少していくことが明白であるため、これ以上中古車相場が下がることあり得ません。したがって、もしこれからZ32型フェアレディZの売却を考えているなら、その価値をしっかり見極め、買取価格に反映してくれる買取店を探すようにしましょう。 [ライター/増田真吾]

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