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ラダーフレーム構造にこだわり、硬派な本格クロカンとしての地位を築き上げたパジェロ。モデルチェンジを繰り返しても、最初の開発ポリシーは最終モデルまで受け継がれました。トヨタ ランドクルーザーと双璧をなす日本が誇るオフローダー、三菱 パジェロのこだわりと魅力に迫ります。 トラックベースの硬派仕様【初代:1982年~1991年】 マイナーチェンジを含めて9年もの長きにわたり、さまざまなモデルやエンジンを投入した初代パジェロ。三菱が世界に誇る看板車種となったパジェロですが、実は発売当初はあまり話題になりませんでした。しかし、本格クロカン車としてこだわって開発したことで市場のパイオニアともいえる名車となっていくのです。 あまり注目されなかった初代パジェロ誕生 初代パジェロが登場したのは1982年です。ノックダウン方式で生産していたジープに代わるモデルとして開発されました。後に本格クロカン車として三菱を代表する車種となったパジェロですが、当時は主力車種という位置付けではなかったため限られた予算で開発されます。 発売当初の販売台数は月間数百台程度だったという情報もあり、あまり注目されたクルマではありませんでした。 本格クロカンとして高い性能を誇ったパジェロ 初代登場時、パジェロは主力車種ではなかったものの、フレームやエンジンなど、三菱の開発陣はしっかりと作り込んでいました。結果的にクルマとしてのポテンシャルの高さがその後のパジェロ人気につながります。 まず、車体にはトラックでも使用されるラダーフレームを採用しました。ラダーフレームは構造がシンプルで信頼性が高く、堅牢なプラットフォームです。さらに、駆動方式をFRベースのパートタイム4WDとしたことで高い悪路走破性を実現します。 エンジンは4WD車として国産初となるディーゼルターボエンジンを搭載。発売翌年には145psを誇るG63B型2.0L 直列4気筒ガソリンターボエンジンも追加され、「国産クロカン4WD最速」とも称されました。 パジェロ旋風を巻き起こしたパリダカ パジェロが転機を迎えたのは、発売から5年後の1987年です。もっとも過酷なラリーとして知られるパリ・ダカールラリー(通称パリダカ)で、プロトタイプのパジェロを駆る篠塚建次郎氏が3位という成績を残します。その模様は連日NHKで中継されていたこともあり、瞬く間にパジェロ旋風が巻き起こりました。 また、バブル景気によるアウトドアレジャーブームの後押しもあり、最盛期には年間8万台以上の注文を記録しました。ここから、パジェロは本格クロカンとしての地位を確立していきます。 RVブームを巻き起こした歴史的モデル【2代目:1991年~1999年】 初代で確立した国産クロカン車としての地位をより強固なものにしたのが、2代目パジェロです。世界初の画期的な4WD機構やハイパフォーマンスエンジンを投入して基本性能を向上させたことで、RVブームの火付け役になるとともにブームを牽引する存在となりました。 初代の成功を背景にフルモデルチェンジ 2代目パジェロの登場は1991年です。バブル景気まっただなかでの登場でした。初代で評価の高かった本格クロカンとしての性能と乗用車としての乗り味を両立させた三菱開発陣の強いこだわりが詰め込まれたモデルです。 より多くのユーザーに、本格クロカンを届けたいという三菱の狙いは見事に的中しました。高まりつつあったRV車への人気に火をつけ、RVブームを巻き起こすきっかけとなる車種になりました。 また、より多くのユーザー取り込みを狙って、軽自動車規格のパジェロミニと1.1Lモデルのパジェロジュニアが投入されたのも2代目パジェロです。どちらも小型ながら本格的なつくりで高い人気を集めました。 世界初搭載のスーパーセレクト4WD 2代目パジェロに搭載された4WDは、世界初搭載となる「スーパーセレクト4WD」です。スーパーセレクト4WDは、フルタイム4WDとパートタイム4WDの長所を兼ね備えた仕組みで、時速100km/h以内なら2WDと4WDの切り替えをセレクトレバーで簡単に行えるという画期的な機構でした。 ハイパフォーマンスエンジン 2代目パジェロには、初代から出力を155psまで引き上げた6G72型 2,972 cc V型6気筒SOHC12バルブエンジンを投入しました。この6G72型エンジンは改良を重ね、最終的には最高出力を185psまで引き上げられるとともに、4代目パジェロでも使用される長寿命エンジンとなります。 また、モデル末期となる1997年には、3.5Lの6G74型が追加されました。最高出力は245psを発生しつつ、V型6気筒エンジンとして世界初となるガソリン直噴(GDI)を採用することで、高出力と環境性能を両立しています。 さらに、同年にハイパフォーマンスエンジンを搭載したパジェロエボリューションがラリーのベース車両として投入されます。搭載された6G74型V型6気筒3.5Lエンジンは、新開発の可変バルブタイミング機構「MIVEC」を採用し、当時の自主規制上限である280psを発生させました。 クロカン系から高級路線に変貌【3代目:1999年-2006年】 本格的な悪路走破性能をもちつつ、普段使用を意識した変化を取り入れてきたパジェロ。3代目へと進化する過程で、より使いやすさと快適性追求し、ラグジュアリー志向のSUVへと大きな転換点を迎えることになります。 初代発売から17年目の大幅な路線変更 1999年に登場した3代目パジェロは、高級路線へと大きな方向転換を図ったモデルです。国内では1997年に登場した高級クロスオーバーSUVのハリアーが大ヒット。世界中の自動車メーカーが、乗用車としての乗り心地や高級感を重視したクロスオーバーモデルに舵を切り始めていました。その流れを受け、パジェロも高級路線になったものの、本格クロカンとしての性格は色濃く残すことで、他社のクロスオーバーSUVとは一線を画す存在でした。 フレーム構造をモノコックベースに変更 3代目パジェロは、乗り心地を重視しフレーム構造が大きく変更されました。ラダーフレーム構造から、モノコックフレームにラダーフレームを溶接したビルトイン構造を採用。高級路線で内装を豪華にしたことや安全性の強化などの重量増の要因があるにもかかわらず、軽量なモノコックフレームとすることで、約100kgの軽量化を実現しました。 一方で、ビルトイン構造のためラダーフレームの堅牢さも確保されており、本格クロカンという矜持は維持しています。 より安定性と操作性の向上が図られたパワートレイン 3代目パジェロには、2代目パジェロの末期に追加された6G74 V型6気筒3.5Lエンジンが引き続き搭載されました。最高出力こそ220psとややおさえられているものの、制御の問題点を改善。高級車にふさわしく安定性が高められています。 また、2代目から搭載されたスーパーセレクト4WDも「スーパーセレクト4WDⅡ」に進化しました。センターデフをプラネタリーギアに変更し、前後トルク配分を33:67とリアよりとすることでオンロードでの操縦性向上が図られています。 改良を続けその魂を貫いた【4代目:2006年~2019年】 結果的にパジェロの最終モデルとなった4代目パジェロ。販売最終年には、特別仕様車「ファイナルエディション」を投入し、惜しまれつつその歴史に幕を閉じることとなります。 本格クロカンにこだわり続けた4代目 4代目パジェロは、3代目の高級路線を踏襲する形で開発されました。本格クロカンへのこだわりでもあった、ビルトイン構造のフレームやハイパフォーマンスエンジン、スーパーセレクト4WDⅡを軸にした駆動系にも改良が加えられています。 シャーシに関しては、ビルトイン構造を継承しつつ、高張力鋼板や構造用接着剤の使用によって、先代以上のボディ剛性を実現。高級車としながらも、最後までオフロードでの走破性にこだわりました。 販売最終年となる2019年には、「ファイナルエディション」として特別仕様車を投入しました。三菱がいかにパジェロを大切にしてきたかがうかがえます。 初代から一貫してこだわった高い基本性能 4代目パジェロには、252psを発生する6G75 V型6気筒3.8Lエンジンが搭載されました。さらに2010年には新環境基準をクリアしつつ、パジェロ史上最大トルクとなる45.0 kgf・mを発生する新型のクリーンディーゼルエンジンが投入されたことも注目したいポイントです。 走行性能についても、3代目から採用しているスーパーセレクト4WDⅡに加えてさらなる安定化を図る機能を装備しています。独立したブレーキ制御をおこなうアクティブスタビリティコントロール(ASC)とエンジン出力制御によるアクティブトラクションコントロール(ATC)を組み合わせたASTC(アクティブスタビリティ&トラクションコントロール)を全車に標準装備しました。滑りやすい路面や急ハンドルでも安定した走行を実現し、クロカン車としての機能が向上しています。 時代を作り時代に飲み込まれたパジェロ 4代目パジェロは、初代を超える13年という長期間販売されました。しかし、2019年の4代目生産終了とともに、パジェロは37年の歴史に幕をおろすことになります。 市場がクロスオーバーSUVへシフトしていったことで、本格クロカンにこだわり続けたパジェロの存在感は徐々に薄れていきました。RVブームのきっかけとなり市場を作り出したパジェロ。しかし、最後はその市場の動向やニーズの変化に飲み込まれるという皮肉な形で生産終了となりました。 まとめ クロスオーバーSUVの台頭という波に飲み込まれたパジェロですが、中古車市場では現在でも人気の高い車種の1つです。 大手中古車サイトでは、年式の古いものであれば60万円台から販売されていますが、4代目最終モデルの低走行車なら600万円程度と幅広い価格で販売されています。 対して旧車王での買取価格を見てみると、走行距離113,700kmの1999年式2代目パジェロGEバンが55万円。そして、2019年式、走行距離25,200kmのファイナルエディションで400万円の値が付けられています。(2022年8月原稿執筆時) 一部の国産スポーツカーのように、非現実的な価格で取引されているわけではありません。しかし、25年以上前の年式でも400万円を超えるような中古車も販売されており、パジェロも全体的には徐々に相場が上がりつつあると言えます。 電動化や自動運転など、悪路走行とは別の性能が重視されているいま、今後パジェロのような本格クロカンモデルが新たに登場する可能性はほぼありません。そのため、ハイパワーなエンジンと堅牢なシャシーを備えた硬派な存在のパジェロは、今後その相場が上昇する可能性も十分にあるのです。
RX-7をはじめとするRXシリーズが有名ですが、はじめてロータリーエンジンを採用した車は1967年発売のコスモスポーツです。マツダコスモは時代の流れとともにエンジンやデザインを変え、各モデルともに魅力的な車となっています。そんなマツダコスモの歴史を振り返りましょう。 初代マツダ コスモスポーツ(1967年~1972年) レシプロエンジンは、ピストンの上下運動をクランクシャフトにより回転運動に替えています。それに対し、ロータリーエンジンはハウジングの中でおむすび型ローターを回転させ、すべてを回転運動で完結させるというのが大きな特徴です。。ロータリーエンジンは理想のエンジンと呼ばれながらも、技術的課題が多く、長らく「エンジニアの夢」と言われたエンジンでした。 1951年、ドイツのフェリックスヴァンケル博士(Felix Wankel:1902−1988)がロータリーエンジンの原理を確立したものの、量産化には多くの課題が存在しました。そのため、ロールスロイスや日産を始め、世界中のメーカーが開発に着手したものの量産化には至りませんでした。 そんな中、1964年の東京モーターショーでロータリーエンジンを搭載したコスモスポーツコンセプトが鮮烈なデビューを飾ります。 名前の由来はイタリア語で宇宙を意味するCosmo(コスモ)。「宇宙時代にふさわしいエンジンを」という願いが込められていました。 1967年5月30日、モーターショーでのデビューから3年、マツダはついにコスモスポーツの販売を開始。搭載された12A型ロータリーエンジンは、総排気量491cc×2、最高出力110PS、最高速度185km/h、0-400m加速16.3秒というスペックを持ち、当時のスポーツカーとしては十分な性能を持っています。 さらに、上下に分割されたテールランプやボディ全体の厚みを抑えたデザインは、航空機や宇宙船を彷彿とさせ「走るというより、飛ぶ感じ」という言葉を具現化した車でした。 2代目マツダ コスモ(1975年~1981年) コスモスポーツの生産終了から3年後、1975年に発売された車がコスモAPです。マツダのフラッグシップとして高級路線にシフトされました。欧米市場を意識した2代目コスモは、順調に販売台数を伸ばし、発売から1年半で10万台を達成します。1977年にはバリエーション違いのコスモLを追加し、これも同じく市場から高い評価を得ます。6年にわたり販売された2代目コスモは、コスモ史上最も売れたコスモとなりました。 コスモAP 1973年に発生したオイルショックの影響で燃費の悪いロータリーエンジンは嫌煙され、販売台数は悪化してしまいます。そんな中、1975年に他社に先駆け昭和51年排ガス規制をクリアし発売されたのがコスモAPです。 APは「反汚染」を意味するアンチポリューション(Anti Pollution)の略で、搭載された13B型 654cc×2ローターのロータリーエンジンは、51年排出ガス規制をクリアしながら最高出力は135ps/6000rpmを達成。コスモAPのイメージアップに一役買うことになります。 デザイン面ではアメリカを意識したスペシャリティカーへ進化を遂げ、メッキ仕上げの大型フロントグリルを持つファストバックスタイルとなります。特徴的なBピラーにはピラーにウィンドウを配置し、手動式レギュレーターで全開が可能でした。 コスモL コスモLは1977年7月に追加された2代目コスモの高級仕様です。単に部品を変えただけの仕様違いではなく、ノッチバックスタイルを持つこだわりの一台となっています。コスモLの「L」は、ランドートップ(上級馬車)の頭文字から取ったもので、ルーフ後端は高級感のある革調の素材を採用。2ドアクーペでありながら、高級リムジンのような雰囲気を醸し出しています。 後部座席はゆったりとしており、5人乗車が可能。見るからに小さい後部座席の窓は、すべての景色が見えなくとも、ラグジュアリーな時間を車内で過ごしてほしいという意図により採用されました。上質でありながらどこかかわいらしさも感じる内装は、旧車ファンの心を掴んで離しません。 初代コスモスポーツから受け継ぐ走行性能を持ち、環境性能も満足させながら、独特の世界観を持つ2代目コスモは、マツダの名作と言って間違いないでしょう。 3代目マツダ コスモ(1981年~1990年) 1981年9月、マツダは車名をシンプルなもの変更した3代目コスモを発売します。同時期にフルモデルチェンジを受けたルーチェの姉妹車となり、ボディバリエーションも複数用意されました。2ドアハードトップ、4ドアハードトップ、なんとピラー付き4ドアセダンまでラインナップを広げています。(コスモの社名を有する4ドアボディはこのモデルが最初で最後)多様化する需要に応えるように選択肢を広げた3代目コスモは、マツダの意欲作でしたが、その期待とは裏腹に販売台数は伸び悩みます。 エンジンはロータリー・レシプロ・ディーゼルの3本立てとなっており、ロータリーエンジンを持つマツダならではのユニークなバリエーションです。デザイン面でもコスモらしい個性的なもので、直線基調のインテリア、カセットテープを正面から見せるオーディオなど、当時のファンを驚かせます。エクステリアでは先代のAPと同様にBピラーに小さな窓を備え、ウエストラインを下げてグラスエリアが拡大されました。さらに、角4灯のリトラクタブルヘッドライトという個性的なものとなっています。 しかしながら、発売当初搭載されたロータリーエンジンは、先代の13B型ではなく排気量の小さい12A型を採用しています。数値的には130ps/7000rpmと先代と同等でしたが、頼りないフィーリングはコスモファンを満足させることは出来ませんでした。 そこで、同年10月には初のロータリーターボを採用。160ps/6500rpmの最高出力と23.0kgm/4000rpmで当時最高速213.33kmに達しています。そして、1983年10月のマイナーチェンジでは、固定式ヘッドライトに変更された4ドアハードトップにインジェクション化された13B型(最高出力160㎰)を搭載したグレードが設定されました。 人気は2代目には及ばないものの、当時最高レベルの走行性能を持つ3代目コスモも魅力的な一台です。 4代目ユーノス コスモ(1990年~1996年) 1990年4月発売、4代目コスモはユーノスコスモとして登場。先代とは対照的にボディバリエーションは2ドアクーペのみで、ロータリーエンジンに一本化されました。 ラグジュアリーさを漂わせるそのフォルムに搭載されるエンジンは、20B-REW型の3ローターターボエンジンです。V12に匹敵するなめらかさを持ち、当時300ps以上と言われた出力は自主規制により280psにデチューンされています。 内装に目を向けるとオーストリア製の本革シートやイタリア製の天然目パネルに加え、世界初のGPSカーナビが搭載されています。至れり尽くせりの至高の高級車となっていましたが、販売台数は思うように伸びませんでした。 その理由は533万円からという高額なプライスと、街乗りでは3km/Lにもなると言われた極悪な燃費にほかなりません。バブル時代の当時でもライバルとなるR32スカイラインGT-Rが445〜529万円となっており、それほど理解を得られなかったのです。 ユーノスコスモ誕生から6年、マツダはユーノスコスモの販売を終了し、長いコスモの歴史に終止符を打つことなります。 モータリゼーションの長い歴史の中でも3ローターターボを採用した車は後にも先にもこのユーノスコスモだけであり、今後このような車が世に出ることは難しいでしょう。そのため、旧車界でもユーノスコスモは多くのファンを獲得しています。 まとめ マツダのコスモシリーズは、市販化が難しいとされたロータリーエンジンをはじめ、ユニークで洗練されたデザインなど、自動車好きの記憶に色濃く残る存在感を放ってきました。 一方、ロータリーエンジンの宿命とも言える燃費の悪さや、先を行き過ぎたデザインなど、失敗作と酷評されることも少なくありません。 しかし、明と暗がクッキリしたコントラストのある歴史こそが、難しい課題も豊富なアイデアで解決する技術者集団「マツダ」のイメージリーダーである証拠なのです。
車を所有する際は、車庫法について知っておくことをおすすめします。車を登録するときに必要な車庫証明も車庫法で定められた取り決めの1つです。実は、車庫法違反となる事例は身近に潜んでおり、知らないうちに違反していたというケースもあります。今回は車庫法とは何か、罰則や取り締まりの実情についても解説していきます。 車庫法とは 車庫法とは、無秩序に車が駐車されて道路交通法に則った運転や道路の安全を妨げられることがないように定められた法律です。正式名称は「自動車の保管場所の確保等に関する法律」といい、車の所有者(厳密には車検証に記載された使用者)は自動車の使用の本拠の位置を管轄する警察署で車庫証明手続きをする必要があります。 車庫法違反とその例 車庫法違反とその例について詳しく解説していきます。 道路を保管場所にする 車庫法では、保管場所としての道路の使用禁止が定められています。具体的には「道路上の同一場所に引き続き駐車(昼間12時間以上、夜間8時間以上)をする行為」が禁止されており、違反すると罰則及び違反点数(3ヶ月以下の懲役または20万円以下の罰金と違反点数3点)が科せられます。 車庫飛ばし 車庫飛ばしとは、車庫証明の記載とは違う場所で車を保管することです。駐車場代の節約で自宅から2km以上離れた実家に車を保管することや、転居後に車庫証明の住所変更を忘れた場合も該当します。(いずれも車庫飛ばしとして検挙されると罰金の対象) ・虚偽の保管場所証明申請…………20万円以下の罰金・保管場所の不届け、虚偽届出.......10万円以下の罰金 車庫法違反の罰則 車庫法違反の罰則は、他の交通違反の内容とは大きく異なります。多くの道路交通法違反は、反則金を支払えば刑事責任は問われません。しかし、車庫法違反は反則金の導入がなく、罰金または懲役(状況によっては前科が付く)刑が科されます。なお、警察内での確認や手続きが複雑なため、最終的な処罰が決定されるまでには時間を要します。 車庫法違反の罰則の流れ ①出頭通知車に違反票が貼られ警察署への出頭が通知される ②出頭警察署に出頭し調書 ③裁判日程の通知警察から簡易裁判の日程が通知される(約1ヶ月後) ④書類送検警察から検察へ書類送検 ⑤起訴検察から起訴される ⑥裁判所からの呼び出し裁判所から呼び出し通知が届く ⑦略式裁判簡易裁判所で判決が出て罰則が決定 ⑧罰金の支払い決定された額の罰金を支払う 車庫法違反の取り締まりの実情 警察は駐車違反への取り締まりを積極的に行っています。これは渋滞を緩和するだけでなく、駐車車両が原因による死角からの歩行者の飛び出しや、他車両の進路変更による交通事故の発生を防ぐためです。また、緊急車両の通行を妨げないようにする目的もあります。 しかし、車庫法違反への取り締まりはそれほど厳しく行われていません。違反車両の通報への対応も車の所有者に注意を促して終わることがほとんどだといえるでしょう。車庫法違反は人命に関わる可能性が低いことや検挙後の手続きの煩雑さもあり、警察内では重要視されていないことが理由です。 車庫法違反の車を見つけたらどうすればいい? 車庫法違反の車を見つけたら警察に通報しましょう。注意を促す程度の動きしかなくても一時的な対処はしてもらえます。取り締まりをしてもらえないようなら、状況を画像や動画で残して悪質性や危険性がわかる証拠を集め「繰り返し通報する」「地域住民で声をあげる」「SNSなどを利用して実態を広める」といった手段を取るとよいでしょう。
日本では「ヤングタイマー」への注目度が日に日に増している。 それは筆者が暮らすドイツにおいても同じ現象が起こっている。 ヤングタイマーの線引きは難しいが、1970年代以前のいわゆる「クラシックカー」ほど古くはない、「1980年代から2000年代にかけてのクルマ」を指すことが多い。 ヤングタイマーへの注目度の高さはドイツにおいても例外ではなく、クラシックカー専門誌の兄弟誌として新たに「ヤングタイマー専門誌」が創刊されるほどだ。 今回は「今、ドイツで人気上昇中!5台の日本車ヤングタイマーとは」と題して、ドイツでじりじりと価格が上昇している国産ヤングタイマーを紹介する。 読者の方がかつて乗っていたクルマや、これから購入しようとしているクルマもあるかもしれない。 ■豪快な乗り味が人気! 日産・フェアレディZ(Z33型) まず紹介するのが、Z33型の日産・フェアレディZだ。ドイツではシンプルに「Nissan 350Z」の名前で販売されていた。 製造期間は2002年から2008年と、ヤングタイマーとして扱う中でもかなり新しい部類だが、ドイツでの注目度はとても高い。 ドイツではアウトバーンの速度無制限区間を日常的に走行するため、単純にエンジン出力の大きいクルマが好まれる。 走行時の余裕につながるからだ。 その点、350Zはもっとも初期のモデルで280馬力、後期にいたっては300馬力を超える出力を発揮するため「高速走行時にも余裕を感じられる」と評価されている。 350Zが人気の理由は、ロードスターモデルが存在することと、豪快なエンジンフィーリング、そしてメンテナンスに手がかからないこと、などが挙げられる。 ドイツ人は老若男女問わず、とにかくオープンカーが大好き。 自然吸気の3.5リッターV6エンジンによる低回転からトルクフルな出力特性は「近年の小排気量ターボからは得られないフィーリングだ」と評価されている。 ドイツでの取引相場は、状態の良い個体で1万6千ユーロ(約219万円)からとなっている。 ■純粋主義者を虜にする! ホンダ・S2000 ドイツではオープンカーの人気が高い、と書いたが、どちらかといえば「のんびりと楽しむ」あるいは「余裕を持って楽しむ」という感覚が主流だ。 つまり、武闘派のスポーツカー・ドライバーにとって、オープンカーはあまり選択肢の内には入らない。 さらに「屋根がないクルマに乗るくらいなら、俺はバイクに乗る。その方が爽快でスポーティだ」という考えの人も少なくない。 そんなドイツにおいて、硬派なバイク乗りや武闘派スポーツカー・ドライバーを納得させる唯一のクルマ、と呼ばれているのが、ホンダ・S2000である。 レブリミットが9000回転に設定されたエンジンは、自然吸気ながら2リッターの排気量から240馬力を発生(ドイツ国内仕様。ドイツでは2リッターモデルのみが販売された)。 オープンボディでありながら高いボディ剛性を誇り、コアなスポーツカー・ファンをも納得させる俊敏な走りは「バイク乗りにとって、四輪車における唯一の代替手段」と高く評価されている。 中古車の人気は非常に高く、状態の良い個体で2万5千ユーロ(約345万円)以上の相場となっているが、今後さらに値上がりすると言われている。 ■心臓のルーツはドイツにある! マツダ・RX-7(FD3S) 日本のスポーツカー・ファンにとって、マツダのRX-7シリーズは特別な存在だが、それはドイツにおいても同様だ。 その理由はやはり、マツダが長年熟成を重ねてきたロータリーエンジンにある。 ロータリーエンジンは、ドイツにおいては一般的に「ヴァンケル・モーター」と呼ばれている。 そのネーミングは、ロータリーエンジンの発明者でドイツ人のフェリックス・ヴァンケルに由来する。 彼は世界初のロータリーエンジン搭載市販車、NSU・ヴァンケルスパイダーを世に送り出したことで知られている。 ところが、マツダが初代コスモスポーツを経て初代RX-7を登場させると、ドイツ製のロータリーエンジンは文字通り終焉を迎えた。 マツダのロータリーエンジンは、NSU製のそれより機構が進化していたにもかかわらず、信頼性が高く、走行時の振動も抑制されていたからである。 ドイツにおいて、3代目RX-7(FD3S型)は排気ガス規制のため1992年から1996年のわずかな期間しか販売されなかった。 スタイリングやクルマの完成度は高く評価されていたにもかかわらず、である。 したがって、ドイツの中古車市場での希少性は非常に高く、どんなに状態が悪くても4万ユーロ(約552万円)を下回ることはない。 ある程度良い状態の個体を探すとなると、5万5千ユーロ(約759万円)は必要となる。 ここでは3代目のFD3Sを取り上げたが、初代モデル、2代目モデルの人気も非常に高い。 こちらはまだ庶民でも手が届く範囲の値札(およそ1万2千ユーロ、約165万円から)が付けられているが、いずれ上昇するのは時間の問題と見られている。 ■今こそ乗りたいセダンの筆頭! レクサス・LS400 ここまでスポーツカーばかりを取り上げてしまったが、一般的なセダンとなると、人気のある日本産ヤングタイマーの名前はドイツにおいてはなかなか挙がってこない。 しかし、その中でも別格の存在として今も扱われているのが、トヨタ・初代セルシオ、ドイツでは「レクサス・LS400」として知られるクルマである。 打倒・世界の高級車を目標に生まれたLS400は、ドイツの高級車メーカーにはっきりと打撃を与えた。 静粛性、乗り心地、信頼性、それらすべてが抜群に優れた日本産のクルマが、メルセデス・ベンツ、アウディ、BMWよりもずっと安価で手に入ったからである。 メルセデス・ベンツは1991年に新型Sクラスを販売する予定だったが、LS400の登場により発売直前になって改良を余儀なくされた。 結局それはコストの超過を招き、主任開発者のウォルフガング・ペーターが解雇される事態となっている。 今ドイツで乗ろうと思うと、1万ユーロ(約138万円)の出費で比較的良い状態の個体が手に入る。 走行距離が25万キロを超えても信頼性に問題はない、というのが現地での評価だ。 ■ラリー好きにはたまらない! 三菱・ランサーエボリューションIII ドイツ人はラリー好きだ。 そして彼らは口を揃えて、ラリーのベース車両に乗れた時代が懐かしい、と振り返る。 いや、それを言うのはまだ早い。 むしろ今が最後のチャンスかもしれない。 三菱・ランサーエボリューションは、スバル・インプレッサWRCと並んでドイツで人気のあるモデルだ。 特に「ランエボIII」は、三菱に初めて世界ラリー選手権制覇のトロフィーをもたらしたモデルとして、ドイツでも高く評価されている。 もちろん「現役のレース車両」のベースとして利用しようとする人は少ないが、軽量でコンパクトな4ドアセダン、それでいてパワフルな4輪駆動ターボのマニュアル車、ということで「このクルマでなきゃ!」という人は一定数存在する。 ドイツでの現在の相場は2万ユーロ(約276万円)から。 ただし、1995年から1996年の間にしか生産されていないため、ほとんどの人は「III」にこだわらず、状態の良い個体であれば購入を検討する、というスタンスのようだ。 ■国産ヤングタイマーの価格は今後も上昇傾向か? ここまで、ドイツで人気上昇中のヤングタイマーを5台厳選してお伝えしてきた。 いかがだっただろうか。 意外だと思う方も、順当だと思う方もいたかもしれない。 ドイツの自動車ファンは、日本の技術やクルマの歴史について詳しく、とても敬意を持っている。 それゆえ、みな一様に「古い日本のクルマの部品が、もっと簡単に手に入ればいいのに」と嘆く。 ドイツでは特に、ドイツ産クラシックカーの部品が簡単に手に入るため、その差はより大きく感じられるようだ。 日本の国産旧車人気の盛り上がりを機に、国産旧車のパーツがドイツなどの海外でもより簡単に手に入るようになれば、ドイツの日本産ヤングタイマー人気も一過性ではなく定着するようになると思うのだが……。 今後の国内メーカーの奮起に期待したいところだ。 [画像/トヨタ、日産、マツダ、ホンダ、三菱・ライター/守屋健]
雑誌やweb記事などを合わせると、何だかんだで年間100人くらいの方にオーナーインタビューをしている。 案件によって異なるが、人物やクルマの撮影をプロカメラマンさんに任せ、自分はインタビューに専念するケース、撮影からインタビューまですべて自分1人で行うケース、さまざまな「大人の事情」でメールやLINEでのやり取りというケースもある。 いずれの案件も、その取材対象の方にお声掛けし、コーディネートするのも自分の役目だ。 メーカーの広報車であれば、たいていは最新モデルだから雨の日でも撮影ができる。 汚れてしまった場合でも、内外装ともにきちんと洗車して、ガソリンを満タン返しにすれば大丈夫だ。 しかしオーナーが所有するクルマ、ましてや旧車およびネオクラシックカーを取材させていただく場合、そうはいかない。 雨の日はクルマ(趣味車)には乗らない、乗りたいくないというオーナーさんが少なくないからだ。 そういえば、以前こんなことがあった。 とあるネオクラシックカーをフルレストアしたオーナーさんを取材したときのことだ。 カメラマンさんと待ち合わせした場所は曇りだったのだが、撮影場所に近づくにつれて雲行きが怪しくなっていった。 道中、カメラマンさんに「もしかしたら、今日の撮影、延期になるかも・・・」とお詫びをしておいた。 事情が分かっているカメラマンさんは理解してくれたが、無駄足を踏ませることになるかもしれないのだ(事実そうなってしまった)。 そして、現地に到着した頃にはいつ雨が降り出してもおかしくないような天候だった。 待ち合わせ場所に現れたレストア完了後のネオクラシックカーは、見るからにコンクールコンディションといっていいほど、細部にいたるまでピカピカだった。 オーナーさんのこだわりと愛情が痛いほど伝わってきた。 ひととおりの挨拶を済ませ、ふと、オーナーさんに目を向けてみると、いつ雨が降らないかとソワソワしていることが分かった。 とても撮影を含めた取材に集中できるような雰囲気ではなかった。 そこで「今日は撮影を断念して、いったんオーナーさんの車庫に愛車を停めて、インタビューだけやりましょう。撮影は後日。雨が降らない日に!」 と提案すると、オーナーさんもほっとしたようだった。 無駄足を踏ませてしまったカメラマンさんには申し訳ないけれど、雨雲レーダーをにらみつつ、とにかく急いでオーナーさんの自宅に向かった。 その後、どうにか雨を回避でき、愛車を車庫に停めたあとに近くのファミレスでインタビューを行った。 オーナーさんも、愛車を雨に濡らすことなく、無事帰宅できたことに安堵しているようだった。 そして後日、快晴の日に撮影を行い、無事にオーナーインタビュー記事として公開することができた。 実は今日(8月21日)も、本来であれば、あるネオクラシックカーとそのオーナーさんを取材させていただく予定だった。 週間天気予報では晴れマークだったのに、2日前くらいから急に雨の予報へと変わった。 そこからあらゆる天気予報のサイトをチェックして、取材実施か、それとも延期かの判断をすることとなった。 オーナーさんの本音としては、今日の取材を希望されているようだった。 基本的に前日の夜に取材実施か、延期かを決めることが多いが、今回は判断が難しい予報だったため、当日朝に決定とした。 できるならばその希望を叶えたい反面、これまで無理やり雨天時に取材して、結果的に雑な撮影になってしまったことが過去に何度もあったのだ。 アナログ人間といわれてしまいそうだが、最終判断の目安は「NHKの天気予報」と決めている。 お天気キャスターの解説や雨雲レーダーや時系列予報などを見て、取材できそうかどうかの判断をする。 今朝も、目覚ましを午前5時45分にセットして、NHKの天気予報をチェックした。 総合的に判断した結果、今日の取材は雨天延期とした。 撮影中に雨が降る可能性が高いと踏んだのだ。 申し訳ないなあと思いつつ、オーナーさんとカメラマンさんにその旨を伝えた。 しかし、あくまでも天気「予報」なので、この予想が外れることがある。 今日の天気がまさにそれだった。 気象レーダーや時系列予報でも雨だったのに、現時点(13時15分)で、気象レーダーを見る限り、撮影場所は曇りのようだ。 結果論ではあるが、おそらくは雨に降られることなく取材できただろう。 さすがにオーナーさんやカメラマンさんから苦情の連絡が入ることはなかったが「雨が降るかもしれない日は取材を諦めて・・・」と簡単に気持ちが切り替わるものでもない。 まるで今日の天気のように、モヤモヤした日曜日の午後を過ごしてもいいことがないので、締め切りが迫っているいくつかの原稿(*この原稿もそうだが)を一気に書き上げて気を紛らせた。 じっとしているより、動いている方が楽なのだ。 これまで何度も経験しているが、本当に、これだけは慣れることがない。 そして、可能な限りの情報とこれまでの経験則から答えを導きだしても予想が外れる。 悲しいかな、今回もそのなかの1回に過ぎないのかもしれない・・・。 余談だが、NHKの天気予報以外にチェックしている天気予報のサービスをまとめてみた。 独断と偏見で所感も追記しておく。ご参考になれば幸いだ。 ・NHKニュース防災アプリ:手堅い予報なので迷ったときの最終判断はここ・Yahoo!天気アプリ:良くも悪くも予報がコロコロ変わる。直前(向こう数時間)の天気を予想する際には有用・tenki.jpアプリ:大胆な予報が多く、大当たりか大ハズレのどちらか・ウェザーニューズアプリ:個人的は判断材料のひとつにしているサービス(有料会員)・気象庁アプリ:本家の情報なので、1週間先の予報の目安として利用 [画像/Adobe Stock ライター/松村透]
ミニカーに興味があるクルマ好きにとって、値上がりを続けるミニカー事情に頭を悩ませている人は少なくないだろう。 そんな人にオススメなのが書店で購入できるミニカーシリーズ。 なかでも日本車ミニカーを1/43スケールで製品化した『国産名車プレミアムコレクション』は、価格とクオリティのバランスが取れたミニカーとして着実にファンを獲得している。 そこで今回は、『国産名車プレミアムコレクション』の魅力を掘り下げてみたい。 ■1/43ミニカーの救世主 ミニカーの値上げが止まらない。 生産コストや原材料費の上昇などにより、モノにもよるがだいたい20年前の2倍になったような感覚がある。 そんな状況から買える人も次第に限られてきて、今はコアなファンがマーケットを支えているような状況だ。 筆者自身、以前はミニカーを片っ端から買い集めていたが、今は本当に欲しいアイテムだけを厳選して買っている。 また、以前は1/43ミニカーをメインに買っていた仲間も、最近はトミカとかホットウィールなど数百円で買えるミニカーがメインになっている。 今や1万円以下で買える本格的なコレクター向けミニカーは、絶滅危惧種となりつつあるのだ。 そんな状況のなか、アシェット・コレクションズ・ジャパンが2021年12月に創刊した『国産名車プレミアムコレクション』は、出来の良い1/43ミニカーを求めていたファンにとって久しぶりに明るい話題となった。 創刊号のミニカーは日産 スカイライン 2000GT-R KPGC110 1973で、価格は1,499円。 2号目のホンダ NSXは2,499円という低価格だった。 3号目以降は定価3,999円となったが、それでも標準的な出来の1/43ダイキャスト製ミニカーが現在5千円〜7千円程度で販売されている状況を考えれば、かなりリーズナブルな価格設定といえる。 ■クオリティの高いディテール表現 クオリティの高さも特徴的だ。 書店流通系のミニカーには「安かろう悪かろう」というイメージが少なからずあり、クオリティはあまり期待できないというのがこれまでの常識だった。 しかし、『国産名車プレミアムコレクション』では細部の作り込みがしっかりしていて、いわゆる「つくりの甘さ」の要素が少ないのが特徴的だ。 例えば、クローム部分の再現とかコンビネーションランプの塗り分けなどは忠実に再現され、モデル全体にシャープな印象を与えている。 ミニカー自体も厚みのあるアクリルケースに収められ、高級感を演出している。 この手の書店流通系ミニカーは、台座はあってもアクリルケースが省略されている製品が多い。 その意味でも、アクリルケースが付いていることはコレクターにとってはとても重要なことだ。 ■製造元はミニカーのトップブランド そこで気になったのは製造元である。 台座を外してシャシーを見てみると、“AR box ALMOST REAL SUMS MODEL” という刻印がある。 SUMS MODELは「オールモストリアル」のブランド名で高品質なミニカーを製造している中国のミニカーメーカー。 ハイディテールな製品内容で知られ、1/43ミニカーは1万円前後、1/18ミニカーは2万円台から5万円台という高価格帯のミニカーをラインアップしている。 ドイツでは「ミニチャンプス」ブランドで知られるポールズ・モデル・アート社が販売を行っており、日本では現在、エスワンフォー株式会社が輸入販売代理店となっている。 高品質なミニカーづくりで知られるメーカーが設計および製造を担当しているため、大量生産品でありながら非常にしっかりとした製品内容となっているのだ。 ■ディフォルメのない忠実な表現 ミニカーでは実車の持つ雰囲気を伝えるためにボディをディフォルメしたり、タイヤ/ホイールサイズを調整したりすることがよく行われている。 しかし、このシリーズではそのようなディフォルメがほとんど見られない。 それをもっとも象徴しているのがタイヤで、創刊号のケンメリGT-Rのミニカーを手に取ったときは、あまりのタイヤの細さに違和感を覚えたほどだ。 輸入販売元であるエスワンフォー株式会社の担当者に話を伺う機会があったので、その件について尋ねてみた。 すると、実車を正確に再現するために、あえてディフォルメを行っていないのだという。 確かに改めて調べてみると、オリジナルのタイヤサイズを再現したものであることが分かった。 逆にいえば、それ以前の1/43ミニカーなどで見慣れてきたタイヤは、モデルとしての見栄えを良くするために太くされていたということだ。 車高についても「ちょっと腰高かな?」と思えるようなものが少なくない。 これもモデルとして捉えるなら、もう少しローダウンしたほうがカッコよく見えるに違いない。 しかし、あえてそれをしないで忠実にオリジナルの姿を再現しようとする姿勢は、このシリーズの独自性につながっている。 ■低価格を実現できた理由 『国産名車プレミアムコレクション』が低価格を実現できた理由は大量生産にある。 近年のコレクター向けミニカーは多品種少量生産が基本で、樹脂製のレジン素材でボディを成形しているものが少なくない。 逆に大量生産に適したダイキャスト製ボディは、金型製作の費用がかかるため敬遠されることが多くなった。 しかし、このシリーズでは書店流通系ミニカーということで大量生産に向いたダイキャスト製ボディを採用。 量産効果でコストを下げていることが大きい。 とはいえ、もちろん欠点も存在する。 このシリーズの最大の欠点は内装が無塗装であること。 メーターパネルはデカールで表現されていているし、ウッド製のステアリングやシフトノブは塗装で再現されている。 その反面、シートやインテリアは黒いプラスチックの成形色のままなのだ。 昔の国産車の内装はブラックを基調にしたものが多いのであまり気にならないが、'80年代のハイソカーあたりになるとその欠点が気になる。 特にトヨタ・ソアラをはじめとするハイソカーなどは、ベージュやワインレッドの内装色が特徴のひとつとなっている。 そのため、真っ黒な内装だと魅力が半減してしまうのだ。 このあたりはコストの兼ね合いもあって妥協しなければならないポイントだったのだろう。 そのため、車種によっては残念な印象になっているものもある。 明るい内装色が特徴だった車種の場合は要注意だ。 ■国産車ミニカーの新たなスタンダード このようにメリット・デメリットがそれぞれ存在する『国産名車プレミアムコレクション』。 ただ、今時の1/43ミニカーで3,999円という価格を考えれば、破格の内容であることは間違いない。 特に今後は原材料の高騰や円安などで、ミニカーのさらなる値上げが必至な状況にある。 その意味では、高品質なミニカーが手軽に入手できるだけでも非常にありがたい存在といえるだろう。 [ライター・画像/北沢剛司]
今や入手困難となりつつあるシールドビームと、今日なんとか入手できるセミシールドビームとのデザインの違いから、シビエやマーシャルなど当時の一流ブランドをご紹介します。 また、ベテランオーナーがこだわるポイントや、右側通行や車検への適合についても触れてみます。 さらには、日本国内ならではの注意ポイントなどを、むずかしくなり過ぎないようにまとめました。 パーツ単体を深掘りして、自動車産業の進化の過程を読者のみなさまとともに考えていきたいと思います。 ■当時、デザインの大きな制約であった旧車のヘッドライト ▲ただいま編集中のリフレクターが錆びてしまったシビエ製のセミシールドビームをレストアする動画 こちらは[YouTube]BEARMAN'sチャンネルで8月下旬公開予定。 ※チャンネル登録お待ちしております。 [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g みなさまは旧車のヘッドライトについて、いかがお感じだろうか? 旧車のヘッドライトといえば、丸型や角型のシンプルな形状が多い。 これらが人間味のある顔に見えてカワイイと感じる方もいれば、機能そのものがデザインとなっており、メカメカしくカッコイイと感じる方も多いことではないだろうか? クルマの旧い新しいに関係なく、顔つきの印象を大きく左右するヘッドライトのデザインは、そのクルマのキャラクターを決定する、たいへん重要な部分ともいえる。 クルマのデザイナーにとっては、まさに力の入れどころである。 旧車の世界に話をうつせば、そもそもヘッドライトといえば当初は丸型のみであり、当時のクルマのデザインにとって大きな制約となっていた事実を、みなさまはご存じであっただろうか? 今回はこの旧車の顔「ヘッドライト」について、すこし掘り下げてみたいと思う。 ■限られた選択肢が、より強くオーナーの個性を光らせる! ▲北米仕様のシールドビーム式ヘッドライトが装着された一例。よく知られた欧州仕様とは顔つきが異なる(ポルシェ911) 先ほど述べたとおり、旧車のヘッドライトといえば当初は丸型のみであった。 これは当時のアメリカの法規が深く関わっている。 アメリカでは1940年に米国内で販売される新車へ「7インチ規格型シールドビーム」の装着が義務付けされたことが事の発端である。 シールドビームとは、レンズ・リフレクター・バルブ(発光フィラメント)が一体となったものに不活性ガスを注入し、その名の通り完全密閉(シールド)されたヘッドライトである。 長所は、当時としては高寿命かつ高輝度であり、密閉構造のため内部の劣化による曇りの心配が少ない。 また、全体がガラス製であるため、現代のクルマのヘッドライトのように樹脂製のレンズが劣化して曇るといったことは無縁だ。 採用されるクルマも消耗品としての交換を前提に、規格に沿って設計されているため、整備性も良く、比較的簡単に交換ができる。 短所は、レンズとリフレクターが一体化しているため、発光フィラメントが寿命を迎えた場合、シールドビーム一式で交換が必要な点である。 ハロゲンバルブが普及した現代から見ると、若干高価に感じる点でもある。 規格によって寸法その他が決められてしまっているため、当然、デザイン性に大きな制約がある。 これは当時、国土の広いアメリカの、どこのガソリンスタンドでも交換ができることを優先したためともいわれている。 ただ、このアメリカ国内の法規が、ヨーロッパや日本のクルマ作りに大きく影響した。 それはなぜか?理由は簡単だ。 アメリカはもとよりモータリゼーションの先進国であり、また、今も昔も世界最大の自動車消費国でもあるからだ。 ヨーロッパ車では、はやくも1960年代初頭には角型ヘッドライトが登場する。 アメリカに輸出をすることを念頭に設計・生産されたクルマは、同じ車種であっても本国仕様と北米仕様で顔つきが異なることが多い。 当時の自動車メーカーは、最大の消費地であるアメリカの法規を無視できず、規格ヘッドライトありきでクルマのフロントフェイスのデザインが決めていったという時代背景があるのだ。 この状況は1984年にアメリカ国内で法規が改訂され、バルブ交換型のヘッドライトが許可されるまで続く。 国産車の場合も、アメリカの法規に追従する形で、その影響を受けているといっても過言ではないだろう(日本の場合は、戦後、進駐軍によりシールドビームを装着した軍用車が大量に持ち込まれ、これらの消耗品が一部国産化され普及したという特別な背景も一部ある)。 特に国産車のヘッドライトは、丸形と角型のそれぞれ2灯と4灯、合わせて4種類のシールドビームしか無かった時期が長く続いた。 当時のクルマのオーナーだった方は、その頃の選択肢の無さを思い出すことであろう。 しかし、現代の旧車乗りにとっては、むしろこの部分がオーナー自身の個性を発揮するポイントとなっている。 今日では国産のシールドビームは数年前にすべて生産終了し、ハロゲンバルブ交換型のセミシールドビームが主流となっている。 このセミシールドビームは往年のレンズカットのあるガラス製のものから、カスタム志向のマルチリフレクター式、または、まるで最新の現行車のようなデザインのLED式のものまで存在する。 ▲規格型シールドビーム装着車であれば、このようなカスタムヘッドライトという選択も可能だ(プリムス・ベルベディア)画像提供:NezRodz氏 https://www.instagram.com/nezrodz/ 逆に旧車のオリジナリティを求め、現在入手困難となったシールドビームや、当時はハイパフォーマンスパーツであった、絶版のシビエやマーシャルのセミシールドビームを探し当て、自身の愛車に装着するオーナーも存在する。 今日現在、一般的に入手できるセミシールドビームはレンズが平面であるものがほとんどであるが、これらはレンズ面が丸みを帯びた凸形状であることが共通する。 ▲ 絶版のシビエ製セミシールドビーム(左)と、今日新品で入手できる小糸製セミシールドビーム(右)。レンズの丸みが異なる 当時物のノスタルジーを得ようとする者、今日のテクノロジーを旧車に反映しようとする者、クルマのフェイスデザインの制約でしかなかった規格ヘッドライトが、いまや旧車乗りの個性をアピールする場となっているのだ。 この記事の読者の方は旧車イベントを訪れた際には、ぜひクルマのヘッドライトを一台一台覗き込んでいただきたい。 とても細かい部分であるが、ここにオーナーのこだわりが垣間見えるからだ。 ■パーツ探しは意外と困難!?日本国内ならではの注意ポイント ▲試しに海外のサイトでヘッドライトAssyを検索してみた。画像はBMWのあるモデルのHELLA製新品であるが、左側通行用はまず見当たらない。だが諦めてはいけない。これらを加工してシールドビームを装着する強者(ツワモノ)も存在する 旧車ヘッドライトのパーツ選択に趣(おもむき)があることを述べたが、日本のオーナーには、注意をしなければいけないポイントがあることをお話しする。 それは日本国内の特別な事情だ。 クラシックミニをはじめとする英国車のオーナーは特に心配する必要はないことであろう。 といえば、分かる方もいるはずだ。 そう、日本は世界でも珍しい左側通行の国だ。 いったい何が問題なのかというと、左側通行用と右側通行用のヘッドライトはレンズカットの形状が異なり配光が異なる。 左側通行用のヘッドライトはロービームで点灯させると、カットオフラインと呼ばれる境界線を境に、対向車が眩しくならないように、かつ歩道側が先まで見通せるように、左上がりの配光となる。 これが右側通行用のヘッドライトでは正反対になるのだ。 当然、右側通行用のヘッドライトでは日本国内の車検に合格することは不可能だ。 特に困るのは、旧車でもヨーロッパ車のオーナーであろう。 先述の規格型ヘッドライトのクルマであれば特に困ることはないが、車種専用のヘッドライトであった場合、左側通行用は世界的に見ても希少、かつ入手困難なレアパーツとなる。 昨今はインターネットが普及し世界中からパーツを取り寄せることができる旨を前回の記事で述べたが、筆者の経験上、こればかりはかなり厳しい一例といえる。 もし中古部品で探し出せたとしても、必ずしも光軸を調整する部分などに異常がないとも言い切れない。 この部分も車検を通すための重要な部分だ。 良質なリプロダクション(再生産品)や社外品があればいいが、右側通行用であることがほとんどである。 ヘッドライトのみならず、こういった車検にかかわる部分は事故などのアクシデントに遭う前に、何らかの予備的手段を用意しておくことをおすすめしたい。 なお、筆者の場合、本命パーツは車体に装着せず、いざという時のために常に保管している。 日の目を見ない保有パーツばかり増えていくのだが、これは悲しい旧車オーナーの性ともいえる。 ■温故知新。個々のパーツを通し、自動車産業の進化の歴史を考える ▲クルマを横から見た場合のヘッドライトレンズのデザインや形状にも、さまざまな「趣」がある。どれも決して間違っていない。あなたもぜひこの部分にこだわってみませんか? 今回この記事を執筆するにあたって、私クマダにとってクルマの先輩ともいえる方々のうち何人かに、当時の状況を伺ってみた。 そのなかでも特に心象に残ったのが、当時シールドビームの丸いデザインが古臭くて嫌いだったという話だ。 この方は現在70歳代半ばで、まさに1970年代に20歳代を過ごした「旧車リアル世代」だ。 この方はどちらかというと当時から輸入車を多く乗り継いでいるが、1980年代になると仲間内はこぞってボッシュ製のハロゲンヘッドランプユニットに交換したという。 これらのソリッドなデザインの平面レンズに時代の最先端を感じたということだ。 先ほど述べた、当時物のシールドビームにレンズ面の丸さを求める趣とはまるで正反対の意見だ。 確かに当時はもとより、現代に至るまで自動車メーカーは、商品性向上のためにマルチリフレクターや、キセノンやLEDヘッドライトなどなど、われ先にと自社の販売するクルマに新しい技術を導入したものだ。 しかし、振り返ってみればそんなクルマのヘッドライトにサプライヤー(部品供給元)のロゴが入らなくなったのはいつ頃からであろうと筆者は考えた。 少なくともヘッドライトレンズがガラス製であった時代には、サプライヤーのロゴが煌々と輝いていたように感じる。 すっきりとしたデザインを優先したためと思うが、これはこれで寂しく感じるものである。 ヘッドライトはさまざまな時代背景を持ちながらも、常にクルマの顔であったパーツである。 旧車オーナーであれば、ぜひこの部分にこだわりを持ってみてはいかがだろうか? [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g [画像/AdobeStock ライター・撮影/クマダトシロー]
車に備え付けておかなければならない車検証には、さまざまな情報が記載されています。今回は、車検証の情報の中の「初度登録年月」が何の年月を意味しているのか解説するとともに、初度登録の情報が必要となる場面、製造年月や登録年月日との違いについて紹介します。 初度登録年月とは 初度登録年月は、その車が日本国内で初めて登録(車検証を交付)がされた年と月のことです。軽自動車の場合は「初度検査年月」となります。普通車と軽自動車のいずれも車検証の上段中央付近に「令和4年3月」というように和暦で表記されます。 初度登録年月は、一般的に年式と言われるため、年式と表記した方がわかりやすいかもしれません。しかし、後述する製造年月を年式と呼ぶこともあります。そのため、「年式」が最初に登録された年を指しているのか、製造された年のことなのか間違えないよう注意してください。 では、製造年月や登録年月日と初度登録年月には、どのような違いがあるのでしょうか。 製造年月との違いは? 製造年月は、車が製造された時期のことです。製造年を燃焼装置と呼ぶこともあります。また、初度登録の年月は、製造年月と一致しないこともあるため、初度登録=製造年と認識しないよう注意してください。 登録年月日との違いは? 登録年月日は、車検証が交付された日です。そのため、普通車の車検証には「登録年月日/交付年月日」と表記されています。 中古車を購入したり、車検証の記載事項を変更したりすると、新しい車検証が交付され、登録年月日が新しい日付に変わります。なお、登録年月日が変わっても、初度登録は変わりません。 初度登録年月の確認方法 ここからは、初度登録の確認方法を紹介します。 車検証を見る 車検証を見ると、最初に登録された年月(初度登録年月)を知ることができます。 普通車の場合は「初度登録年月」、軽自動車の場合は「初度検査年月」が最初に登録された年月(初度登録年月)です。車検証の初度登録と車検証が交付された日を示す「登録年月日/交付年月日」と並んでいるため、確認するときに見間違えないよう注意しましょう。 売買契約書を見る 売買契約書を見ることで、登録が予定されている年月を知ることができます。 ただし、工場を出荷する日や輸送状況、納車整備や装備品の装着などが遅れると登録時期が変わります。そのため、売買契約書に記載されている年月はあくまでも目安と考えておく方がよいでしょう。 また、新車の場合、世界的な半導体不足の影響などにより、納期が未定になったり、1年以上の長期になったりすることも珍しくありません。そのため、売買契約書による初度登録の確認は目安程度に考えておくとよいでしょう。 初度登録年月の情報が必要なシーン ここからは、初度登録年月がどのようなシーンで必要になるのか紹介します。 車両保険金額の目安を知りたいとき 最初に登録された年からは、自動車保険の車両保険金額(支払限度額)の目安がわかります。車両保険の支払限度額は、車のあらゆる情報をもとに決定します。この支払限度額を算出するために必要な情報のひとつが最初に登録された年なのです。車両保険金額は、契約している保険会社や新たに契約する保険会社に確認しましょう。 税金の目安を知りたいとき 税金が重課される時期を知りたいときも、最初に登録された年がいつなのかという情報が必要です。 自動車税は、初めて登録された年月から一定の年数が経過すると重課されます。自動車税が重課されるタイミングは、ディーゼル車が11年、ガソリン車が13年経過したときです。また、自動車重量税も13年経過すると重課されます。 例えば、現時点から12年前が初度登録の中古車を購入した場合、翌年から税金が重課となります。年式が古い車を購入するときは、いつから税金が重課されるのか、税金がどのくらい高くなるのか確認しておきましょう。
1.旧車を盗難から守る方法とは? 自動車盗難情報局には相変わらず旧車スポーツカーの盗難が毎日のように報告されている。 ▲旧車は盗難されるとあっという間にバラバラにされてしまう 7月だけを見ても、RX-7(FD3S)、スカイライン(R33GT-R、同R32GT-R)、シビック(EK9)、スープラ(A80)…などの貴重な国産旧車スポーツカーが盗難の被害にあっている。 これらの盗難情報には「盗難対策の有無」という欄があるのだが、そこには「なし」「ハンドルロック」「ハンドルを外していた」「周りをクルマで囲んでいた」などと書き込まれている。 逆に言えば、完璧なセキュリティ対策が施された旧車は盗まれていないことになる。 これまで筆者が取材をしてきた盗難車のオーナーさんたちに、どのような対策をしていたかを聞くと、「ドアロック」「ハンドルロックとタイヤロック」「とくに対策なし」「バッテリーとハンドルを外していた」などの回答が目立つ。 正直言って…盗む方がもちろん悪いわけだが、盗まれた方も「施錠」以外に、もう少し本気で盗難対策をするべきではないかと思う。 「まさか、自分のクルマが盗まれる対象になるとは思わず、何の盗難対策もしていなかった」 「普段は夜帰ってきたら、ハンドルを外して、バッテリーも外していたのに、その日に限って外していなかった」と、嘆く被害者の皆さん、後悔してもしきれないのではないだろうか? ではどうすればいいのか? ハンドルロックやタイヤロック、ハンドルを外すなどの対策はポピュラーではあるが、実際は数分間の時間稼ぎにしかならないのが現実だ。 旧車窃盗団は数週間前から下見をしており、ターゲットとなる旧車にどのようなセキュリティ対策が行われているのか?を入念に確認している。 時にはセキュリティが作動するのか(どのような音が出るのか)なども確認している。 ▲セキュリティアラームを付けるなら多少高くても確実な取り付けができるお店で ハンドルロックやタイヤロックをしているクルマにはそれらを簡単に切断できる道具を準備し、ステアリングがない場合はサイズの合うステアリングを、バッテリーを外している場合はバッテリーを持参して盗みにくるのだ。 理想の盗難対策はゴルゴ、パンテーラに代表される国産セキュリティを専門店にお願いして確実に取り付けることである。 これがもっとも「盗まれにくい」方法といえる。 価格にして30~40万円とかなり高額にはなるが効果は絶大である。 ▲誤報ゼロの国産セキュリティなら安心!こちらはユピテルのパンテーラ そして大事なことは高級カーセキュリティでも誤報が多いのはダメ。 例えば、地震や豪雨や台風による影響で誤報を多く出してしまうセキュリティでは、オーナー自身が「近所迷惑」だと思ってアラームを切ってしまう。 東日本大震災のあと、高級セキュリティを装着したR32スカイラインGT-Rが東北~関東各地で盗難被害にあったのもこれが理由である。 2.市場価格と同等の車両保険はつけられる? 盗まれてしまった後の対策としては、GPSで追跡する方法が有効だ。 GPSなんてすぐ外されて役に立たないと思うかもしれないが、ココセコムの「セコムくるま盗難監視」のように自動車盗難に特化したシステムであれば安心度も高い。 GPSで追跡して盗まれたクルマの居場所を特定し、オーナーに返還された例も実際にある。 また、最後の手段としては旧車に車両保険を付けることだ。 一般的な車両保険ではどれだけ価値がある旧車であっても、たとえば400万円で購入したAE86でもせいぜい保険金額は50万円以下。 さらに通販型の自動車保険では初度登録から15年~20年など一定の年数を経たクルマの車両保険は新規の場合は一律に引き受け拒否される。 新車時から継続して保険契約を行い、そのうえで15年を超えた場合などには継続して車両保険を付けられることもあるがその場合も保険金額は低額となる。 しかし、旧車に市場価格と同レベルの車両保険を付けることは不可能ではない。 同じ代理店型損保でも、「車両保険の金額は年々下がってR32GT-Rで60万円」というケースもあれば、「19歳オーナーが所有するAE86に新規で購入額とほぼ同じ360万円の車両保険がつけられた」というケースもある。 ▲ShowさんのRX-3 奥に見えるのはFDをベースにした『RX-7 Fortune』 この違いは何なのか? 筆者の友人であるRX-3オーナーShowさんは現在の市場価格と同レベルの800万円の車両保険を付けているが、どうやってつけたのか? Showさんの保険担当者である損害保険代理店の保険代理店、株式会社ソナエル(千葉県東金市)代表の泉明弘さんに聞いてみた。 「『特認』と呼ばれる制度で諸条件をクリアすれば、購入額と同程度の車両保険がつけられます。車種はもちろん年式や走行距離など同条件のクルマが中古車市場でどれくらいの価格で取引されているか?などを丹念に調べます。金額が決まると、保管状況をチェックします。かなり厳しい条件をクリアすることが必要となります。 私が旧車スポーツカーの保険を扱うときには、自宅までうかがって、・車庫にシャッターがついているか・そのシャッターは施錠できるか・クルマはきれいな状態で保管されているか?・周囲を壁に囲まれたしっかりした車庫に入っているか?・どのようなセキュリティ対策が行われているか? などを確認します。 他にも諸々の確認事項があります。 自宅から離れた露天の駐車場など、セキュリティしっかりしていない場所で保管されている場合には盗難のリスクが高いので、購入額と同レベルの車両保険を付けることはまずできないでしょう。 あとは、盗難リスクの高い千葉県や茨城県などの特定エリアも難しい場合があります」 かなり厳しい条件にはなるが旧車であってもマンションの駐車場であっても市場価格と同レベルの車両保険を付けることは不可能ではなさそう。 保険屋さんとの信頼関係を重ねていくことも重要な条件となる。 「もし盗難されて800万保険金がもらえても、同じクルマは2度と手に入りません。長い時間をともに過ごした家族同様の存在です。盗まれないように最大限の対策をしてください」 とShowさんは付け加えてくれた。 ▲解体ヤードに運び込まれると盗難車が返還される可能性は限りなくゼロになる また、保険契約の条件などがやや緩く、年間の保険料がリーズナブルなチャブ保険の「クラシックカー保険」なるものをご存じだろうか? 条件としては、・製造年から25年以上経過した国産車および輸入車(二輪自動車を含む)・年間走行距離が5,000km以内・通常走行が可能な状態にある登録車両(ナンバープレートの付いた車両)・レプリカや改造車はダメ 次回はこの「クラシックカー保険」を扱う保険会社に取材をして詳細をお伝えしてみたい。 [撮影・加藤ヒロト、Showさん/ライター・自動車生活ジャーナリスト加藤久美子]
働き方改革とか、ライフワークバランスなんて言葉を耳にするようになって久しい。 しかし、ホンの少し前まではそんな悠長なことはいってられなかった。 期限や納期までに間に合わない・・・。 どうすれば・・・。 四の五のいわず徹夜するしかなかったんである。 ■かつて徹夜はあたりまえだった? 俗にいう「クリエイティブ」な業界に身を置いていた。 デザイナーとか、ライターとか、アカウントエグゼクティブとか、とにかく横文字の職業や肩書きが氾濫していた。 パソコンはもちろんMacだった。 別に格好をつけていたわけじゃない。 フォントやアプリケーションといった製作環境が印刷会社とほぼ連動していて、それがたまたまMacだったのだ。 スターバックスでMacBook Airを広げてWi-fiに接続して優雅に仕事・・・なんてつい最近のことだ。 それはさておき、一見すると華やかな世界に映るかもしれないが、基本的にはクライアントからの無理難題な修正と納期に追われる泥臭い世界だった。 納期に間に合わせるには・・・繰り返しになるが徹夜するしかないんである。 深夜、急な修正が入り、納期待ったなし。 印刷会社の担当営業さんと2人でクルマに乗り込み、帰宅寸前の女性デザイナーを拉致して会社まで連れ帰ったこともあった。 自宅が目の前というタイミング、しかも深夜に会社へ強制送還されて徹夜・・・。 気の毒としかいいようがない。 ■徹夜のお供・・・それはサザンオールスターズだった いま、8月4日の23:51。 会社員時代、徹夜を決め込んでコンビニでカップラーメンを買って食べていた時間帯とちょうど重なる。 昼間は打ち合わせやらメールの対応等々でなかなか仕事がはかどらないので、結構な頻度で徹夜をしていた。 社内に1人だとたまに心細くなるので、BGMをかけた。 いまのようにYouTubeで「仕事用BGMが選び放題」なんて時代じゃない。 「サザンオールスターズ茅ヶ崎ライブ2000(wowow独占)」を録画した映像がBGM代わりだった。 深夜0時にスタートして明け方5時手前くらいで終わるので、夜食を食べる頃にビデオを再生するとあとはノンストップでokだ。 茅ヶ崎ライブが終盤にさしかかるとそろそろ帰り自宅の準備に取り掛かる。 いったん帰宅して着替えてまた出社するためだ。 準備するための目安となる曲は「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」だった。 いまでもラジオなどでこの曲を聴くたびに「あ、そろそろ帰る準備しないとな」と考えてしまう。 ■徹夜2日目深夜にスタミナラーメンを食べにいった末路 いまから20数年前、某自動車メーカーの取扱説明書の納期に追われていたとき、2日連続で徹夜となった。 2日目の深夜。疲労はピークに達していた。 当時の上司、そしていまでも外車王SOKENおよび旧車王ヒストリアでご一緒している北沢氏と3人で深夜営業のスタミナラーメンを食べに行こうという話になった。 社用車に乗り込み、上司がオススメするスタミナノリラーメンを食べた。 場所は四谷だったと思う。 ラーメン通を任ずる上司オススメのスタミナノリラーメン! 濃い目のスープとニンニクが効いて元気100倍。 これなら朝まで乗り切れそうだ。 一気にHP(ヒットポイント)を回復して会社に戻った。 ・・・と、ここまではよかった。 空腹が満たされたことで、いつの間にか寝てしまったんである。 自分でもアホとしかいいようがない。 ハッと目が覚めると3時間くらいは寝ていたことに気づいた。 北沢さんも寝落ちしていたように思う。 スタミナラーメンの効果なのか、いちばん年上の上司だけは黙々と作業していた。 目が合い、ジロリとにらまれた。 なんてタフな人なんだ。 いえ、すいません。仕事します・・・。 ■徹夜自慢は時代遅れ? 最近は業界を問わず徹夜を禁ずる企業が増えてきたようだ。 いい傾向だと思う。 徹夜したことによる弊害は予想以上に大きい。 徹夜したからといって、夜7時から翌朝7時まで12時間フル稼働なんて不可能に近い。 かくゆう自分も、独立してから1度も徹夜をしたことがない。 正確いうとできないんである。 途中で寝落ちしてしまうのだ。 おじさん世代は飲みの席で「徹夜自慢」の話題になると妙に盛りあがる。 と同時に、若い世代の方をドン引きさせてしまう。 徹夜自慢なんてもはや時代遅れ。 早く死語になってほしいと思う。 そういえば、20数年前の深夜に訪れたラーメン屋さん、調べてみたら東京都新宿区四谷にある「一心ラーメン」だった。 いまも変わらず営業しているようだ。 久しぶりにスタミナノリラーメン食べてみたくなった。 深夜のドライブの合間に・・・が理想だが、食べたあと寝落ちしない時間帯にしておこう・・・というと、いつ行けばよいんだ? [画像/Adobe Stock ライター/松村透]