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旧車の魅力と知識

十人十色!ポンコツ車の愛好家による、あなたの旧車ライフ適性診断!
旧車の魅力と知識 2022.07.13

十人十色!ポンコツ車の愛好家による、あなたの旧車ライフ適性診断!

旧車趣味は、ハード面やソフト面を問わず「ハードルが高い」というイメージを持たれている方が多いはず。 ・・・と同時に、強い憧れを抱いている方も少なくないと想像します。 今回、ポンコツ愛好家というハードウェア中心になりそうな筆者が、ソフトウェア的な観点(例えば、対人間)など、多くの方たちに旧車適性があることをお伝えし、前述のような方たちの背中を少しでも押すきっかけとなれば幸いです。 ■ポンコツ愛好家からみた、最先端の旧車ライフとは? ▲旧車関係では空冷のフォルクスワーゲンについて、イベントに参加した際の動画を配信しています。「■旧車イベント フラバグ・ファイナルに行ってきた」  こんにちは!はじめまして。 私『ポンコツ修理系YouTubeチャンネル・ベアマンチャンネルのクマダトシロー』と申します。 主に、ヤフオクやメルカリにて一ケタ万円で取引されるようなポンコツ(?)車を中心に、ちょっとした修理やカスタムをメインにした動画を配信しております。 旧車と呼ぶ・・・までには至らない、ネオクラシックな年代の車両が動画のネタとなっておりますが、筆者であるクマダはもともと旧いクルマやバイクが大好物なのです。 例えば私自身が20年近く乗っている愛車は空冷のフォルクスワーゲンです。 さまざまなご縁があり、こちらで記事を執筆させていただくことになりましたが、今回のテーマは「あなたの旧車ライフ適性」についてです。 さっそくですが「旧車」と聞いて皆さまは、どのようなイメージを持たれますか? 当然この記事をご覧になっている皆さまは、少なからず旧車のある生活に興味をお持ちであることと思います。 旧車といえば、古い機械ものであるゆえの不具合や故障など、ネガティブなイメージがあるでしょう。 また、維持管理が難しそうな側面から、なかなか手を出しづらいといった方も多いことかと思います。 確かに、旧車を現代の車両とまったく同じように維持管理できるかといえば、それはかなり厳しいといえることでしょう。 では、まるで専門家のような知識や技術を持ち合わせたうえで、血と汗と涙を流すような努力が必要かといえば、まったくそんな必要はありません。 筆者(クマダ)は、ここ十数年で非常に旧車の維持管理がしやすくなったと感じております。 その要因は「インターネットおよび、SNSの普及」です。 世間では「空前の旧車ブーム」といわれておりますが、事実、以前に比べて確実に旧車に関する情報量が圧倒的に増えました。 筆者が学生であった20数年前は、旧車の情報といえば、数少ない専門誌が頼みの綱でした。 古本屋で当時物の雑誌や専門誌のバックナンバーを棚からほじくり出したあげく、ページに穴があくほど読みこんだりしたものです。 しかし現在ではスマホ検索一発で欲しい情報を得ることが可能です。 かつては、当時物の部品をそろえたいと考えたとき、自動車専門誌の発売日に「売りたし買いたし欄」に目を光らせる必要がありました。 ライバルに先を越されぬように、いち早くオーナーに連絡する必要があったのです。 また、全国各地で日も昇らぬ時間から催される、部品交換会といったフリーマーケットに懐中電灯を持って参加したりしたものですが、現代では自宅から一歩も出なくとも「ヤフオク!」や「メルカリ」でことが足ります。 極めつけは、翻訳ソフトの精度や利便性が向上したことで、海外サイトからも情報を得ることもたやすくなり、その気になれば、海外のオークションサイトでのレアパーツの発掘も可能になってきました。 昨今では、ショップ主催のイベントやミーティングのみならず、SNSを介しての同車種の仲間同志での全国レベルの情報交換も活発化しています。 各メーカーも旧車用のドレスアップパーツや、旧パターン&旧サイズのラジアルタイヤの復刻、旧車用のアルミホイールの販売されるようになってきました。 選ぶ側としても、以前では想像がつかないほどに選択肢が増え、旧車界隈がいままでになく盛り上がっているように感じています。 ■老若男女関係なし!意外と幅が広い「旧車に対する適性」とは? ▲1990年代の車両も今やネオクラシックカーとして旧車の一ジャンルを構成している。「AMG 190E 3.2(W201)」 インターネットの普及(というより定着)が、旧車趣味のハードルを一気に引き下げてくれたのは紛れもない事実です。 「旧車」という言葉自体も定義づけがあいまいなこともあり、非常に幅広い年代の車両を指す言葉になってきています。 ひとつ例を挙げると、以前は旧車と呼ぶには時期尚早とも言われた1980~1990年代のモデルも、昨今は「ネオクラシック」と呼ばれ、立派な旧車のいちジャンルとして定着しつつあります。 よくよく考えてみると、現時点で20代前半の方々にとって、バブル時代の名残が感じられるこの年代の車両は、いわば生まれる前のクルマです。 新鮮このうえないことでしょう。 逆に、アラフォー世代の筆者からすれば、運転免許を取りたての頃にお世話になった、懐かしいクルマばかりです。 このように、旧車といえどもさまざまな種類やジャンルがあり、そのクルマ一台一台への感じ方や趣の持ち方は各個人で異なります。 「旧車」という言葉が、よくいえば「幅広く」、繰り返しになりますが「あいまい」でもあります。 専門知識を持ったうえで、ピンポイントで特定の車種やジャンルのみを取扱うプロショップが増えたように思います。 その結果、専門店が扱う特定のモデルの維持管理において、的確なアドバイスやサポートを受けることができるようになってきました。 これは初心者にとっては、とても心強いことと思います。 さらにインターネットで検索すれば、このような専門店を見つけだすことができるようになりました。 旧車が好きというだけで、どなたでも旧車ライフにのめりこめる環境が整いつつあるともいえます。 もはや旧車は一部のマニアのものではなくなりつつあります。 肩ひじ張らなくとも、乗ってみたい気持ちひとつあれば、誰でもオーナーになれる適性を持っているともいえるのです! ■実は旧車の維持に向いていない方、特有の「3つの特徴」とは? ▲クラシックミニは旧車入門としては最適な車種の一つである。女性オーナーも多い 乗ってみたい気持ちひとつあれば、誰でもオーナーになれる環境が整いつつある旧車界隈。 筆者の20年来の経験上、クルマの知識があるとかないとかにかかわらず、こんな方は旧車維持に向いていないかもしれません。 ここでは筆者の偏った主観で第3位までを発表させていただきます。 ●第3位:クルマに対して現代車の利便性を求める方 旧車とは基本的に不便である。 これは紛れもない事実です。 現代車では当たり前のように装備される機能であっても、旧車には備わらない機能が多々あります。 一例をあげれば、リモコンドアロック。 バブル期真っ盛りに製造されたネオクラシックカーは別として、70年代以前のクルマにはリモコンドアロックが装備されていることはまず考えられません。 それがフェラーリやポルシェなど高級車であってもです。 旧車には近年では死語となりつつある「フル装備(パワステ・エアコン・パワーウインドウ)」が備わらない車種も数多くあります。 なかにはクーラーなど後付けできる車種もありますが、それなりに費用がかかります。 どうしても快適装備が欲しい!という方は、先述の1980年代以降のネオクラシックカーを選択することをおすすめいたします。 ●第2位:他人の意見が極端に気になってしまう方 旧車ライフを満喫し、イベントやミーティングなど仲間で集うようになってくると、当然愛車の情報交換や意見を交わす機会が増えていきます。 さまざまな意見や考え方があると思いますが、なかには○○は××が王道だ!といった意見や、○○は絶対に××であるべきだ!・・・などなど。 具体的な内容はこの場では控えますが、熱意をもった威勢のいいオーナーのなかには、信念が強すぎる限定された意見や、場合によっては排他的な意見を持つ方もいらっしゃいます。 「いってくれるうちが華」という考え方もありますが、あくまでも論客として接しましょう。 このような他人の根拠のない意見を、真剣に協調性をもって聞いていると、自分で気に入って購入したクルマに対して、モヤモヤとした不思議な感情を抱いてしまうかもしれません。 周囲の価値観に影響されて「一生乗り続けます!」なんて言わずに、自分のペースで維持管理していけばよいと思います。 現に筆者の身の回りにも、インスタで一生もの!なんて熱意をもって活動しつつも1年でお乗り換え!なんて方がおりました。 旧車趣味は十人十色です。(注:当然メカニックの維持管理のアドバイスとは異なります) ●第1位:クルマに対してせっかちになってしまう方 旧車を所有するとあらゆる場面で、都度ちょっとした時間を消費します。 例えば、朝一のエンジン始動と暖機運転。 キャブレター車の場合、冬場の冷え込んだ朝には、儀式とまではいきませんが、エンジン始動には若干のコツが必要です。 さらに、エンジン始動後も、暖まって走り出せるようになるまでに少し時間が必要です。 ここでせっかちに暖機運転をせずに無理やり走りだしてしまうと、エンジン他、各部の寿命を縮めてしまう原因になるといっても過言ではありません。 インジェクションの車両であれば、すぐに走り出すことが可能ですが、長い目でみれば触媒にダメージをあたえる原因ともなるため、やはり暖機運転は必要だと思います。 他にも、このような例があります。比較的現代車に近い感覚で乗れるネオクラシックカーのパワーウィンドウスイッチを想像してみてください。 どんなに新しくとも新車で納車されてから20年~30年が経過しています。 プラスチック部品は経年による劣化が進んでおり、少しレスポンスが悪いからとせっかちになって乱暴に操作すれば、すぐに壊れてしまうことでしょう。 部品供給に比較的余裕がある車種であれば、交換すれば事なきを得ますが、いつまで新品の部品が購入できるかは、まったくもって不明です。 そして、すでに絶版部品となっている場合もあります。 これがオートエアコンのスイッチパネルだったりすると、たいへんな苦労をする場合があります。 スイッチ操作一つでも、ワンクッション置いた操作が旧い部品ひとつひとつの寿命を延ばします。 旧車は予期せぬ故障や不具合が発生することがありますが、普段のメンテナンスが重要であり、クルマに乗っていたい一心でメンテナンスをおろそかにしてはいけません。 普段乗りをするクルマであればなおさらです。 やはりメンテナンスでも現代車より時間を消費しますが、ちょっとした故障や不具合を後回しにすると、いつまでたっても完調にならないばかりか、致命的な故障の原因となり、大きな出費になる場合もあります。 「気持ちよく旧車に乗るためには、せっかちになってはいけない」。 クルマ、とくに旧車を自分に合わせるといろいろうまく行きません。 自分をクルマに合わせる努力が必要です。 あくまでもクルマが優先。 思いやりをもって旧車に接することが重要です。 ■まとめ:手間の部分を旧車特有の趣としてとらえ、楽しめるようになれば・・・   ▲軽自動車だって立派な旧車趣味だ。チューニングパーツは現代でも存在する。「スズキ カプチーノ」 ここまで文中で述べてきましたが、インターネットやSNSの普及により、旧車を維持するオーナーにとって必要な情報量が増え、もはや旧車は一部のマニアのものではなくなりました。 あなたが旧車に興味があり、所有したいという気持ちただ一つがあれば、旧車ライフを踏み出すことは決してむずかしいことではない時代になってきました。 旧車専門のプロショップの門をたたけば、維持管理において、的確なアドバイスやサポートを受けることができることでしょう。 確かに旧車は現代のクルマと異なり、所有維持するにあたってその都度手間がかかりますが、この手間の部分を旧車特有の趣としてとらえ、楽しめるようになれば、あなたは立派な旧車オーナーです。 クルマにまったく興味がない人から見れば「旧車=ポンコツ」に見えるかもしれませんが、時代は変わりつつあります。 「旧車=皆の憧れのクルマ」となるように、私たちで旧車ライフをさらに盛り上げていきませんか?皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。 [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g [ライター・撮影/クマダトシロー]

普段は「3ペダルMTより楽なクルマがいい」と気づいてしまった話
旧車の魅力と知識 2022.07.10

普段は「3ペダルMTより楽なクルマがいい」と気づいてしまった話

先日、これまでの愛車遍歴はすべてMT車という40代のオーナーさんを取材する機会があった。 1台のクルマを長く、大切に乗る方なので、愛車遍歴はどちらかと少ない方(現在の愛車を含めて4台)だと思う。 自分自身、MT車の方が、さらに厳密にいうと「3ペダルMT車」が理想の愛車だと信じて疑わなかった。 その昔、フェラーリ社のトップだったルカ・モンテゼーモロ氏が何らかのインタビューだが、ワールドプレミアの壇上で「これからのフェラーリはF1マチックが主流になる」といった趣旨の発言をしてひどく憤慨した記憶がある。 フェラーリといえばあのシフトゲートを操作するのが至高なのに、何てことをしてくれるんだ!と。その後、フェラーリF355F1からはじまったF1マチックはあっという間に各モデルへと波及し、いつしか3ペダルMT車は絶滅してしまった。 3ペダルMTの絶滅だけが理由ではないが、気がつけば自分も「いつかフェラーリを自分のモノにしよう、したい」という情熱が消えつつある(訳あって、現行モデルで手に入れてみたい1台があるのだが、非現実的なのはいうまでもない)。 先日、自分の愛車(趣味車)で参加したイベントの取材を兼ねて、自宅から100キロほど離れた場所へ向かった。奇しくも当日は猛暑日であり、しかも全国でもトップ3に入るような最高気温を記録する場所へエアコンレス&3ペダルMT車で出掛ける羽目になってしまった。 エアコン(もちろんクーラーも)レスなので、扇風機を車内に据え付けて出掛けたのだが、熱風しか出てこない。途中で止めてしまった。暑いだけではない。古いクルマなので、オーバーヒートのことも気にしなければならない。幸い、高速道路は渋滞もなく、5速で淡々と巡航したので問題なく現地に到着。取材することができた。 問題は帰路だ。炎天下のなか取材を続けているうちにイベントは終了。現地でお開きとなった。Google mapで帰路のルートを調べてみると高速道路はすでに渋滞。夕暮れどきとはいえ、30度を優に超える気温のなかの渋滞に飛び込む勇気はない。というか正直いって嫌だ(笑)。諦めて下道で帰ることにした。途中、渋滞に巻き込まれたときは油温が100度近くまで上昇した。そんなこんだで、油温計をにらめっこしながら自宅に着く頃にはぐったりしてしまった。 そういえば、運転免許を取得した当時、アルバイト先で配達に使っていたハイゼットもエアコンレスだった。もっというとラジオすらついていなかった。パワステやパワーウインドウもない。そこで私は「ハイゼットLM(ル・マンの略)」と命名して、炎天下の配達を楽しんだものだ。当時はまだ10代。エアコンがあろうとなかろうと、3ペダルMT車を運転できることが何より嬉しく、そして楽しかった。ヒール・アンド・トゥーの真似事もこのクルマで覚えた。 そろそろアラフィフに差し掛かる私にとって、いつでもどこでも3ペダルMT車で出掛けるのは苦痛になってしまっていたのだ。いつの間にか「楽なクルマがいい」と考えている自分に気づいてしまった。 セイラさんに「軟弱者!」とひっぱたかれようが、ブライト・ノア館長に「それが甘ったれなんだ!(引用が古い)」とぶん殴られようが、フェラーリを買えるほどの財力があったとしたら迷わずF1マチックを選んでいると思う。でも、マツダロードスターなら迷わず3ペダルMTを選ぶけれど。 子どもが大きくなったら・・・とか、定年退職後の楽しみに・・・なんて思う方がいらっしゃるかもしれない。健康なのうちに、気力があるうちに、可能な限りの3ペダルMTを楽しんでいただきたいと思う。 [ライター・撮影/松村透]

圧倒的な存在感と個性!今なお高い人気を誇るアメ車シボレー インパラ
旧車の魅力と知識 2022.07.06

圧倒的な存在感と個性!今なお高い人気を誇るアメ車シボレー インパラ

全長5mを超える大型のボディに5LオーバーのV8エンジン。大きさと力強さというアメリカの象徴ともいえるクルマがシボレー インパラです。初代発売から60年以上も市場に投入され続けているインパラの歴史を振り返ります。 力強いアメリカを象徴するインパラ アメリカが1番元気だったとも言われる1960年代の直前、シボレー インパラは登場しました。インパラは新時代の到来に期待が高まるなか、時代に呼応するようにシボレーが最上級グレード車として市場に投入したパーソナルカーす。 最上級グレードのスポーツモデルとして登場したインパラ 初代インパラの登場は1958年。当時シボレーの最上級グレードだった「ベルエア」のスポーツグレード、「ベルエア・インパラ・スポーツパッケージ」としてデビューしました。1958年はアメリカが初めて人工衛星の打ち上げに成功した年で、公民権運動など負の側面も含めてアメリカ全体にエネルギーが満ち溢れつつあった時代です。 初代インパラは2ドアクーペとコンバーチブルのみの設定でしたが、翌年の1959年のモデルチェンジで4ドアモデルも追加。ベルエアがややダウングレードされたことで、名実ともにシボレー最上級グレードとなりました。ちなみに、インパラという名前はアフリカのサバンナに生息するレイヨウというカモシカに似た動物の名前です。 アメリカらしい大型で個性的なデザイン インパラの特徴は、5mを超える全長に2m近い車幅の大柄なボディと個性的なデザイン。大柄なボディをドライブするエンジンもパワフルで、初代モデルから最大で5.7LのV8エンジンを搭載し、大きくて力強いアメリカを象徴するクルマの1つです。 大幅なモデルチェンジをおこなった7代目以降は、ややダウンサイジングされたものの、インパラの伝統は現在も受け継がれています。4ドアセダンの現行型は、エンジンこそ3.6LのV6エンジンとやや迫力不足ながら、ボディサイズは全長5m以上と存在感は抜群です。 6代目が節目となった歴代インパラ インパラは2度の販売中止期間があり、その前後でクルマとしての性格が大きく異なります。 とくに人気なのは、初代から6代目までのモデル。初代登場から60年以上が経過するインパラのモデル変遷を紐解くと、時代背景が浮かび上がってきます。 インパラらしさを追求した初代〜6代目 インパラがもっともインパラらしかったのは6代目までで、ボディサイズ、エンジンともに大型化の一途をたどりました。1965年に登場した4代目インパラには、7.0LのV型8気筒ターボジェットエンジンを採用。また、経済的に豊かになっていったアメリカの勢いを象徴するかのように、この頃のインパラは同世代でもほぼ毎年違う仕様のモデルが発売されていた点も特徴です。 しかし、1970年代に入ると安全性や環境性能に対する意識の高まりとともに、自動車市場は大きな変革期を迎えます。さらにオイルショックの影響もあったことから、安全で経済的なクルマに方向転換せざるを得なかったのです。 そんな中1977年に登場した6代目モデルでは、全長が短くコンパクトになり、エンジンサイズも初代同様の5.7Lという経済性を優先した仕様となりました。6代目の販売が終了する1985年に30年近く続いたインパラの歴史に一旦幕を下ろすことになります。 限定車扱いで復活した7代目 6代目インパラの販売終了から9年が経過した1994年、限定車という扱いながらインパラが7代目インパラSSとして復活します。 コンパクト化した6代目を引き継ぐ形で設計され、エンジンは、カマロやコルベット、ポンティアック・ファイアーバードに搭載されていたV型8気筒5.7LのLT1型エンジンを採用。LT1型エンジンはスポーツモデル用のエンジンですが、大型車のインパラをにあわせてトルク重視に仕様変更されていました。 7代目インパラは1996年までのわずか2年間だけ販売され、インパラの名前は再び姿を消すことになります。 大幅にコンセプトを変えた8代目〜10代目 インパラの名が次に復活したのは、4年後の2000年。8代目となるインパラは大きくコンセプトを変更して登場しました。初代から40年近く続いていた駆動方式を、FRからFFに変更。ラインナップは4ドアセダンのみとなり、クルマとしての立ち位置はスポーツモデルから高級ファミリーセダンになりました。そして、8代目インパラは、2004年に29万台を超える売り上げを記録し、シボレーはこの大幅なコンセプト変更を成功させます。高級車でありながらも、ただの嗜好品ではなく実用的だったことが時代背景とマッチしていました。 2014年に発売された10代目モデルもFFの4ドアセダンで、エンジンはV型6気筒3.6Lを搭載。7.0Lエンジンの頃から比べると約半分の排気量になってはいるものの、5mを超えるボディサイズは健在でアメリカ車らしいどっしりとしたスタイリングです。 まとめ オールドアメリカを体感できるインパラは、今でも人気の高いアメリカ車の1つです。とくに人気の高いのはやはり初代〜2代目。1958年の初代モデルで約3,000万円という価格がついているものもありました。一方で、3代目以降は1964年モデルで380万円など500万円を切るクルマも複数あるので現実的に入手可能な金額です。さらに7代目のインパラSSは100万円を切る価格のものあります。 ただし、現在インパラは日本で正式販売されていないこともあり、2000年以降のFF化されたモデルは日本の中古車市場ではほとんど見かけることがありません。※価格は2022年6月現在

なぜ、旧車は盗まれやすい?盗まれたらどうなるのか?
旧車の魅力と知識 2022.07.06

なぜ、旧車は盗まれやすい?盗まれたらどうなるのか?

窃盗団が旧車を盗む前に行う「準備」を知って対策を施そう! ■ネットオークションへの出品が急増! コロナ禍で少し、盗難台数は減少傾向にあったものの、昨年夏頃から再び、80~90年代の国産スポーツカーを中心として旧車の盗難が増えています。   ▲実際に盗まれた80スープラのパーツ。盗難された2日後には早くもヤフオクに出品 旧車は盗まれるとその多くは、即座に解体ヤードに持ち込まれ、1-2日以内に解体されてしまいます。その後は、ヤフーオークションなどのネットオークションに出品されるか? もしくは海外に「自動車部品」として違法に輸出されてしまいます。 ▲盗まれた旧車は解体ヤードに持ち込まれ即座に解体される(写真はヤードのイメージです) 以前はほぼすべてが自動車部品として違法輸出されていましたが、最近ではネットオークションを利用して国内で完結させるパターンが増えています。 その理由は簡単に言うと、「国内ネットオークションの方が素早く、ラクに換金できるから」ということなのです。 海外における日本の旧車パーツは日本より高額な値段で取引されていますが、輸出は手間と時間が掛かり、コンテナに積んで船が出るまでに発覚するリスクもゼロとは言えません。 また、たびたび日本からの不正輸出が発覚しているアメリカでは近年、日本車の輸入に対して完成車も部品もチェックが強化されている現状があります。 しかし、ネットオークションやフリマサイトでは匿名で気軽に出品ができ、またヤフオクもメルカリも、なぜか出品者を保護する傾向にあります。 住所や名前が虚偽のものでも出品や取引が可能で、さらに盗難品だと証明されるまで時間も掛かります。 運よく、警察が介入できたとしても出品者と直接連絡が取れたり、盗んだ犯人が特定されたりすることは困難で、稀に特定できたとしてもオーナーのもとにパーツが全部戻ってくる可能性は非常に低いのです。 なお、もともと日本車の中古部品を大量に輸出している会社であれば、その中に盗んだ旧車のパーツを紛れ込ませてもまずバレることはほとんどありません。 部品輸出ルートが整っている状況であれば、海外に持ち出されることも相変わらずでしょう。 盗難された旧車が行きつくところは海外なのか?日本国内の別のオーナーなのか? 確実に言えることはアシが付きにくいネットオークションで捌かれるケースが増えているということです。  ▲日本で盗まれた旧車が解体されてアメリカの専門店で販売されていたことが発覚(2020年6月) ■旧車はなぜ盗まれやすい? ではなぜ、旧車は盗まれやすいのでしょうか? ・日本の旧車は海外でも国内でも人気が高いので、高額で売ることができる・多くは盗難に対応できる車両保険に入っておらず、またセキュリティ対策も甘い・保管場所が屋外の駐車場であることが多いので盗む側にとっては好都合・解体ヤードに持ち込みさえすれば、最近の電子部品が多いクルマに比べるとごく短時間で解体できる このように、国産旧車は盗みやすく解体しやすく高く売れる…窃盗団にとって都合がよいことだらけなのです。 しかし、旧車はもう2度と生産されることがない文化遺産ともいえる存在。 何とかして盗まれることがないよう守ってあげなくてはなりません。 筆者は過去2年間で約100台以上の旧車盗について取材をしてきました。 盗難被害に遭った人々の話から、大切な旧車を盗まれないためにオーナーが知っておきたいことを以下にまとめます。 ●1.旧車は狙いを定めて盗まれる。必ず下見をしている 旧車を専門に盗んでいる窃盗団は海外で高く売れる、または国内でも高価格で流通できる80-90年代の日本製スポーツカーに狙いを定めて盗みに来ます。 では、そこに旧車がある、ということをどうやって知るのでしょうか? さまざまな手段がありますが、その一つに旧車イベントに参加して狙いを定めた旧車オーナーと親しくなって自宅の場所を聞き出して盗みに行く…という方法があります。 親しげに話しかけてくる外国人(特にパキスタン、スリランカ国籍には注意)には気を付けてください。 また、狙いを定めたクルマの近辺に似たような旧車がないか? 一緒に盗めるなら効率が良い…と周辺の様子をGoogleストリートビューを見ながら駐車場に停まっていないか?探し出してマークします。 旧車は一度購入したら長い間乗るオーナーが多いため、ストリートビューの写真が2〜3年前のものであっても、比較的今もそのまま乗り続けているというパターンが多いのです。 せめてカバーをかけるなどして車種の特定を防ぎましょう。 ●2.狙った旧車のある場所が特定できたなら、今度は下見。下見でやることは以下 ・周辺の防犯カメラの状況・逃走ルートの確保(Nシステムなどがない道を選ぶ)・対象となる旧車のセキュリティ状況をチェック(ハンドルやバッテリーを外していないか?どのようなアラームがついているか?ハンドルロックやタイヤロックの有無など)・オーナーが住む場所を探す(オーナーのアパートの部屋まで特定します)・オーナーはどれくらいの頻度で旧車に乗っているか?をチェック・オーナーの生活時間(朝何時におきて何時に出勤し、帰宅時間や就寝時間などもチェック)・周辺に他に盗めそうな旧車はないか? ・・・などなど。 まだまだありますが、盗みを決行する2-3週間前に入念に下見をして、想像をはるかに上回る細かな事前確認を行っています。 ●3.「高価買取」のチラシや名刺には要注意 「高価買取の名刺やチラシ」がワイパーに挟まれたら盗難に注意! ▲筆者宅の旧車にもこのようなチラシが挟まれていた。稀にまともな業者もいるようだが… 昔からよく、「高価買取の名刺やチラシ」がワイパーに挟まれたら盗難に注意すべし!と言われてきました。 これは現在でも同様です。 ワイパーに名刺やチラシを挟んでいき、オーナーがどれくらいの頻度でクルマに乗っているのか?などもチェックします。 また、ユピテルのパンテーラやゴルゴなどの高級カーセキュリティはクルマに乗らない期間が2週間以上続くと、電源が切れる仕組みになっていることが多く、買取チラシや名刺を挟んで2〜3週間動いていないことを確認し、さらにセキュリティが切れていることを確認してから盗むという手口もあります。 この記事では旧車盗難の現状をお伝えしました。 次回は旧車を窃盗犯から確実に守るための、より具体的な方法をご紹介します。 [撮影・加藤ヒロト/ライター・自動車生活ジャーナリスト加藤久美子]  

マツダ ロードスター人気はドイツも盤石!現地で見かける日本車とは
旧車の魅力と知識 2022.07.05

マツダ ロードスター人気はドイツも盤石!現地で見かける日本車とは

国産旧車の海外流出や価格高騰が話題となって久しいが、実際にドイツに住んでいる筆者からすると「実感しにくい」というのが本音である。というのも、ドイツ現地の中古車情報誌やインターネット上において国産旧車価格はたしかに上昇しているのだが、公道で見かける国産旧車の顔ぶれは直近の5年間でさほど大きく変化していないからだ。 実は、読者のみなさんの予想通りかもしれないが、ドイツにおいて圧倒的な人気を誇る車種が存在する。まずはそのクルマを冒頭で紹介しつつ、ドイツで見かける主な日本車・旧車について紹介していきたい。 ■長年、ドイツで圧倒的人気を誇るクルマとは? ヨーロッパ各国の中でも、ドイツは比較的「日本車の数が少ない国」に属する。公道をしばらく眺めていても、日本車が通過するまである程度の時間が必要だ。一時期はタクシーとしてトヨタ・プリウスが大量に走っていたが、ここ5年ほどですっかり数を減らしてしまった。かわりに、メルセデス・ベンツのEクラス・Cクラスがタクシーの定番車種として復権している。 そんな中、マツダ・ロードスター(現地名MX-5)の人気は盤石だ。街や田舎、ドイツのどこにでも走っているし、ドライバーの顔ぶれも老若男女さまざま。初代のNAや2代目のNBが今でも現役で数多く見かけるうえ、中古車市場でも一定の人気を保っている。2015年に現行型NDが登場したあとも、コンスタントに毎年約5,000台ずつドイツで登録されている、まさに「ドイツに長年愛され続けるクルマ」の代表格だ。 ドイツでは、初代モデルNAのドイツ向け第1便がわずか3日で完売したエピソードがいまだに紹介されたり、ほぼ絶滅状態だったライトウェイト・オープンスポーツカーを復活させ、BMW・Z3やメルセデス・ベンツ・SLK、MG・F、フィアット・バルケッタ、ポルシェ・ボクスターなど多くのフォロワーを生んだ功績が評価されたりと、単に売上的な面だけでなく、文化的な評価も極めて高いのが特徴だ。 当時のフォロワーたちはすでに後継が途絶えて生産中止になっているか、価格帯をさらに上げてプレミアムクラスに移行しているクルマがほとんどである。そんな中、マツダ・ロードスターは「庶民でもなんとか新車に手が届く稀有なスポーツカー」として、ドイツの人々に広く愛され続けている。 ■ドイツのクラシックカーイベントで見かけるクルマの代表は? 先述のマツダ・ロードスターの件にも通じるのだが、ドイツではとにかくオープンカーが好まれる。「オープンカー大国」といっても過言ではなく、夏の間はひたすら屋根を開けて走るのだ。もっとも、それが可能なのは気候によるところが大きい。真夏でも気温が30度を超える日が続くことは少なく、湿度が低くカラッとしていて、非常に過ごしやすいのだ。しかし温暖化の影響で、毎年少しずつ気温が上昇しているのは間違いなく、ドイツに住む人々も神経をとがらせている。 クラシックカーイベントでもっとも目にする日本車といえば、ホンダ・S600とS800である。ここでもやはりオープンスポーツカーか、と思われるかもしれない。それくらい古くからドイツで好まれているし、クラシックカー専門誌の価格相場表にも必ず記載されている。ちなみに、現在の整備済み車両の相場はおよそ3万2千ユーロ(約448万円)だ。 筆者が以前見かけた個体はエンジンルームまで磨きこまれていて、非常によい状態を保っていた。精密な時計のようなエンジン、とドイツでは評価されている。ホンダ・S2000の人気も高く、2万5千ユーロ(約350万円)以上で取引されているが、クラシックカーイベントで見かけることは少ない。初代NSXに関しては、市場に出回ることすら稀である。 ■「日本のジャガー・Eタイプ」として愛されるのはあのクルマ! クラシックカーイベントで見かける日本車の次点は、日産(ダットサン)・240Zである。流麗なロングノーズ・ショートデッキのスタイリングはドイツでも人気が高く、少なくとも2万5千ユーロ(約350万円)、完璧なコンディションだと3万5千ユーロ(約490万円)で取引されている。ドイツの中古車市場では常時10~15台が流通しているような状況だ。 ドイツ人にとって240Zはとても「イギリス的」に感じるクルマらしく、「日本のジャガー・Eタイプ」として紹介されていることが多い。エンジンの頑丈さや扱いやすさも評価されているようだ。 同じ日産でも、歴代のスカイラインGT-Rを見ることは稀で、クラシックカーイベントにも滅多に姿をあらわさない。初代モデル(PGC-10)の相場は今や7万5千ユーロ(約1,050万円)を超え、トヨタ・2000GTと同様に、オークションでしか手に入らないクルマになりつつある。 ■「ラリー仕様」として見かけるのは、ちょっと意外なあのクルマ 最後に、絶対数は多くないものの、ドイツで存在感を発揮しているメーカーを紹介する。スズキである。ドイツではバイクのほか、船外機のメーカーとしても有名だ。 スズキのクルマでもっとも見かけるのはジムニーである。ドイツの人にとっても、メルセデス・ベンツ・Gクラスやトヨタ・ランドクルーザーは大きすぎると感じる場合があるようで、林道に出かければ「プロの道具」として働く歴代ジムニーを見かけることができる。ドイツはラリーの人気が高いが、三菱・ランサーエボリューションやスバル・インプレッサWRXなどの一連のモデルを見ることはほとんどない。ラリー仕様車として見かけるのはむしろスズキ・スイフトだったりする。かつてジュニア世界ラリー選手権(JWRC)に参戦していたこともあって、スイフトの3ドアモデルをラリー仕様に仕立てて、週末のレースに参加する人は少ないながらも確実に存在している。 ■ドイツの地に爪痕を残し続ける日本車たち ここまで、ドイツで見かける日本車について挙げてきたが、いかがだっただろうか。意外だと思った方も、妥当だと思った方もいると思う。 ここに挙げた車種は、筆者が実際に5年間ドイツで暮らしていて見かけた経験に基づいている。つまり、筆者の居住場所であるベルリンという場所柄が深く関係している。言い換えれば、南のミュンヘンやフランクフルト・アム・マイン、西のケルンやデュッセルドルフではまた違った見え方になるはずだ。ドイツは広く、州によって独自色が強いため、一般化することは難しいということを最後に断っておきたい。 最近始まったマツダの初代ロードスターのレストアサービスは、ドイツでは驚きをもって紹介された。初代NAの部品が手に入りやすくなるはずだ、と期待されている。というのも、国産旧車パーツの手に入りにくさは、ドイツ産クラシックカーの比ではなかったからだ。今後国産旧車が世界で愛され続けるためには、こうしたパーツ供給体制も大きなカギになっていくだろう。今後の他社の奮起にも期待したいところだ。 [ライター/守屋健]  

旧車にも関わり深い米国「25年ルール」。その歴史や本来の目的は?
旧車の魅力と知識 2022.07.05

旧車にも関わり深い米国「25年ルール」。その歴史や本来の目的は?

近年、旧車の世界においては何かと話題にあがる「25年ルール」。 多くの人がこのワードを聞いて連想するのは「国産スポーツカー」や「海外輸出」、「価格高騰」、「JDM」などだろうか。 自動車メディアが「25年ルール」について触れる機会も増えているようだが、制定された経緯や歴史、本来の目的など詳しいところまでは触れていない。 そこで今回は「25年ルール」について正確な情報をお伝えしたいと思う。 ■「25年ルール」は、規制ではなく、例外 日本では「25年ルール」と呼ばれている法律の正式名称は “Imported Vehicle Safety Compliance Act of 1988, Pub. L. 100-562, 102 Stat. 2812” となる。 前半部分は直訳すると「1988年輸入車安全適合法」となり、アメリカの法律ではよくある「一般名称」だ。 後半の “Pub. L.” とはこの法律が「公法律」、“100-562” とは「第100議会において562番目に成立した公法律」であることを指す。 最後の “102 Stat. 2812” とは、「制定順法律集(Statutes at Large)」の「第102巻2812ページ以降に掲載されている」と説明している。 だが、いちいち長ったらしい名前で引用するのは大変なので、“Imported Vehicle Safety Compliance Act (IVSCA)” と呼ばれることが一般的だ。 ▲LAで毎年秋に開催されている「日本旧車集会」は2021年10月で16回目を迎えた 実際に法律の内容を見ていこう。 内容を要約すると、「連邦自動車安全基準に適合しないクルマは輸入できない」とするもの。 アメリカ合衆国国土安全保障省(DHS)のうちの、税関や国境警備を担当する部門「アメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)」によれば、適合しない輸入車は適合作業、再輸出、もしくは破壊のいずれかを施さなければならないと案内している。 だが、ここで肝心なのがこの法律に規定されている「例外」だ。 ここでは「連邦自動車安全基準に適合しない外国製自動車でも、製造から25年経過していればこの法律による規制の対象外とする」と書かれており、これが俗にいわれる「25年ルール」となる。 つまり、「25年ルール」は「規制」ではなく、「例外」なのだ。 ■1988年に「25年ルール」が制定されるまでの経緯とは? 次に知っておくべきなのが、「運輸省道路交通安全局(NHTSA)」の「連邦自動車安全基準(FMVSS)」という存在で、日本でいう「道路運送車両法」で定められている「道路運送車両の保安基準」と同様、アメリカ合衆国内で登録されるクルマの技術仕様のルールだ。 ▲日本のナンバーを展示用につけたクルマも急増 これは日本で米軍関係者がプライベートで乗っていたクルマのナンバー 日本車ともっとも大きく関わるのは「アメリカ合衆国で登録するクルマは左ハンドルでなければならない」の部分。 先述の「例外」は、このFMVSSに適合しなくても良いとしているので、つまりは「右ハンドルでも輸入・登録が可能」となる。 25年ルールは1988年に制定された。それ以前のアメリカ合衆国はFMVSSに適合しないヨーロッパ製の自動車を並行輸入で登録するのがポピュラーで、1985年には約6万9000台が並行輸入車としてアメリカに入ってきていた。 並行輸入はアメリカに正規で輸入されていないモデルが手に入るだけでなく、アメリカのディーラーが販売している価格よりもはるかに安く買うことができるため人気が高かった。 たとえば、1985年モデルのメルセデス・ベンツ 500 SELを米国内の正規ディーラーで購入すると5万3000ドルであったが、並行輸入だとそこから1万1000ドルほど安く手に入るという現象がしばしばあったのだ。 だが、この事態を重く見たのがメルセデス・ベンツの米国法人だ。1988年の法律が制定される以前よりもFMVSSへの適合は必須であったが、当時は書類の提出だけで済んでおり、そのクルマが本当に必要な適合作業を行なったかはほとんど確認されなかった。 メルセデス・ベンツの米国法人が数台の並行輸入車を実際に購入して調査したところ、マフラーの触媒がまったく異なる場所に装着されていたり、側面衝突時に乗員を保護するための補強が錆びた鉄パイプであったりと、ずさんな適合作業の痕跡を目の当たりにしたのだ。 そして彼らは恐れた。 これらずさんな作業を施したクルマが事故を起こし、その責任がまったく関係のない自分たち米国法人に向けられるかもしれないということを。 もちろん適切な適合作業を行なって販売する輸入業者も存在したが、適切か適切でないかを確認するのは困難である。 そこで「並行輸入車をすべて輸入禁止にしてしまえばいい」という大胆な施策の実行を思いつく。 メルセデス・ベンツが行った「反・並行輸入車」キャンペーンは他の自動車メーカーをも巻き込んで、法律制定へのロビー活動へと発展。彼らの思惑通り、無事にこの法律が誕生したのである。 つまりは、この「25年経つまでは憧れの日本車が手に入れられない」という足枷をアメリカ人にはめたのも、「憧れの90年代スポーツカーが製造後25年経過目前で急激に高騰して手に入れられない」という状況を日本の中古市場に作り出したのも、すべてメルセデス・ベンツの米国法人であったといってもあながち間違いではない。 ■日本で「25年ルール」が話題となったのは2014年以降 並行輸入を排除するキャンペーンは「安全」という大義名分で語ることもできるが、別の見方をすれば「現地法人の収益が減るから」という理由も見えるはず。 そしてこの「25年ルール」が日本の旧車界隈で大きな話題となったのは、2014年以降である。 1989年に発売された日産 スカイライン GT-R(BNR32)が製造から25年経過した年だ。 つまり、25年ルール発動によって32GT-Rがアメリカで合法的に輸入できるようになった。 ▲アメリカへの船積みを待つ25年ルールで解禁になったクルマたち そこから、数々のゲームや映画、漫画で見た「憧れの日本製90年代スポーツカー」がグッと近くなったとアメリカの人々は実感した。 製造年月から25年経過した個体はどんどんアメリカへ輸出され、毎年、新たな日本製90年代スポーツカーが「解禁」されていくという現象になっている。 今年は2022年なので、三菱 パジェロエボリューションや2代目トヨタ センチュリー、5代目ホンダ プレリュード、初代ホンダ シビックタイプRなどの、1997年から製造が始まった日本車が解禁されている状況だ。 ちなみに、1999年から製造が始まった日産 スカイラインGT-R(BNR34)は2024年に解禁予定だが、そのあまりにも高い人気で中古市場ではすでに爆発的な値段高騰に見舞われている。 ■実は製造後25年未満でもアメリカに輸入する方法が他にもある? なお、製造後25年を待たないでアメリカに輸入する方法も実はいくつかある。なかでも最も合法的手段なのがFMVSSで定められている特例、 “Show or Display” だ。 この手法はNHTSAが認めた「歴史的もしくは技術的価値のあるクルマ」を特別に輸入し、展示や整備に必要な走行に限って年間2500マイル(4000km)まで公道を走行可能とするもの。 これなら製造後25年経過していなくても、歴史的もしくは技術的に貴重と認められたクルマなら走ることが可能となる。 NHTSAに特別に認可された自動車のリストはNHTSAのウェブサイトで公開されている。 これを見ると、アストン マーティン DB7ザガートクーペや、アストン マーティン One-77、フェラーリ J50、マクラーレン スピードテイルなどのスーパーカー以外に、日産 スカイライン GT-R M-spec Nür、日産 スカイライン GT-R V-spec ミッドナイトパープルII、スバル インプレッサ 22B-STiバージョンなどの「超レア」な限定車も含まれる。 ■アメリカには「21年ルール」も存在する ちなみに、アメリカには「25年ルール」ともう一つ、「21年ルール」というものが存在する。 この背景には1963年に制定された “Clean Air Act(大気浄化法)” なる法律が存在している。 アメリカ合衆国環境保護庁の定める基準に適合しないエンジン、そしてそれを搭載する自動車の輸入を禁じているというもの。 そして例外規定として、工場出荷時の状態と同じ仕様のエンジンを搭載しており、なおかつ「製造後21年経過」している場合は、輸入して良いというものだ。 「25年ルール」ほど知られていないのは、そもそも「自動車の登録」の時点で製造後25年経過している必要があり、25年経過しているということはEPAの21年ルールも自然と経過しているからだ。 先述の “Show or Display” の場合、たとえ製造後25年経過していなくても、EPAの21年ルールは適用されるので要注意。 ■まとめ:「25年ルール」に関わる旧車バブルによる弊害とは? 「25年ルール」に関わる旧車バブルによって、映画やゲーム、漫画でかつて憧れた90年代スポーツカーは今後も高騰が続くだろう。 比例して旧車の盗難もますます増えていくと思われる。 しかし、だからといって健全な方法で「憧れの日本車」を手に入れたアメリカのクルマ好きをバッシングして良い理由にはならない。 ここ最近の価格高騰、そして多発する盗難事件の責任をそれらアメリカ人になすりつけるような批判がよく見られるのは、とても悲しいことだと筆者は思う。 [ライター・カメラ/加藤ヒロト]

盗難車での事故!賠償責任は誰に?所有者が気もつけるべきポイントも解説
旧車の魅力と知識 2022.06.28

盗難車での事故!賠償責任は誰に?所有者が気もつけるべきポイントも解説

日本は治安がよいとはいえ、車が盗まれることもあります。盗難車は犯人から乱暴に扱われることが多いため、事故に発展する確率も高いでしょう。この記事では、盗難車が事故を起こしたときは、誰が損害賠償請求されるのかについて解説します。所有者が責任を問われるケースや、被害者への補償についても解説するので、ぜひ参考にしてください。 盗難車が事故を起こしたときは誰が損害賠償請求される? 盗難車が事故を起こしたときは、基本的に車を盗んだ犯人が損害賠償請求されます。2017年1月に川崎市内で起こった盗難車の事故では、車の所有者は責任を問われていません。しかし車を盗まれた所有者は、100%責任を問われないわけではないため注意が必要です。 盗難車が事故を起こしたときに管理責任を問われるケース 車の管理が適切でなく簡単に盗まれる状況だった場合は、所有者にも落ち度があるため、損害賠償請求される可能性もあります。続いて、車を盗まれた所有者が管理責任を問われるケースを紹介します。 例①エンジンやキーをつけっぱなしにして長時間離れる エンジンやキーをつけっぱなしにして車から長時間離れていた場合は、管理責任を問われ損害賠償請求される可能性があります。これは、エンジンやキーをつけっぱなしにして車から長時間離れるという盗まれやすい状況を自分で作ってしまっているからです。 またドアロックをせず、誰でも安易に接触できるような場所に車を停めていた場合も、管理責任を問われます。エンジンを止めてドアを施錠し、必ずキーを持って車から離れるようにしましょう。 例②盗難されてから盗難届を出さなかった 盗難されてから盗難届を出さなかった場合も、管理責任を問われ、損害賠償請求される可能性があります。盗難届を出せば、警察が車を探してくれるため、事故を防げる可能性もあるでしょう。しかし車を盗まれたにもかかわらず、速やかに盗難届を出さなかった場合、管理責任を問われます。盗まれた場合は、盗難届を速やかに提出し、車の行方と犯人を警察に追ってもらいましょう。 犯人による被害者への補償について 所有者に賠償責任がない場合、被害者への補償は、犯人が全額負担する必要があります。しかし車を盗難する犯人は、支払い能力がないケースがほとんどです。犯人に支払い能力がない場合、政府補償事業から被害者に対して自賠責保険の支払い基準をもとに、てん補金が支払われます。政府補償事業とは、盗難車や無保険車による事故に遭い、自賠責共済から保険金を受け取れなくて困っている被害者を救うための制度です。 しかし自賠責保険は、人が死傷したときに支払われる保険金のため、車の修理費用は補償されません。支払い能力がない相手と事故に遭った場合、車両保険に入っていると、車の修理費用も補償されるので安心です。さらに自賠責共済から支払われる保険金では足りない場合、被害者は自分が加入している自動車保険の人身傷害保険を使えます。人身傷害保険は、使っても等級に影響しないため、保険料が上がることを気にせず利用できます。被害者は、自分の人身傷害保険で不足分を賄えることも、把握しておきましょう。 所有者による被害者への補償について 所有者にも損害賠償責任がある場合は、契約している自賠責保険や自動車保険の対人賠償保険で補償できます。また盗難車が他人の家や車、電柱などに衝突した場合は、対物賠償保険で補償されます。対人賠償保険や対物賠償保険の保険金は、無制限で加入している人が多いですが、限度額が設定されている可能性もあるため、再度補償内容を確認しましょう。

最小排気量で上限馬力を実現したトヨタ 1JZ型エンジン!今なお名機と呼ばれる理由とは
旧車の魅力と知識 2022.06.24

最小排気量で上限馬力を実現したトヨタ 1JZ型エンジン!今なお名機と呼ばれる理由とは

トヨタ最強エンジンとも称される2JZ型エンジン。しかし、前身となる1JZ型エンジンの開発成功がなければ続く2JZは生まれませんでした。排気量を2.5Lに抑えながらも、自主規制上限の280psを発生し、最高のパフォーマンスを叩き出した1JZ型エンジンの魅力に迫ります。 名機の後継機として開発された1JZもまた名機 JZ系エンジンの初代となる1JZエンジンは、30年近く製造されてきたトヨタを代表するエンジン、M型の後継機として開発されました。排ガス規制や税制上の理由から2.5Lというサイズダウンを余儀なくされた開発となるものの、トヨタの高い技術力によって名機M型エンジンをしのぐパフォーマンスを発揮します。 名機M型エンジンを受けて開発された 1JZの前身となるM型エンジンは、1965年から1993年の28年間もの長期に渡って製造されたトヨタ屈指のハイパワーエンジンです。クラウンはもちろん、セリカXXやソアラ、そして2000GTといったスポーツモデルにも搭載された名機と呼ばれるエンジンでした。 しかし、M型エンジンの基本設計から既に30年近くが経過していたことと、税制区分の変更で2.5Lエンジンが税制上有利になることから新型エンジンへの移行が決定されます。 そこで登場したのが、JZ系エンジンとなる1JZエンジンです。2.5LというM型エンジンより500cc小型ながら、後継機としてM型エンジン以上のパフォーマンスを求めて開発されました。 直列6気筒というトヨタのハイパワーエンジンの系譜をそのまま受け継ぎ、M型エンジンの正当な後継機が1JZエンジンです。 JZ系エンジンの地位を確立した1JZ-GTE JZ系エンジンの基本形は、2.5L直列6気筒の1JZ-GE型自然吸気エンジンで、自然吸気ながら180psを発生するハイパワーエンジンでした。しかし、1JZエンジンの地位を確立したのはツインターボを搭載した1JZ-GTE型エンジン。ヤマハ発動機と共に開発された1JZ-GTE は、2.5Lという小排気量でありながら、当時の自主規制いっぱいとなる280psを発生しました。 そして、1JZ-GTEエンジンの人気に火をつけたのが90型マークII3兄弟であるツアラーVの登場です。4ATしか用意されていなかった80型と異なり、5MTが用意されたツアラーVは、1JZエンジンのポテンシャルを十分に引き出し、スポーツサルーンの代表格となりました。 今も支持される1JZエンジンの魅力 ツインターボによる爆発的な加速力が魅力の第1世代、トルクフルで扱いやすかった第2世代。2世代開発された1JZは、どちらの世代も甲乙つけがたい秀逸なエンジンだったことは間違いありません。また、堅牢で信頼性が高かったことも多くの車好きやチューナーから支持を集めた要因です。 世代によって異なる1JZの性格 1JZエンジンは、可変バルブタイミング機構の有無によって2世代に分かれています。可変バルブタイミング機構が採用された第2世代では、ベースとなる1JZ-GEの出力は200psにまで高められました。 しかし、第2世代最大の特徴はパワーではなくトルクです。とくにターボ仕様の1JZ-GTEでは、トルク特性が大きく変更されました。第1世代のトルクは37.0kg・mを4,800回転で発生していたのに対し、第2世代では38.5kg・mをわずか2,400回転で発生。ターボもツインターボからシングルタービンに変更され、低速域から扱いやすいマイルドな性格のエンジンになりました。 レスポンスが良くターボラグが少ない 1JZエンジンは、トヨタが高い技術力をアピールするために掲げたLASRE(Light-weight Advanced Super Response Engine)として開発されます。軽量コンパクトに設計する一方で、3.0LエンジンだったM型エンジンのパフォーマンス以上のパワーが求められました。 燃焼室形状の変更やバルブ径の拡大、ショートストローク化によってエンジンの高さを抑えることに成功。しかも、ショートストローク化したことで高回転までスムーズに吹け上がる理想的なエンジンに仕上がりました。 さらに、ターボ仕様となる1JZ-GTE型には軽量なセラミックタービンを採用。ターボラグは当時としては最先端といえるほどの水準で、もともと吹け上がりのいいエンジン素性とあわせて抜群のアクセルレスポンスを発揮しました。特に第1世代となるツインターボモデルでは、過給のかかる4,000回転以上で爆発的な加速力を見せます。 チューニングベースとして堅牢な1JZ-GTE 1JZエンジンは、エンジンブロック部分にブロック骨格を採用するなど、もともと剛性の高いエンジンです。さらに、ターボ化にともなって鍛造のアルミ合金製のピストンを採用し、冷却性と耐熱性を大幅に向上。シャフトセンターがブレにくいフルカウンタークランク、耐久性の高いメタルガスケットなど、1JZ-GTEはエンジン自体の基本設計がしっかりしていました。 第1世代、第2世代ともに自主規制によって280psに抑えられていますが、吸排気チューニングやタービン交換でエンジン内部に手を入れることなく400psオーバーを狙うことも可能です。 現在のトヨタハイパワーエンジンにつながる存在 1JZエンジンの成功は、排気量アップモデルとなった2JZ型エンジンや、現在のGR型エンジンの開発へとつながっていきます。M型エンジンからはじまったトヨタのハイパワー直6エンジンは、1JZによって不動の地位を確立しました。 また、1JZエンジンは排気音も大きな魅力の1つ。低回転からスムーズに立ち上がり、独特の高音をともなった咆哮がドライバーの耳に心地よく届きます。欧州の高級スポーツカーに引けをとらないエグゾーストノートは、当時のみならず今もファンを魅了するサウンドです。  

外付けのナビゲーション「ポータブルナビ」とは?おすすめ機種も紹介
旧車の魅力と知識 2022.06.20

外付けのナビゲーション「ポータブルナビ」とは?おすすめ機種も紹介

カーナビゲーションは、日本全国を迷わず運転するために必須です。今回は、車を購入した後でも装着できるポータブルナビ(外付けナビ)とは、どのようなナビゲーションなのか解説します。また、ポータブルナビの選び方やおすすめ機種も紹介します。ポータブルナビ(外付けナビ)を検討中の方はナビ選びの参考にしてみてください。 そもそもポータブルナビ(外付けナビ)とは ポータブルナビとは、取り付けや取り外しが簡単で、持ち運びができるナビゲーションです。車に取り付ける場合には、ダッシュボード上に設置するのが一般的です。 ナビゲーションの性能や機能は、メーカーや機種によって異なります。モニターのサイズは、コンパクトな5インチや標準的な大きさの7インチがほとんどです。中には、大画面で視認性や操作性に優れ、テレビや映像コンテンツを楽しめる9インチもあります。 ポータブルナビ(外付けナビ)のメリット ポータブルナビのメリットは、車を購入した後でも取り付けられることです。車の内装に埋め込むタイプの一般的なナビゲーションの場合は、車の電装品を作動させる配線から電源をとります。一方、ポータブルナビの場合は、シガーソケットから電源をとるタイプがほとんどであるため、内装を剥がして配線する必要がありません。 また、簡単に持ち運びできることもメリットでしょう。さらに、車を乗り換えても、今まで使っていたナビゲーションをそのまま使用できます。加えて、メーカーナビやディーラーナビよりもポータブルナビの方が値段が安いこともユーザーにとっては嬉しいポイントといえるでしょう。 ポータブルナビ(外付けナビ)の注意点 ポータブルナビは、車のダッシュボード上に設置することがほとんどです。ただし、ポータブルナビを設置する際には、前方の視界を妨げない位置に取り付け、エアバッグの作動を妨げないようにしなければなりません。つまり、保安基準に適合する(車検に合格する)ようにしなければならないということです。ポータブルナビの取り付け方が不安な場合は、カー用品店や整備工場などでアドバイスを受けながら取り付けましょう。 また、ポータブルナビは車のバック(Rギア)と連動していないタイプがほとんどです。そのため、基本的にはポータブルナビの画面をバックモニターとして利用できません。ただし、ポータブルナビの中には、バックカメラに対応している機種もあることから、用途や目的、欲しい機能に応じて機種を選ぶことが大切と言えます。 ポータブルナビ(外付けナビ)の選び方 ポータブルナビを選ぶときは、液晶モニターのサイズやナビゲーションの精度・機能などに着目しなければなりません。ここからは、ポータブルナビを選ぶときに注目すべきポイントを6つ紹介します。 液晶サイズ ナビゲーションの視認性にも影響する液晶モニターのサイズは、ポータブルナビを選ぶときに注目すべきポイントです。 主流のサイズは、コンパクトな5インチと標準的な7インチの2サイズとなっています。機種によっては、大画面で視認性や操作性に優れる9インチを用意しているモデルもあります。 液晶モニターのサイズは、ナビゲーションの利用がメインであれば5インチ、機能が豊富で視界を妨げにくいサイズがよいのであれば7インチ、ナビゲーション以外のエンタメ(テレビや映像コンテンツなど)も楽しみたい場合には9インチがよいでしょう。 精度 自車の位置をモニターに表示するナビゲーションの精度は重要なポイントです。 衛星電波による自車位置の検出は、GPSだけでなく、「みちびき」や「グロナス」など複数の衛星電波を受信できるタイプがよいでしょう。また、ジャイロセンサーや加速度(車速)センサーなどが搭載されていると、トンネルや地下などでも自車の位置を計測することができます。 ポータブルナビを選ぶときは、自車位置を検出する衛星電波だけでなく、速度や傾斜などを検知する機能を搭載している機種がおすすめです。 表示する情報量 ポータブルナビに表示される情報量は、多いものを選ぶとよいでしょう。 ナビ画面に表示されるのは道だけではありません。駅やコンビニ、目印となる建物など、さまざまな情報が表示されます。 ナビゲーションを使って目的地へ向かうときは、駅や目印となる建物が表示されるタイプの方が道に迷う心配が少なくなります。また、コンビニやファミレス、コインパーキング(駐車場)なども表示されるポータブルナビであれば、より使い勝手がよいでしょう。 地図デザイン 地図のデザインは、交差点や分岐の拡大表示機能があるタイプがおすすめです。 交差点では、信号機の横の交差点名標識も運転する際の重要な情報となります。そのため、交差点名標識が表示されるポータブルナビの方が、運転中に道を間違うことが少なくなるでしょう。また、高速道路を走行する際には、分岐や出口の拡大表示機能があると、道間違いを減らすことができます。 ポータブルナビの地図デザインをチェックするときは、交差点名標識の表示や分岐・出口の拡大表示があるかどうか確認しておきましょう。 地図更新の可否 地図更新ができるかどうかチェックしておくのも大切なポイントです。 最新の情報をナビ画面に表示したい場合や初めての場所に行くことが多い場合には、地図更新がされるタイプがよいと言えます。一方、ナビの本体価格重視で、おおよその道が分かれば問題ないという場合には地図更新がないタイプでもよいでしょう。 ワンセグのような付加機能の有無 ポータブルナビでも、フルセグやワンセグなどのテレビ、Bluetooth対応の機種があります。車内でエンタメを楽しみながらドライブをしたい場合には、付加機能が装備されているポータブルナビがおすすめです。 また、最近はドライブレコーダー付きのポータブルナビもあります。万が一のときの記録も同時にしておきたい方は、ドラレコ付ポータブルナビがおすすめです。 ポータブルナビ(外付けナビ)が向いている人 ポータブルナビが向いているのは、レンタカーやカーシェア、社用車など車の乗り換えが頻繁にある人におすすめです。 ポータブルナビは、シガーソケットに差し込むだけで電源をとることができ、ナビ本体の脱着も容易なことが特徴となっています。また、メーカーナビやディーラーオプションのナビよりも価格が安いため、手軽にナビを手に入れたいという方にもおすすめです。 ポータブルナビ(外付けナビ)が向いていない人 ポータブルナビが向いていない人は、ダッシュボード上にモニターを置きたくない方や配線を剥き出しにしなくない方など、車のインテリアに後付けパーツを取り付けたくない方です。 また、ポータブルナビは、ステアリングスイッチやバックモニターなど、車に装備されている機能と連動しないことがあります。そのため、車に装備されている機能を利用したい場合には、埋め込みタイプとなるメーカーナビやディーラーナビの方がよいでしょう。 おすすめのポータブルナビ(外付けナビ)3選 外付けのポータブルナビは、さまざまなメーカーから複数の機種が販売されています。しかし、機種が多すぎることから、どのポータブルナビがよいのか悩んでしまうこともあるでしょう。 ここからは、おすすめのポータブルナビを3機種を簡単に紹介します。ポータブルナビを検討中の方は参考にしてみてください。 Gorilla SSDポータブルカーナビゲーションCN-G1500VD パナソニックのゴリラ(Gorilla)CN-G1500VDは、7V型ワイドVGAモニターのポータブルナビゲーションです。 ナビゲーションの主な機能には、無料の全地図更新・無料の部分地図更新(いずれも2024年7月31日まで)、Gジャイロ、グロナス・みちびき・GPSのトリプル衛星受信、ワンセグ、音楽・MP4動画再生などがあります。また、オプションでリアビューカメラ接続に対応しているのも特徴です。 ゴリラCN-G1500VDは、無料の地図更新や精度の高い自車位置検知などの機能が充実しているポータブルナビといえるでしょう。 ポータブルカーナビゲーション MOGGY YPB746 ユピテルのMOGGY YPB746は、機能が充実している7インチモニターのポータブルナビゲーションです。 ナビゲーションの主な機能には、ワンセグ、「一方通行進入禁止案内」や「交差点対向車注意案内」といった安全運転アシスト機能、観光ガイドなどがあります。 ユピテル MOGGY YPB746は、うっかりやってしまう交通違反を抑止する機能が充実していることから、初めて走る道や運転に慣れていない方でも安心なポータブルナビといえるでしょう。 Gorilla SSDポータブルカーナビゲーションCN-G540D パナソニックのゴリラ(Gorilla)CN-G540Dは、ゴリラシリーズのスタンダードモデルで、5V型モニターのポータブルナビゲーションとなっています。 ナビゲーションの主な機能には、Gジャイロ、グロナス・みちびき・GPSのトリプル衛星受信、ワンセグ、音楽・MP4動画再生などがあります。ゴリラCN-G540Dには、上級モデルと同じような機能が搭載されているのが特徴です。ただし、地図更新は有償での対応となります。また、リアビューカメラ接続に対応していません。 ナビゲーション機能をメインに利用するのであれば、ゴリラCN-G540Dで問題ないでしょう。

旧車好きがこだわる「キャブレター」ってなに?今さら聞けない仕組みを解説
旧車の魅力と知識 2022.06.16

旧車好きがこだわる「キャブレター」ってなに?今さら聞けない仕組みを解説

旧車好きの間では、近年のクルマに採用されているインジェクションによる燃料噴射システムではなく、キャブレターの方が好まれます。キャブレターとは、電子制御の燃料噴射装置が登場する以前に採用されていた燃料噴射方式のことです。 見かたによっては、時代遅れとも言えるキャブレターがなぜ旧車好きから愛されているのか?その仕組みや長所、短所を改めてご紹介します。 キャブレターの仕組み キャブレターは電気を使わず、エンジンの負圧を利用して燃料を噴射します。 キャブレターの中にベンチュリーという吸入空気の道を絞った場所を設け、吸入空気の流速を上げることにより負圧を発生。ベンチュリーの中にあるジェットから燃料が吸い出され、霧状になります。 燃料を霧状にするのは、気化を促進して空気と混ざりやすくするため。空気と燃料が混ざった“混合気”は、そのインテークマニホールドを通ってエンジンの吸気側へと送られ、燃焼室に入ります。 性能特性に大きく影響する「ジェット」とは ここでは、クルマのエンジンに使用される一般的なキャブレターについて、もう少し深く解説します。 キャブレターとエンジンの性能特性を左右するのが“ジェット”です。燃料を霧状にするジェットは、「メインジェット」「スロージェット」「ニードルジェット」の3種類。アイドリング時(アクセル全閉時)はスロージェット、アクセル全開時はメインジェット、全閉と全開の中間時はメインジェットに刺さっているニードルジェットが燃料噴射量をコントロールしています。 メインジェットとスロージェットは、穴の大きさによって燃料噴射量が変化。メインジェットに刺さっているニードルジェットは、アクセル開度に応じてニードルジェットが持ち上げられ、メインジェットの穴の隙間が広がり燃料の噴射量が変化します。 一度知ったら病みつき!?「キャブ車」にしかない独特なフィーリング キャブレターの大きな特徴の一つが、インジェクションには無い吸気音です。キャブ車はアクセルオフにした際、キャブ車は独特な“シュッツ”という音がします。その音はノーマル状態でも耳を済ませば聞こえ、チューニングしていればさらに良く聞こえてきます。 そしてもう一つの特徴が、機械を操作していると実感できるダイレクト感です。キャブ車の場合、アクセルペダルの操作でバルブが開いて空気が流入し、そこにガゾリンが噴射されてエンジンに到達。そして、圧縮された混合気が一気に膨張(爆発)し、パワーが出るという一連の流れをダイレクトに感じることができます。 エンジンが空気を吸っている機械的な音や、ダイレクトで気持ち良いスロットルレスポンスこそ、キャブレターが好まれる理由です。 機械を操作していると実感できるダイレクト感 インジェクションでも一部のスポーツカーには、スロットルレスポンスが良いものもあります。しかし、電子制御である以上、ドライバーの意志が届かない領域でコンピューターの制御が入り、それが違和感やダイレクト感が希薄になる要因です。 また、キャブレターは物理的なジェット交換やスクリューを調整することでチューニングします。画面上の数値でしか確認できない電子制御インジェクションに比べシンプル。もちろん、最高のコンディションにチューニングするためには相応の経験と知識は必要ですが、目に見えるものを交換、または調整するというシンプルなチューニングも、キャブレターならではの魅力なのです。 キャブレターのデメリット 独特のダイレクト感でインジェクションには無い魅力を持つキャブ車ですが、インジェクションと比べるとデメリットもあります。一番大きなデメリットは、外気温度や標高などでエンジンの調子が変化することです。 エンジンに大切な三要素のひとつである“混合気”は、燃料の量と空気中の空気量(酸素密度)で決まります。インジェクションであれば、空燃比センサーを使ってリアルタイムに検知することで燃料の噴射量を調整し、酸素濃度の変化に対応できます。しかし、キャブ車の場合は空気の流速で燃料を噴射するため、酸素密度が変化しても同じ量の燃料を噴射します。 つまり、気温の変化や標高の変化で酸素密度が変わっても、同じ量の燃料を噴射することになり空燃比が変化。エンジンにとって大切な“混合気”の空燃比が変わってしまうことで、朝一などでエンジンが掛かりにくいと言ったような症状の原因になることもあります。 暑い日も寒い日も旅行先の高地でも、常に気兼ねなくエンジンをかけ走ることを優先にした場合、やはりキャブレターよりもインジェクションの方が圧倒的に有利です。 時代の流れに乗ることができなかった「キャブ車」 現在クルマに対する考えは、「排気ガスをクリーンにし、地球の環境を守ること」「自動車の燃費性能を向上させること」「気温や高度に関係なくスムーズに運転ができること」などです。 各自動車メーカーは日々研究や開発を進め、排気ガスはクリーンで燃費が良く、いつでも快適に使えるクルマが販売されています。 また、近年は昭和や平成初期に比べかなり車好きが減っていることもあり、燃費は購入するときの重要な検討材料という方がほとんど。そんな今の時代には、セッティングや乗り味、スロットルレスポンスを楽しむキャブ車より、燃費が良くいつでも快適な電子制御インジェクションの方が喜ばれるのは当然です。 自動車メーカーにとっても、性能が出しやすく万人に好まれるインジェクターに移行するのは当たり前で、2003年の三菱 リベロカーゴを最後に、キャブレターを持つ新型車は消えていきました。 まとめ 日本でも2035年には、内燃機関を備えた自動車の新車販売が禁止される可能性が濃厚になってきました。今後の自動車開発は、インジェクションどころか、BEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド)などの電動車がメインになるのは確実です。 そうなると、ガゾリンエンジンを搭載しているクルマの価格は、今以上に高騰することが十分考えられます。当然、年式が古くなったキャブ車はさらなる高騰が考えられるため、キャブ車の購入を考えているなら、早めに購入することをおすすめします。 しかし、前述したように、キャブレターは気温や標高など、さまざまな条件に合わせたチューニングが欠かせません。 本気で購入を考えているのなら、キャブレターについて学び自分でメンテナンスをしながら乗るか、キャブ車に強いショップで相談しつつ、できれば現車確認はショップの方に同行してもらうのが良いでしょう。

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